憧れのトゥルンと艶めく髪を手に入れるために、どのような方法があるのだろうか? その疑問に答えてくれたのは、ヘアサロン「kakimoto arms」ビューティアドバイザー/毛髪診断士の秋葉智絵さんだ。
髪のツヤ=キューティクルが整っている証し
髪の内部にはタンパク質や水分などの栄養素がたっぷり含まれ、髪の表面はキューティクルが剥がれることなく閉じて整列している状態のとき、美髪に見える。「特に髪の中間から毛先をしっかりケアしていると、ツヤ感がより際立ちます」
ゴワつきなど髪の手触りの変化が、ツヤ喪失のサイン
「キューティクルが開くとツヤがなくなってしまうのですが、前段階として髪の内部からタンパク質や水分が流出していきます」。指どおりやクシどおりがよくない、髪の手触りがゴワつく、髪がパサついて見える。どれかひとつでも思い当たったら要注意。このあとキューティクルが開いていくので、そうなる前に正しいお手入れを。
ツヤ髪を目指すのに理想的なデイリーケア
シャンプー、コンディショナー、アウトバストリートメント後にドライヤー、仕上げにヘアオイルが基本。「最近はホームケアアイテムがすごくよくなっていて、セルフケアでいろんなことができるようになっているのに、プロダクトのポテンシャルをいかしきれていない人が多い気が……。セルフケアのコツをつかめば、ツヤ髪への近道に」。何を使うか以上に、どう使うかがポイント!
セルフケアの仕方を変えるだけで髪質は変えられる
美髪ではなくなる大きな要因のひとつは、間違ったケアの仕方にあり。「シャンプーをきちんと泡立てる、トリートメントの放置時間を守るなど、正しい使い方をするだけで髪質がよくなっていくと思います。アイテムを買い替える前に、いまあるものの使い方を見直して。シャンプーなどを流すお湯は38〜40℃に。お湯が熱すぎると髪や頭皮の乾燥をまねきます」
美髪を育む正しいシャンプーの仕方
- お湯だけで予洗いをしっかりする。1分くらいが目安。
- シャンプーを手のひらで軽く泡立ててから、頭皮からしっかり洗う。
- 3分くらいかけて、きっちり洗い流す。
「予洗いをしない人がとにかく多いです」と秋葉さん。予洗いをしないとシャンプーの泡立ちが悪く、きちんと洗えないうえに髪の摩擦ダメージも大きい。シャンプーをいきわたらせて頭皮までしっかり洗えるようにするために、予洗いは必須。「正しいシャンプーの仕方を実践すれば、髪の質感がやわらかくなり、頭皮のニオイもケアできます」
【やりがちなNG行為】
- シャンプーを髪で泡立てる
- 髪をゴシゴシこすりながら洗う
ダメージ改善。正しいトリートメントの仕方
- 使用量と放置時間を守る。
- 毛量やダメージの多いところから塗布する。
「何よりも、使用量と放置時間を守ってほしいです。ほんのちょっとしか使わないとか、すぐに洗い流してしまうのでは意味がないし、そっちのほうがもったいない。毛量の多い首の後ろの内側と、ダメージの多い髪の中間から毛先にしっかり塗布し、余ったものを髪の表面に。アウトバストリートメントについても同様です」
【やりがちなNG行為】
- 適量より少なく、放置時間が短い
- 髪の表面にたっぷり塗布しすぎ
美髪を育む正しい髪の乾かし方
- タいオルドライをしっかりしておく。
- 風温ではなく、風圧で素早く乾かす。
- 仕上げに上から下へ向けて風をあてる。
髪をきちんと乾かさない人がいまだに多いという。「キューティクルは髪が濡れているときに開くから、きちんと乾かしてキューティクルを閉じないとツヤは出せません。生乾きだと頭皮に菌が発生しやすく、タオルドライは頭皮からしっかりと。そうすればドライ時間の短縮になり、髪へのダメージの軽減にもつながります。主にタンパク質から成る髪に高温の風をあて続けるのはよくないですが、最近のヘアドライヤーは低温&風圧で乾かす仕様がほとんど。熱ダメージを気にして中途半端に乾かすよりも、最新のドライヤーできちんと乾かすほうがダメージレスだと思います。ツヤをより意識するなら、上から下へ風をあてて。キューティクルは上から下へウロコ状についているので、ツヤが出やすくなります」
【やりがちなNG行為】
- 頭皮を乾かせていない
- 半乾きのまま寝る
簡単にできるスペシャルケア
(1)シャンプー前のブラッシング
「シャンプー前のドライな状態でブラッシングするだけで、汚れの8割ほどが取れると言われています」。髪のもつれがなくなってシャンプー時の泡立ちもよくなるので、頭皮の汚れも落ちやすくなる。さらに、シャンプー中もブラッシングして頭皮や髪に付着した汚れを取り除けばなおよし。
(2)超音波系アイロンでトリートメントの浸透をアップ
ヘアケアは髪にいい成分をいかに効率的に浸透させるかがポイント。「トリートメントの浸透をよくするのにおすすめなのが超音波アイロンです。いつも使っているトリートメントをより均等に、髪の内部まで届けることができる。蒸しタオルでホットパックにするのでもいい。温めることでトリートメントの浸透力が高まります」
