「今回再びカバーガール(COVERGIRL)ファミリーにカムバックすることになりましたが、なんだか時代が一周したような気分(笑)。カバーガールのみなさんとのコラボレーションで、再び製品開発から広告制作に至るまで、すべてのプロセスに関わることができることが本当に楽しみです」
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2022年5月、アメリカのメディア「StyleCaster」にこう語ったクイーン・ラティファことダナ・エレイン・オーエンズは、言わずと知れたレジェンドラッパーだ。
デビューアルバム『All Hail The Queen』(1989)、『Nature of a Sista』(1991)、に続く3枚目のアルバム『Black Reign』(1993)が、女性ソロ・ラッパー初のアメリカレコード協会(RIAA)ゴールド認定され、シングルカットされた「U.N.I.T.Y.」は、女性への暴力と黒人女性のセクシュアリティを赤裸々に訴えたリリックで世界に衝撃を与えた。
一方で、その軽快な語り口からお昼の冠トーク番組を持つかたわら、ミュージカル映画『シカゴ』(2002)ではアカデミー賞助演女優賞にノミネート。その後も、リュック・ベッソン監督『タクシー』(2004)等のヒット作に恵まれた彼女は、プライムタイム・エミー賞、ゴールデン・グローブ賞など、さまざまな栄誉ある賞を獲得した名優でもある。
自己肯定感の高さと自信がもたらす“クイーン”の輝き
そんな彼女は、2022年に52歳にして再びビューティーブランド、カバーガールの顔に抜擢されたことで世界を驚かせた。最初に彼女が同ブランドの広告に登場したのが2006年だが、 16年の時を経て再び彼女を起用した親会社コティのコンシューマー・ビューティー部門最高ブランド責任者のステファノ・クルティは、その理由をこう語っている。
「彼女は私たちのジェネレーションにおける最も影響力のあるセレブリティのひとり。最初に彼女を起用した時、ジェンダー、年齢、人種問わず顧客層の厚みが増し、ブランドが進化しました。それだけでなく、社会におけるビューティーの認識にも大きな影響を与えたと思います。ですから、今回の起用で再び社会にポジティブな変化を起こしたいと考えたのです」
しかしながら、同ブランドが彼女のカムバックを希望した理由はそれだけではない。53歳の時にはインスタグラムのストーリーに素顔の自撮りを投稿し、お気に入りのビューティールーティンをシェアするなど、常に自己肯定感が高く、自信に満ち溢れたそのポジティブな姿勢こそが大きな理由だ。 「一日中水の中で過ごすなんて、最高!」とのコメントが添えられた、ステージで輝く顔とは全く違う柔和な笑みを浮かべる素顔の彼女のセルフィーには、瞬く間に多くの“いいね”がつき、大きな注目を集めた。
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一方で、2020年には、TV番組「Queen Collective」を通じて女性やノンバイナリーの映画監督をサポートする活動に従事していた彼女は、何故自身を“クイーン”と呼ぶのかとの問いに、こんなパンチの効いた答えを返している。
「私の生き方には、その言葉にぴったりだと思ったから。でも実際の私は、自分が思っている以上に“クイーン”気質だと思います」
フレッシュなマインドの源は“学び”
そんな彼女は、人生の半ばに差し掛かった今もティーンの時のように大きな夢を抱くことを忘れないという。「50代は人生経験も豊富で、現実を知り尽くしていることから、なかなか夢を見るのが難しい年代でもあります。ですが私は、いくつになっても夢を見るのをやめたくないし、人の心を忘れたりすることは決してありません。そして、新しいことを学び続けることで、メンタルを新鮮に保つことを心がけています」
新陳代謝が激しいラップシーンにおいて、デビュー以来トップに君臨するクイーン・ラティファ。そんな彼女が、メンタルを新鮮に保つためにしていることが、“新人チェック”だと言う。
「ラップシーンでは、常に新しい何かが生まれています。ですから、常にアンテナを張り巡らせて、最新のものに追いついていたいと思っています。だからといって、“旬”の彼らに近づいて、何か“おいしいこと”をしようとは思いません。私は50代ですが、私たちの世代の人の中には、私たちがかつて上の世代に言われたネガティブなことをそのまま若い世代に言う人もいます。それが“老ける”原因だと言うことに気づかないのです」
そして、若い世代から学び、彼らを見守り、ある時点になったら交代してリードしてもらいたいと願っている彼女にとって、次の世代と繋がり続けるのが最高のアンチエイジングメソッドであり、“老けない”秘訣だと語る。
「私は、80歳になっても、 90歳になっても、いつも若い世代とつながっていられるようなマインドを持っていたい。そして、彼らから学びながら、その世界観に対し常にオープンであり続けたいと思っています。何事もそうですが、この世の中は、常に新しいものが生まれていますから、私たちは“旬”に追いつく努力をしなければなりません。面倒だと思う人もいますが、これこそが私のマインドをアクティブで新鮮に保つための秘訣なのです」
参考文献:
https://stylecaster.com/beauty/makeup/1265019/queen-latifah-covergirl/
https://www.womenshealthmag.com/beauty/a43699619/queen-latifah-no-makeup-selfie-instagram-photo/
https://www.thecut.com/2022/11/how-queen-latifah-gets-it-done.html
Photos: Getty Images Text: Masami Yokoyama Editor: Rieko Kosai