ジャック・オーディアール監督作『エミリア・ぺレス』で、トランスジェンダー俳優として初めてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたカルラ・ソフィア・ガスコン。人種差別やイスラム嫌悪、また共演者であるセレーナ・ゴメスをけなした過去のツイート(現X)が物議を醸す中、「CNN」で1時間にわたるインタビューを受け、「私は人種差別主義者ではない」と涙ながらに否定した。
「ヴァラエティ」などによると、彼女はすでに削除されている投稿で、ブラック・ライブズ・マター運動のきっかけとなったジョージ・フロイド氏のことを「麻薬中毒の詐欺師」と呼び、「彼の死は、いまだに黒人を人権のない猿とみなす人々や、警察を殺人者とみなす人々がいることを改めて浮き彫りにした、どちらも間違っている」と綴っていた。これについて、「彼は長く困難な状態にあったのに助けを得られなかった人物です。それなのに突然、ムーブメントの象徴となり、誰からも愛される存在になった。そう言いたかっただけなのに、肌の色を理由に人を侮辱したと曲解されてしまった。私はそんなこと絶対にしません」とガスコンは説明した。
イスラム嫌悪の投稿を繰り返していたとされる件については、ムスリム女性と交際した経験があり、「彼女を敬愛し、愛した」「彼女は私に人を尊重することを教えてくれた」と明かし、イスラム過激派に対して反対を表明したまでだとコメント。これまで人に危害を加えたことは一度もないとして、「私が一体何をしたと言うのですか? ハエも殺さない。部屋に蜘蛛がいたら、小さなグラスを使い、殺さないように屋外に逃がします」と語った。
また、セレーナのことを「金持ちのネズミ」と呼んだとされる投稿については、「もちろん私がしたことではありません。共演者について、あんな言い方をしたことは一度もありません」と否定。オスカー獲得に向けキャンペーン中の彼女を陥れるために何者かが行った行為である可能性を指摘した。
オスカー候補から退くか聞かれると、「評価されたのは仕事の面であり、演技であるから、辞退はできない」と否定。「私は罪を犯したわけでないし、人に危害を与えたわけでもないから、アカデミー賞候補を辞することはできません。私は人種差別主義者でもないし、私がそうであると誰かが人々に信じ込ませようとしている何者でもありません」と述べた。その上で、「賞など気にしていない」と話し、「私が気にかけるのは、私が代表する人々のこと。この世界において、私が象徴するものだからです。私たちは変わることができるし、良い人間になることができる」と語っている。
なお、ガスコンは1月31日(現地時間)、『ハリウッド・リポーター』を通じて出した声明で、殺害脅迫や嫌がらせを受けていることを明かし、自分と家族を守るために「彼らの要求に従ってXのアカウントを閉鎖します」と発表していた。
Text: Tae Terai
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