(3)週2〜3回、ダメージ予防の集中ケア
「ダメージ部分に栄養を入れてもすぐに抜けてしまうので、まずは髪本来の状態に戻してあげることが大事。週2〜3回、ケア力の高いアイテムを取り入れると、より美髪に近づけます」。いまはヘアカラーをしている人がほとんどということもあり、ダメージと向き合うのがマストに。ダメージの予防策としても集中ケアを取り入れて。
(4)これから生えてくる髪のための頭皮ケア
「いまある髪をケアすることも大事だけれど、これから生えてくる髪のために頭皮ケアも欠かせません。スクラブなどで週1回ディープクレンジングをしたり、シャンプー前にオイルマッサージをするのもいい。毛穴につまった汚れや余分な皮脂などを取り除き、血流やリンパの流れをよくするなどして頭皮の環境を整えることは、ツヤ髪の生育に大いに関わってきます」
(5)サロンでのスペシャルケア
サロントリートメントのメリットはプロダクトの濃度や組み合わせ方にあり。「髪のコンディションやお悩みなどから必要な栄養素を診断し、髪質に合ったものをチョイスしてオーダーメイドのような施術をするのがサロントリートメント。使用するプロダクトはホームケアでは使えない高濃度のものや、分子レベルがはるかに小さいもので、そこに浸透力を高める成分を組み合わせて塗布したり。だから、サロントリートメントは効果が高く、持ちもいいです」
更に、いま最注目は蓄積したカルシウムを除去する美髪トリートメント。「髪のダメージの原因がいろいろと分かってきたこともあり、最近のダメージケアは与えるケアから、余分なものを取り除くケアへと変わりつつあります」。そのひとつが、カルシウムの除去にフォーカスした「ケラスターゼ プルミエール トリートメント」。
STEP 1:プレトリートメント
髪内部のカルシウムを除去しやすい状態に整える
STEP 2:シャンプー
髪内部のカルシウムを取り除き、ダメージを補修
STEP 3:トリートメント
髪表面のカルシウムを取り除き、ダメージを防ぐ
STEP 4:集中トリートメント
キューティクルを整えながら、髪表面をコーティング
水道水に含まれるカルキもカルシウムの一種なので、髪質などは関係なく髪に水道水を浴びている人すべてが対象になるトリートメント。「ヘアカラーやブリーチのダメージが気にならなくなったとか、パーマのリッジが戻ったなど、効果を実感している声を多数いただいています」
実際にトリートメントを受けてみると、施術後の髪の手触りが全然違う。髪のパサつきが一番の悩みだった筆者も、「なめらかすぎて自分の髪じゃないみたい」と大満足。本来の髪はこうだったんだと気づけるし、髪のポテンシャルにも希望がもてる。使用した4アイテムのうち3つはホームケアプロダクトと同じものなので、セルフケアでこのいい状態をキープできそうなのもいい。
(6)ヘアカラーやパーマ後はサロンでのアフターケアを習慣に
ヘアカラーやパーマなどのケミカルな施術をした直後は髪が繊細な状態なので、サロンでアフターケアをしてほしい。「施術のタイミングでトリートメントができてしまうのも、サロントリートメントのメリットだと思います。その後は月1回の頻度で受けるのがおすすめ。並行してホームケアを行なっていくことも大事で、より長い期間サロン帰りのような質感を楽しめます」
ツヤ髪にまつわるQ&A
Q. ヘアアイロンはツヤ髪には逆効果?
A. 熱に強いアウトバストリートメントを必ず使用して
「当然ですが、温度設定には注意が必要です。低温のほうが髪にはやさしいですが、なかなかストレートやカールの形がつかず、繰り返し髪に通すことになって、結局はダメージにつながってしまう。高くても180℃くらいまでにして、長時間あてないのがいいと思います。ドライヤーで乾かす前もそうですが、アイロン使用前には必ず、熱から髪を守るタイプのアウトバストリートメントをつけること。そうすれば、艶やかに思いどおりのヘアスタイルを楽しめるはず。素髪のままヘアアイロンを使うのは、絶対にダメです」
Q. ヘアカラーはツヤ髪には逆効果?
A. カラーヘア専用アイテムはツヤ髪仕上げ
「ヘアカラー直後は特にダメージを起こしやすいので、カラーヘア用アイテムなどでダメージ予防を。ヘアカラーをしていない人にもおすすめすることがあるくらい、カラーヘア用アイテムはツヤ出し効果が高いものが多いです。ハイトーンの髪でも、しっかりツヤを出せるはず。ツヤ出しといえばオイルが適任ですが、酸化して髪のダメージの原因になることも。酸化しにくいオイルかどうかも気にして選ぶとなおよし」
Text: Chiho Ejiri Editor: Rieko Kosai
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