ファッションにおいても、私たちはどうも手の届くものよりも、手の届かないものの方により強く憧れを抱くらしい。この心理をおそらく誰よりも理解しているのが、ザ・ロウ(THE ROW)の共同設立者兼デザイナーであるメアリー=ケイトとアシュレー・オルセン姉妹だ。彼女たちは先月2024-25年秋冬コレクションで、ゲストたちにランウェイの様子を撮影・投稿することを控えるよう求めた。出席者たちは配布されたメモ帳に手書きでショーの記録をとるほかなかった。
だが、ザ・ロウともなるとSNSへの共有を禁止しても、露出度に影響はない。なぜならジェニファー・ローレンス、ケンダル・ジェンナー、ゾーイ・クラヴィッツなど、オンオフともに注目されるセレブたちがリアルスタイルに取り入れ、自然と世界にその魅力を発信しているからだ。そのうちの一人がハリー・スタイルズ。2月にはパリで、そして今月はニューヨークでメゾンのシグネチャーである「マルゴー」バッグを提げてキャッチされた彼の宣伝効果は計り知れない。それがカップルコーデとして披露されれば、話題性はさらに高まる。
つい先日、スタイルズは交際中のテイラー・ラッセルとニューヨークにある友人宅を後にするところをキャッチされた。そしてネットは2人揃っての登場だけでなく、ファッションにも注目している。替えのシューズなどあふれ返るほどの荷物を詰め込み、今流行りつつあるバッグの持ち方を披露したスタイルズと、ザ ・ロウのローファーを履き、アンバサダーを務めるロエベ(LOEWE)の「フラメンコクラッチ」と「パズルトート」を提げたラッセル。イットバッグをいくつも取り入れたシックなカップルコーデには、憧れずにはいられない。
Text: Daniel Rodgers Adaptation: Anzu Kawano
From VOGUE.CO.UK