スポーツ×ファッションが今、熱い!知っておくべき歴史的トピックスとその未来

20世紀初頭から注目されるようになったスポーツウェア。ココ・シャネル、クレア・マッカーデルなどの女性デザイナーたちから旬のスポーツブランドやイベントでのコラボレーションまで。スポーツ×ファッションの華麗なる足跡を振り返る。

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7月23日(日)パリ現地時間で行われた「VOGUE WORLD」。「VOGUE WORLD」は、2022年にニューヨークで始動し、昨年はロンドンで開催されたグローバルファッションイベントだ。今年はパリへと舞台を移し、ファッションとスポーツの100年を祝い、アイコニックなヴァンドーム広場にてクチュールウィークの幕開けを飾った。

始まりは「おしゃれなスポーツ用の服」

ファッション界は、いつからこんなにスポーツに熱視線を注ぐようになったのか。「VOGUE WORLD」ではスポーツとファッションの関係が10年ごとにテーマを設けて構成されたが、おそらくそのスタート地点、1920〜30年代ごろに遡ることができるだろう。20世紀初頭からアウトドアを好み、ゴルフ、ヨットや釣り、乗馬に興じていたココ・シャネルは、そうした自身の経験から伸縮性があって動きやすいジャージー素材で仕立てたジャケットスカートを生み出した。

1910年頃のココ・シャネル。着心地と機能性を完備したジャージー素材をファッションに取り入れた。

Apic/Getty Images

女性たちの間でスポーツがレジャーとして広まったこともあり、当時競合していたランバンパトゥも20年代にスポーツラインを始めている。鉄道が開通してアルプス近郊にアクセスしやすくなり、スキーもココ・シャネルをはじめ上流階級の人々に人気だった。今日に至るまで、多くのハイブランドがスノースポーツ用のコレクションを展開している。

1930年代から50年代にかけて活躍したアメリカ人デザイナーのクレア・マッカーデル。彼女も機能とデザイン美を追求した女性のための服づくりをしたデザイナーの一人だ。「US VOGUE」1945年4月号より。

Serge Balkin

一方で第二次世界大戦により最先端のパリモードの輸入が困難となっていたアメリカでは、クレア・マッカーデルが活躍していた。限られた人々のためのオートクチュールではなく、中産階級に向けた機械生産を前提とした服を提案した彼女。戦後の好景気で余暇を楽しむ人々のために、機能性はもちろん着心地も考慮した、デザイン性の高い水着も発表していた。

スキー選手だったエミリオ・プッチが創設したエミリオ・プッチはその代表的な幾何学模様のプリントをスキーウェアに反映した(1969年)。

Ernst Haas/Getty Images

スポーツがクールな存在に

その後、スポーツ専用の服がファッショナブルと捉えられるようになる。1973年にアディダスから人気テニス選手の名を冠した「スタンスミス」が販売されたころから「テニスシューズ」は「スニーカー」と呼ばれるようになって市民権を得、80年代には「フィットネス」という概念が広まってボディビルやエアロビクスが盛んとなり、レオタードやレギンス、ヘアバンドといったトレーニングウェアがファッションアイテムに仲間入りする。トラックスーツもヒップホップカルチャーの影響でストリートスタイルの必需品となる。

1970年代ではエフォートレスなスポーティが「チャーリーズ・エンジェル」のファラ・フォーセット。

ABC Photo Archives/Getty Images

1980年らしいポップなマドンナらしく落とし込んで。キース・ハリングプリントのデニムジャケットやスカートがスタイリングのポイントに。

Michael Putland/Getty Images

そして、ファッション界はついにスポーツブランドと手を結ぶ。ジルサンダー(JIL SANDER)は1998年に、そしてミハラヤスヒロ(MIHARA YASUHIRO)は2000年に「プーマ」とのコラボレーションスニーカーを展開し、話題に。

また、ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)は2001-02年秋冬ウィメンズ・コレクションで「アディダス」をテーマに掲げ、スリーストライプスを大胆に用いたウェアと「アディダス フォー ヨウジヤマモト」のスニーカーを発表。03年春夏から「Y-3」をスタートさせている。

スポーツのために開発された機能的な素材を用いるという試みも生まれ、2005年にはステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)アディダス バイ ステラ マッカートニー(ADIDAS BY STELLA McCARTNEY)のスポーツウェアラインを展開し始め、今なおそのコラボレーションは続いている。22-23年秋冬グッチ(GUCCI)×アディダス(ADIDAS)や最新24-25年秋冬ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)×リーボック(REEBOK)など、ダブルネームのコラボレーションは枚挙にいとまがない。

アディダスとコラボレートしたグッチ(2022年)。

picture alliance/Getty Images

2024-25年秋冬のノワール

中でも、2019年春夏オフホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF WHITE)のショーは象徴的だった。「トラック&フィールド」をテーマに会場を陸上競技場に見立て、ナイキとのコラボレーションによるウェアを発表。同社に所属する陸上の選手たちをモデルとして起用したのだ。

2019年春夏のオフ ホワイトのショー。ケンダル・ジェンナー、アドゥ・アケチなどのトップモデルはもちろん、陸上選手たちがランウェイを闊歩した。

Kay-Paris Fernandes/Getty Images

2017〜18年にナイキのスニーカーをリデザインするプロジェクト「THE TEN」を展開して人気を博したヴァージルだからこそ実現した出来事だっただろう。

いまや、スポーツはファッションと切り離せない存在となった。女子テニス界のレジェンド、セリーナ・ウィリアムズを筆頭に、プロバスケット選手エンジェル・リースや昨年のテニス全米オープンの女王、コリ(愛称ココ)・ガウフといった新世代など、ブランドのアンバサダーに就任したり、METガラにドレスアップして参加したり、ヴォーグの表紙を飾ったり、自身のブランドを展開したりするアスリートが数多くいる。

2024年4月号の「US VOGUE」の表紙を飾ったテニスプレイヤー、コリ(愛称ココ)・ガウフ。

プロバスケット選手エンジェル・リースは今年初めてMETガラに初参戦した。

John Shearer

スポーツファンをも取り込みたいというファッション界の思惑もありつつだが、彼らが鍛え抜かれた肉体で服をダイナミックに着こなすことができるのも大きいだろう。

映画『チャレンジャーズ』(2024)のプレミエでのゼンデイヤ。テニスラケットが刺繍されたトム ブラウンのドレスを纏って。

Neil Mockford

2015年ごろに巻き起こったスニーカーを中心とするストリートウェアブームや、17年ごろのアスレジャーブーム、今年に入っての映画『チャレンジャーズ』(2024)プロモーションでのゼンデイアの「テニスコア」スタイルもその一例。そして、ランウェイでは毎シーズンのようにスポーツウェアが取り上げられる。

近未来的なムードを感じさせるルイ・ヴィトン2024-25年秋冬。

ミュウミュウはサークルスカートにブルゾンとプルオーバーでスポーティさをミックス。

バックパックがドレスに!バレンシアガらしいウィットに富んだルック。バレンシアガ2024-25年秋冬より。

長年かけて築き上げられたスポーツとファッションの蜜月関係。私たちモードラバーも、決して見逃すわけにはいかないのだ。

Text: Itoi Kuriyama Photos: Serge Balkin (Claire McCardell), Gorunway.com (Runway Photos), Annie Leibovitz (Coco Gauff US VOGUE 2024 April Cover), Marcell Rév (Gigi Hadid Vogue World), Getty Images (Rest)