しばらく甘やかされていた下半身を、スキニーやミニボトムが似合うよう整えるにはどうしたらいいのだろうか。「まずは歪みがないかチェックすることから。太ももが多少太くても、膝下が細いことでシュッとした印象を与えます。ただ、膝下は2本の骨からできているのですが、これがねじれたり歪んだりしやすい部分。対策としては、両脚をぴたっと閉じて立ち、そのままの状態でしゃがんでみる。かかとを床につけたままでしゃがむことができなければ、腰が硬くて膝下の骨が歪んでいる可能性大です。この歪みを自力でとるのはなかなか難しいので、整体などプロの手を借りることをおすすめします」(金谷さん)
骨盤を正すことで脚のラインが変わる?
膝下に歪みがなければ、いざ膝下のトレーニング……と思いきや、優先すべきは脚より骨盤まわりのエクササイズなのだそう。というのも、正面から見たときに美しく見える脚のシルエットは、鍛えられた腹筋と大腿直筋の賜物だから。このときポイントとなるのが、関節を曲げたり伸ばしたりというエクササイズではなく、アイソメトリックという方法をとることだ。
「同じ動きを何セットか行う一般的な筋トレは、太くてたくましい筋肉を育てるのに役立ちます。でも、俳優やモデル、ダンサーなど引き締まったシルエットを求める方には、筋肥大を起こすようなトレーニングはご法度。そういった方のセッションに取り入れているのが、筋肉を伸ばすような静的トレーニングであるアイソメトリックなんです」
特別な道具や難しいテクニックは一切不要。スキニーが似合う脚を育むアイソメトリックなら、バスタブで横V字の姿勢をキープするだけでも立派なトレーニングになるのだとか。つま先をぴんと伸ばし、筋肉を長く引き伸ばそうという意識で行うと、抜群の引き締まり効果がある。ゆっくり入浴する暇がないという日なら、椅子に座った状態で脚を上げてキープするだけでもOK。脚を長く伸ばすよう意識しながら数十秒行えば、美脚のための立派なアイソメトリックトレーニングになってくれる。
そしてもうひとつ、美脚のためにトライすべきなのが“内側重心”だ。たとえ脚が細くても、太ももの外側の筋肉ばかり使っていたら張り出してフォルムが崩れてしまう。スキニーをシュッとはきこなすには、意識的に内ももを使うクセづけが必要だ。金谷さんが教えてくれたのは、椅子に座って両膝の間にハンカチなど薄いものを挟み、膝を上げ下げするというトレーニング。そのほか、普段から脚を閉じて座るのも内もも強化にはおすすめだそう。内側にキュッと締まった脚なら、新生グッチで登場したようなクリーンな大人のミニボトムだって難なくこなせる。
ちなみに、詳しくは次頁に譲るが、美しい脚を育てるには腸活も取り入れるのがベター。スポーツが大好きで現在は馬術にハマっているという、腸活の第一人者として知られる医師・小林暁子先生は、運動するわりに筋肉がなかなかつかないのが悩みの種だったそう。ところが、腸活するようになって便秘が解消するうちに、運動した分だけきちんと筋肉がつくボディになったというから腸活のパワーや推して知るべし。腸には老廃物が流れ着く下水道的な側面もあるから、腸内環境がよければむくみにくく美脚がキープできるのは言うまでもない。
「オーセンティックなソーセージを見ればわかりますが、腸は本来とても薄いもの。ところがむくんだ腸はぶよぶよで動きが悪く、ガスや便が溜まる負のスパイラルに陥りやすいです。最近のスキニーはストレッチがきいているのでむくみの心配はさほどないのですが、スキニーをはくからと補正下着に頼るのはやめましょう。それよりも、タイトなものをはいているからお腹を引き締めたり、姿勢をよくしようと意識が芽生えるほうがいい。その意識が高まっていくと、自然とインナーマッスルも備わってきます」(小林先生)。“理想のスキニーかミニ”を手に入れることからがボディメイクなのかも!
話を聞いたのは……
NORIAKI KANAYA
金谷憲明。パーソナルトレーナー、均整術師。KANAYA BODY LABORATORY主宰。体の歪みをリリースする整体施術とトレーニングを組み合わせた独自のメソッドが人気で、その人らしい美が育つと俳優やモデルからの指名も多数。
AKIKO KOBAYASHI
小林暁子。小林メディカルクリニック東京院長。まだ腸活という言葉もなかった時代からその研究に取り組み、便秘外来や女性専門外来を有するクリニックを創設。現代人の自律神経トラブルにも詳しく、多くの著書で正しい知識を発信中。
Text: Satoko Takamizawa Editor: Toru Mitani
※『VOGUE JAPAN』2024年8月号「サマールックに似合う、ヘルシーボディ」転載記事。
メンタルヘルスなど含めた現代のビューティーのあり方を特集した今月号から派生して、今回振り返るのは「IT’S MY BODY」と銘打った2015年7月号。人から見られることを意識した商業的なボディよりも、自分が愛せるボディになることが大切と唱えて9年、私たちは変化し続けるボディと心のバランスをどのように取ってきているだろうか。
