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夏の終わりの足音を聞きながら思うこと── 『VOGUE JAPAN』2024年9月号、エディターズレター

沖縄で撮り下ろしたカバーストーリーや、K-POPの新星ILLIT(アイリット)のスペシャルストーリーから、モデルの稲垣貴子さんとラグビー界のスター、稲垣啓太さん夫妻の結婚式裏話まで。最新号の舞台裏を編集トップがレポート。

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読者のみなさんの中には、今、このページをビーチで読んでいるラッキーな方もいらっしゃるのではないでしょうか。今月号で二度目の表紙登場を果たしてくれたモデル、ユミ・ヌーを撮影した沖縄のどこかとか? 今はちょうど、ゆっくりとではありますが夏の終わりが近づき始め、そろそろ秋が気になるタイミングでしょう。そう、折り返し地点に来たところです。

Photo: Felicity Ingram

一年の中でもこの時期にさしかかると、私はいつも未来に思いを馳せます。でもこうしたとき、私はなぜかかつてアメリカン・ヴォーグの編集長を務めたダイアナ・ヴリーランドのことを考えてしまうのです。彼女は社会を大いに揺さぶったカルチャーの変化、若者の反乱を敏感に察知し、1965年に「ユース(若者)」と「アースクエイク(地震)」という単語を合わせた「ユースクエイク」という新語を提唱しました。私が思うモダン・バージョンの「ユースクエイク」では、ムーブメントの中心は若者だけにとどまりません。大切なのは年齢だけでなく、若々しいスピリット、価値観なのです。

私たちの「ユースクエイク」探求のトップを飾るのは「VOGUE クラッシュ」(p.58)。今回はシーンを席巻するニュースター、ILLITアイリット)をフィーチャーします。日本人2人を含むこの5人組ガールグループは、3月に1st Mini Albumをリリースしたところです。記事では、東京でのショーケースを終えたばかりの5人を、明るい日の光が差し込む代々木上原近くのスタジオに招き、思い入れたっぷりの私物の数々を紹介してもらいました。

Photo: Jun Yasui

さらに、日本でも屈指の若き表現者たちをクローズアップ(p.102)。その一人が、アムステルダムに暮らす10代のタトゥーアーティスト、NOKOです。また、映画監督の山中瑶子も、主人公の若い女性の視点を通して東京に生きる若者の今を描く最新作『ナミビアの砂漠』が今年のカンヌ国際映画祭に出品され、女性の監督としては最年少で国際映画批評家連盟賞を受賞しました。

ではこの新しいスピリットをファッションビューティーで表現したら? 編集部が発想のモチーフとしたのが、働く若い女性たちです。ビューティー・チームは虎ノ門周辺で働く女性たちに発想を得た特集を展開(p.67)。都会のジャングルを背景に、カラフルで、少し大胆なルックをまとった彼女たちの姿は実に新鮮です。

Photo: Yannis Vlamos

また、今季のクチュール特集では、モダンな精神を持つ顧客のために「特別な瞬間」をクリエイトする、気鋭のデザイナーに焦点を当てました(p.42)。ジャン=ポール・ゴルチエやニコラス・デ・フェリーチェとひざを交え、モーニングコーヒーを片手に、今シーズン大いに話題を呼んだ、大胆かつ洗練を極めるコレクションについて語る─こんなチャンス、喜びでしかありません。今年、90歳を迎えたジョルジオ・アルマーニ(p.38)もそうですが、熟練の巨匠の手がもたらすインパクトは、若手の審美眼にも決して劣らないことを、私たちに教えてくれます。

要注目の新鋭男性モデルたちが紹介する、厳選されたバッグシューズ特集も必見です(p.48)。新作はどれも丹念な装飾が施され、ラグジュアリーの極み。これはもう、手もとや足もとを輝かせる宝石と言ってもいいでしょう!

Photo: Seiji Fujimori

そしてもうひとつ、今シーズン一番と言っていいほどのハイライトは、モデルの稲垣貴子さんとラグビー界のスター、稲垣啓太選手の結婚式です(p.108)。これほどまでにファッションを愛するお二人が、日本の伝統的な和装での式を選んだのは、とても新鮮に感じられました。特に貴子さんの黒の色打掛姿は、黒髪のボブヘアと相まって、まさに完璧。私たちがヴォーグでいつも見ている、洋装のウエディングドレスとは対照的な、ドラマティックな美の極致です! さらに披露宴のゲストも豪華そのもの。スポーツとファッション、両方の世界の一流どころがずらりと名を連ねました。ちなみに、この披露宴の「DJタイム」が、大いに盛り上がったこともお伝えしておきましょう。DJ KOOとDJ KAORIが繰り出すオールドスクール・ヒップホップの名曲に、私たちゲストも両手を上げて大盛り上がりに。ラグビー選手のみなさんと一緒に踊った、このときのように陽気に秋を迎えられたら、最高だと思いませんか?

Text: Tiffany Godoy Translation: Tomoko Nagasawa

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