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制作時間は計13,500時間以上。職人の技が息づく、ジジ・ハディッドが纏ったフローラルドレス【メットガラ2024】

メットガラ2024にジジ・ハディッドが纏ったのは、ニューヨークを代表するデザイナーのトム ブラウンTHOM BROWNEによるオフショルダードレス。70人以上もの職人たちが合計13,500時間以上をかけて手作業で仕上げたこのルックは、メットガラの後、デザイナーのアーカイブに保存されるという。
Photo: Dimitrios Kambouris/Getty Images

メットガラの常連、ジジ・ハディッドが2024年のテーマ『Sleeping Beauties: Reawakening Fashion(眠れる美:ファッションの目覚め)』のために選んだのは、トム ブラウンTHOM BROWNEによるオフショルダードレス。ダッチェスサテンで縁取ったホワイトシルクのモアレコートの下から、立体的な黄色のバラで飾られたコルセットドレスが姿を表すユニークなデザインだ。70人以上もの職人たちが合計13,500時間以上もの時間をかけて手作業で仕上げたこのルックは、メットガラの後、ブラウンのアーカイブに保存されるという。

「ジジが生き生きとしている姿をこうして間近で見られるのは、いつも光栄なこと。彼女は本当に才能であふれていて、何をしていても輝いて見えます。彼女のルックは、アンドリュー(・ボルトン)の展示に見られるような儚さとその仕事を体現したもの。レッドカーペットの上で、そしてメトロポリタン美術館のなかで花開くように演出したかったのです」とデザイナーは語る。

Photo: Courtesy of Thom Browne
Photo: Courtesy of Thom Browne

黄色いバラの花園をアップリケで再現した一着は、ボリュームのあるスカートだけでも40人もの職人の手が加わっており、完成するまでに8,500時間以上を要した。コルセットドレスもまた、20人の職人が5,000時間をかけて、280万個のマイクロバグルビーズを手作業で刺繍したという。

「最終フィッティングで、ようやく実際にこの目で見て、手に取ることができました」とハディッド。「一輪のバラだけでも芸術作品と呼ぶに値します。このドレスに費やされた時間と人々の労力は信じられないほど。そんな一着を纏うことは私にとって名誉なことですし、私はその想いを胸にレッドカーペットを歩きます。デザインチームの仕事をとても誇りに思います」

Photo: Mimi Cuttrell

ハディッドのスタイリスト、ミミ・カトレルのインスピレーションとなったのは、植物に囲まれた庭の彫像だった。「私はとても視覚的に仕事をするので、完璧なルックをキュレートするための画像を探すとき、Pinterestは最高のツールです」と彼女は言う。「ジジのルックでは、つる植物や花のディテールが施された庭の彫像や石柱に焦点を当てました。古代イタリアの庭園を参考にしています。ドレスの美しい色合い、そしてルックに合わせたジュエリーが光によって際立たつのがとても気に入っています」

Photo: Mimi Cuttrell
Photo: Mimi Cuttrell

2015年にメットガラデビューを飾って以来、ダイアン フォン ファステンバーグDIANE VON FURSTENBERGによるレッドドレスやヴェルサーチェVERSACEによる超ビッグサイズのパファーコート、マイケル・コースMICHAEL KORSスーツ、『ロジャー・ラビット』(1988)のジェシカをイメージしたプラダPRADAのルックなど、ハディッドは常にドレスコードに敬意を払ったルックの数々で私たちを魅了してきた。

「ファッション業界に身を置く私にとって、この夜が一年のなかで一番好き」とハディッドは断言する。「私たちにとっては、プロムのようなものですね。思い切り楽しんで、ちょっとクレイジーになれる場所だと思います。私たちは仕事としてやっているわけではなく、一緒に創作し、このような芸術作品を保存するための資金を集めるために参加しています。だから毎年、いろいろなクリエイターがこのテーマにどう取り組んでいるのか、会場を見て回るのがとても楽しみなんです」