イギリス出身の歌手で俳優のジェーン・バーキンが、7月16日(現地時間)に死去した。76歳だった。1970年代を代表するファッションアイコンが、パリの自宅で亡くなっているのを発見されたという。アンドロジナスなルック、子鹿のような印象的な眼差し、ささやくような歌声で一世を風靡した彼女は、今年5月に健康上の理由でコンサートのキャンセルを余儀なくされていた。
1946年、ロンドン生まれ。イギリスが世界に衝撃を与えたビートルズやローリング・ストーンズ、マリー・クヮント、ツイッギーに続き、彼女はフランスにやってきた。もともとブリジット・バルドーのために書かれた詞をバーキンのエロティックな声で歌い上げたセルジュ・ゲンズブールとのデュエット曲「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ(Je t'aime... moi non plus)」は、世界中で大ヒット。生涯で20枚以上のアルバムをリリースしているバーキンだが、俳優として『欲望』(1969)や『ナイル殺人事件』(1978)など65本の映画に出演。また世代を超えてファッションアイコンとしても愛され、エルメス(HERMES)を代表するバッグ「バーキン」を生み出した。
私生活では、3人の才能豊かな男性との間に3人の娘をもうけた。作曲家ジョン・バリーとの間に1967年に長女ケイト・バリー、1971年にセルジュ・ゲンズブールとの間に次女シャルロット・ゲンズブール、そして1982年に映画監督ジャック・ドワイヨンとの間にルー・ドワイヨンを出産。しかし写真家として活躍していたケイト・バリーは2013年、パリの自宅から身を投げて死去している。
人道的な活動に熱心だったことでも知られるバーキンは、2011年の東日本大震災発生からまもない同年4月に復興支援活動のためにいち早く来日し、チャリティーコンサートを開催。日本・フランス間の相互理解および文化交流の促進に寄与した功績により、2018年に旭日小綬章を受章した。
ジェーン・バーキンはその歌声で世界を魅了するだけでなく、声なき人々のために立ち上がってきた。彼女の不屈の精神は、これからも世代を超えてインスピレーションを与え続けるだろう。
Text: Marie Leger
From VOGUE.FR

