田原桂一は1951年京都府生まれ。1971年に渡仏し日本の柔らかい光とは違う、ヨーロッパの鋭い光に衝撃を受け、1972年に写真家としての活動をスタート。その後、2006年までパリを拠点とし、光をテーマに制作を行った。
1977年に「窓」シリーズがアルル国際写真フェスティバル大賞を受賞。さらに、木村伊兵衛写真賞、フランス芸術文化勲章シュヴァリエ、パリ市芸術大賞などを受賞している。1987年から1995年にかけて。ルーブル宮殿で彫刻を撮影した「トルソー」シリーズは、彼の代表作のひとつだ。田原は2017年6月、肺がんのため65歳で他界するが、死の直前まで精力的に活動を続けた。
今回の展覧会では、1987年から1994年まで約8年の歳月をかけて、フランス政府の依頼を受けて撮影した、パリのオペラ座の写真を紹介する。当時、オペラ座の責任者だったピエール・ベルナールは、自然光のなか長時間露光することで被写体がドラマチックな雰囲気と質感で表現される田原独自の撮影スタイルがオペラ座を撮影するのに最適だと考え、田原に撮影を依頼した。
田原は、壮麗な建築や設えだけでなく、華やかな衣装や宝飾、さらには舞台装置など、ありとあらゆる角度からオペラ座を撮影。約550点に及ぶ作品は、1995年に「ARCHITECTURE(建築)」、「COSTUMES(衣装)」、「BIJOUX(宝飾)」、「MAQUETTES(舞台美術)」の4冊からなる大判写真集『OPÉRA de PARIS』として出版され、パリ・オペラ座の美しさを多くの人に知らしめるものとして、世界中で高い評価を受ける。
今回、ポーラ ミュージアム アネックスで開催される展覧会「OPÉRA de PARIS」では、オペラ座の世界観をイメージした空間に、写真集『OPÉRA de PARIS』の中から厳選された作品約30点を展示。また2,000冊限定で出版された『OPÉRA de PARIS』原本や、写真集をもとに制作された映像も紹介する。
田原桂一「OPÉRA de PARIS」
会期/6月21日(金)~7月28日(日)、会期中無休
会場/ポーラ ミュージアム アネックス 東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3F
開館時間/11:00~19:00 (入場は~18:30)
入場料/無料
https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/
Text: Aya Hasegawa