2023年1月に東京大学駒場キャンパス裏にオープンしたナチュラルワインをメインに取り扱うワインショップ「WINE & SUNS」。富ヶ谷・代々木上原界隈のクリエイティブ業界人に話題の同店は、俳優、アパレル、スタジオディレクションなど異色のキャリアを積んできたオーナーの植松孝行氏のこだわりとセンスが詰まっている。店名の「WINE & SUNS」はあらゆる生命の豊かさを象徴する太陽に由来し「ショップに足を運ぶ方々の日常も、太陽に照らされたように、明るく豊かになってほしい」との願いが込められているそう。ちなみに、オーナーの植松氏は、今はなき松濤幼稚園卒園、代々木上原育ちという生粋の「奥渋谷ボーイ」。彼らしさを形成する過程で大きな影響を与えたこのエリアで、今度は彼自身が新たな文化の発源の一端を担っている。「縁」や「ライフサイクル」「地域」といったキーワードはこの店を語るに欠かせない要素なのかもしれない。
同店ではワインだけでなく、街の酒屋としてオーナーによって厳選された調味料やビールなどの物販コーナーも充実しており、近隣の住人たちも気軽に立ち寄り、交流が生まれている。店舗営業に加えて、植松氏はフードイベントなどの企画も手がけ、先日は渋谷区神山町の小料理屋「アルブル(ARBRE) 」のシェフをゲストに迎え、季節の食材を使った天ぷらとおつまみの提供も行われた。
最近のおすすめワインはフィンランド初のアーバンワイナリー「Noita Winery」のピノ・ノワール。私は、このお店がきっかけでヴィンヤードを持たない生産者の存在を知ったのですが、昨今このコンセプトは世界中で注目を集め、ロンドン、パリ、ニューヨークなどで続々オープンしているそう。アーバン・ワイナリーの利点は、フランス、オーストリア、スペイン、イタリア、ドイツをはじめ、ヨーロッパ各地のワイン生産者地域から葡萄を収穫することができるということ。そしてそれに伴って、ワインメーカーで働く人々に大きな柔軟性をもたらしていることだ。新型コロナをきっかけに都市部に住む人々の働き方が改革されているが、ワインメーカーにもその流れが起きているように感じずにはいられない。「WINE & SUNS」は、そんなユニークで珍しいワインに出会いたい夜についつい足を運んでしまう、不思議な魅力に溢れている。
WINE & SUNS
住所/東京都渋谷区富ヶ谷2-23-5 アルコーブ2階
03-6804-7266
15:00〜23:00 定休日/月・火
@wineandsuns_tokyo