KAEWSIRI SRISAM-ANG(VOGUE THAILAND/Digital Beauty Reporter)
ENHANCING タイの女性たちは、自然な美しさを追求する傾向にあります。コスメは固有の魅力をワンステップ上げるためのツール。生まれ持った肌質を隠さないファンデーションとミニマルなカラーメイク、個性を生かしつつ自然な質感を強調するヘアスタイルが今のトレンドです。ウェルネスへの関心が高まるのも当然のこと。菜食中心のメニューとスーパーフード市場は、この数年で格段に成長しました。若い女性の多くがヨガやピラティスなどの身体活動を楽しみ、メンタルヘルスも綿密にケアしています。持ち前の健康なオーラほど重要なものはありませんから。
RETINOL タイ女性はコスメ成分の“安全性”をとても重視します。化粧品製造販売の必須条件ではありませんが、FDA認証の有無もしっかりチェック。こうした理由から長年オーガニック成分が脚光を浴びてきましたが、今注目されているのはレチノール成分。シワ改善効果がはっきりと立証されたからです。刺激が少なく、乾燥しにくいレチノールコスメが各ブランドから続々と登場しています。
LISA BLACKPINKのリサはグローバルスターですが、タイでの人気はより圧倒的。10代~ 30代にとって、彼女はメイク、ヘアスタイル、ファッションすべてのアイコンです。リサのポスターをはじめ、コラボドリンクやグッズを手にした少女たちを街中でよく目にします。
GLOW BOOSTER 潤光肌への憧れから、スキンブースター施術が女性たちの間で一般化しています。どんなコスメより即効性が高く、目に見える効果を実感できるからです。肌のみずみずしさを改善し、定期的に施術を受けることでつやつやとした輝きがよみがえるリジュランヒーラー(高濃度サーモン注射)が人気です。
JOYCE OREÑA(VOGUE PHILIPPINES/Beauty Editor)
SHORT CUT ここ数カ月間、“ショートカット”というキーワードがフィリピンの検索エンジンを賑わせています。毛先の質感を強調する短いレイヤーカットやスリークで涼しげなショートカット、造形的なヘアスタイル。フィリピン女性のヘアスタイルは軽やかながらも強烈に、大胆になってきています。
OLFACTOR フィリピン民族は“アジア”というより、正確には“オーストロネシア”に属します。黄金色に輝くコーヒー色の肌、まっすぐな黒髪、深みをたたえた瞳、そして何よりビューティーを嗅覚的にとらえる独特な感性を持っています。細部まで隙のない清潔さ、シャワーを浴びたばかりのさわやかな香りと洗いたての服から漂う新鮮な香りから、美しさは生まれるのです。
NATURAL ROOTS フィリピンの女性は、ローカルな天然成分をビューティールーティンに取り入れています。肌と髪の栄養補給にはココナッツオイルを使い、タウィタウィ州の部族であるサマ・バジャウの女性たちには、天然のUVカット剤としてウコンのペーストを塗る習慣が今も残っています。よく驚かれますが、フレグランスの重要な原料として世界中で使用されるイランイランの花や、ほのかなシトラスの香りが心身に平和をもたらすエレミオイルもフィリピンが原産地なんですよ。
ANTI-BLEMISH ばい煙やPM2.5の影響で、フィリピンの大気汚染は深刻です。そのうえ、熱帯性気候で一年中蒸すような暑さが続くので、肌の健康を維持するのは簡単なことではありません。ニキビを治療する抗炎症作用を持ち、美白やシワ改善の効果があるナイアシンアミド、香料として前述したイランイランなどのスキンケア成分が常に注目を集めています。
CECI WONG(VOGUE HONG KONG/Beauty Director)
GENDERLESS “ジェンダーニュートラル”“ジェンダーレス”というキーワードがビューティー業界に登場したのはずいぶん前のことですが、香港男性たちは保守的でした。ところが驚くべきことに最近、スキンケアとメイクアップに対する彼らの関心が高まっています。メイク崩れしやすい多湿な気候の中で、キープ力の高いコスメを追求する男性が増加。ファンデーションと眉メイクはもちろん、リップやネイルに至るまで、男性たちは、はっきりと開放的に自分を表現しています。
CRAZY HAIR 中医学に基づく伝統的な美容成分とお手入れのステップを最小化したスキンケアを追求する一方、ヘアに関してはとことん自由に楽しむ傾向があります。アイシーブルーやピンク、ネオンカラーなど、女性たちは臆することなく大胆な色に髪を染めています。ここに香港の気候のようなウェットな質感をちょっとプラスすれば、トレンディーなヘアスタイルの完成です。
COMMON LANGUAGE アジアにおいて、ビューティーはさまざまな人種と文化、ライフスタイルを理解する一つの“言語”と見なされています。スキンケア製品は、その国の季節と気候を読み解く尺度となり、メイクアップやヘアスタイルは多彩な個性を標榜します。韓国ドラマやK-POPアイドルから火がついたビューティートレンドは、アジア全域に等しく熱狂を生み出していますよね。2023年、アジアのビューティーはまさしく世界を連結するコミュニケーションツールなのです。
BUN’S 2020 世界的なY2Kムーブメントの影響でしょうか。今、若い世代が楽しんでいるスポーツはローラースケート。派手なネオンの下でスケートを楽しむ「Bun’s 2020」は香港の洗練された“Gen Z”が集まるホットプレイスです。
Editor: Risa Yamaguchi