クリエイティブ・ディレクター、シェミナ・カマリが作り上げたクロエ(CHLOÉ)のボーホールックたちを筆頭に、2024-25年秋冬コレクションにおいてキーアクセサリーとしての地位を確立したのがブレスレットバッグだ。カマリが打ち出すクロエガールのワードローブの中心的な存在であるクロワッサン型のクラッチバッグは、ハンドルとしても機能する大ぶりなゴールドのバングル付きで、ほかのジュエリーと重ね付けするように提げるのが前提のデザイン。フロントローからショーを見届けていたシエナ・ミラーをはじめ、早くもファンを獲得中だ。
ジュエリーとクラッチを掛け合わせたブレスレットバッグを前面に押し出したブランドは、クロエ以外にも数多くいた。今季最も注目されたと言っても過言ではないアレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)の新クリエイティブ・ディレクター、ショーン・マクギアーによるデビューコレクションでは、シャープなシルバーのハードウェアが光るタイプが登場。リングやバックル、ブレスレットがそのままハンドルに変身したかのようなデザインは、メゾンのシグネチャーである「ナックルダスター」バッグをさらに削ぎ落としたクールさが漂う。マックイーンの1995年春夏コレクション「The Birds」にインスパイアされたという新生アクセサリーは、次世代イットバッグにもなるポテンシャルを宿している。
スチュアート・ヴェヴァース率いるコーチ(COACH)でも90年代が出発点に。ショルダーバッグなどをビッグアップルやイエローキャブ、自由の女神のキーホルダーといったノスタルジックなニューヨークのチャームで飾り付け、人気のスタイルをアクセサリーに進化させた。デムナによるバレンシアガ(BALENCIAGA)も、過去の懐かしいオブジェクトをショーの招待状として用いたが、ランウェイに送り出したデザインは近未来的。ミニマルなバングル型のハンドルにはスマホなどが取り付けられ、バッグとジュエリーの境界線をなくした。そしてプラダ(PRADA)は、チャンキーなレザーベルトをストラップ代わりにし、従来のハンドバッグの概念を転覆。アクセサリー感が強いため、初心者にも挑戦しやすく、今にでもストリートスタイルを席巻し始めることだろう。
最もシックなブレスレットバッグを展開したのは、おそらくアライア(ALAÏA)のピーター・ミュリエだ。巨大なゴールドリングの持ち手がポイントの小ぶりなバケツ型バッグは、アートオブジェと呼ぶに相応しく、「チューブ」バッグに次ぐヒットとなること間違いなし。マチュー・ブレイジーが手がけたボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)の最新「サーディン」バッグも、同じくイット化の予感がする。
もちろん、ジュエリーの役割も果たすバッグというコンセプトは新しいものではない。装飾的に魅せるシャネル(CHANEL)のショルダーストラップは、もともとメゾンのスーツジャケットの裾に縫い付けられていたチェーンなどにインスパイアされ、手に荷物を持つ煩わしさから女性たちを解放するために作られた。シグネチャーである「デミ」バッグを手のひらサイズにアップデートしたガブリエラ ハースト(GABRIELA HEARST)やウラ ジョンソン(ULLA JOHNSON)の手首から提げられるポーチも手をふさがず、ハンズフリーに使える。一見、実用性よりもファッション性を重視しているかのように感じるが、ジュエリー、そしてバッグとしても使えると考えると、ブレスレットバッグは2WAYで楽しめる優秀品なのだ。
Text: Alice Newbold Adaptation: Anzu Kawano
From VOGUE.CO.UK
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