『エルヴィス』(2022)でキング・オブ・ロックことエルヴィス・プレスリーを体現し、アカデミー賞にノミネートされたオースティン・バトラー。その数年前には、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが出演するクエンティン・タランティーノ監督作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)でマンソン・ファミリーの一人を演じたが、実はトム・クルーズ主演の大ヒット映画『トップガン マーヴェリック』(2022)と天秤にかけての選択だったようだ。
「『トップガン マーヴェリック』のスクリーンテストか、クエンティン・タランティーノにイエスと言うかで、選択を迫られることになった」とポッドキャスト「Happy Sad Confused」でコメント。「彼には会ったことがあったから、出演することにした」と述べ、タランティーノ監督作への出演は長年待ち望んだことだったので、『トップガン マーヴェリック』を断る選択をしたと明かした。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』はピークを過ぎたTV俳優リック・ダルトン(レオナルド)と、彼の付き人でスタントマンのクリフ・ブース(ブラッド)の物語を軸に、実際にハリウッドで起きたシャロン・テート殺人事件を描く。オースティン演じるチャールズ・ワトソンは、シャロン殺害の実行犯の一人。一方の『トップガン マーヴェリック』は36年ぶりの続編で、2022年に公開されると大ヒットを記録し、スティーヴン・スピルバーグをしてコロナ禍に苦しむ映画産業を救ったと言わしめ、タランティーノも称賛している。両作は公開に3年の差があるが、同時期に撮影された。
若手キャストが大勢出演した『トップガン マーヴェリック』だが、同作や『エルヴィス』を担当したキャスティングディレクターのデニース・シャミアンによると、マイルズ・テラーが演じたルースター役の候補だったオースティンは彼の記憶に残り、『エルヴィス』出演に繋がったという。なおオースティンは、『エルヴィス』で共演したトム・ハンクスとスティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務めるApple TVのオリジナルシリーズ「マスターズ・オブ・ザ・エアー」に出演し、『トップガン マーヴェリック』では果たせなかった戦闘機パイロットに扮している。
Text: Tae Terai