第66回グラミー賞に6部門ノミネートされ、「Flowers」で年間最優秀レコードと最優秀ポップ・パフォーマンス(ソロ)を受賞したマイリー・サイラス。子役からキャリアをスタートさせて8枚のアルバムをリリースし、数々のヒット曲を送り出してきたが、彼女がこれまでグラミー候補となったのはたった2度。『Bangers』で最優秀ポップボーカルアルバム候補となった2015年、そしてリル・ナズ・Xのアルバム『MONTERO』で最優秀アルバム賞にノミネートされた2022年だけだった。マイリーは『W』誌のカバーインタビューでこう語る。
「他意はないけれど、もう20年も音楽活動をしていて、グラミーに真剣に捉えてもらったのはこれが初めて。長い間、評価基準は何なのかと理解するのに苦労してきました。統計や数字が大事なら、私はなぜ評価されなかった? カルチャーに与えた影響? それでもダメだった? 傲慢になっているのではありません。自分自身を誇りに思っているのです」
授賞式でティナ・ターナーを思わせるドレスを着て「Flowers」を熱唱した彼女は、「なんでこの曲を知らないみたいなフリしてるのよ!」と会場にもっと盛り上がることを求め、「初めてグラミーを獲得した!」と喜びをあらわにした。「怖かったから、勇気を称賛する場にしたかった」と振り返る。
「これまで今みたいに恐れを抱いたことはありませんでした。だけど2年も孤独に過ごし、ロックダウン中はほとんど人にも会わなかったのに、何百万人も見るグラミー賞でパフォーマンスするなんて、神経系が大きなショックを受けました。観察されたり、評価されたりする立場の人は勇敢だと思う。8人でも800万人でも関係ない……恐怖です」。そう語る彼女はステージに出る前、まさに幕が上がろうとしているとき、恐怖を振り切るかのように声の限り叫んだそうだ。「私は自由!」
Text: Tae Terai