昨今のファッションシーンで圧倒的に話題となっているアイテムと言えばネイキッドドレスだ。リアーナやエミリー・ラタコウスキー、カーダシアン一家などがあらゆる場面で纏ったおかげで一気に知名度が上がったが、2024年はネイキッドドレスに取って代わる“ネイキッドスカート”がトレンド入りの兆しを見せている。
2024年春夏コレクションでジバンシィ(GIVENCHY)、カルヴェン(CARVEN)、16アーリントン(16ARLINGTON)、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)、プラダ(PRADA)、コペルニ(COPERNI)など数多くのメゾンが発表したネイキッドスカートをおそらくいち早くオフランウェイで披露したのは、“見せる”ファッションを牽引している俳優のフローレンス・ピューだ。昨年3月、ヴァレンティノ(VALENTINO)の2023-24年秋冬コレクションに出席した彼女は、白いショーツが透けて見えるシースルーのマキシスカート姿で登場。その露出度高めのルックを見ると、新たな下着見せトレンドの到来かと思えてしまうが、ネイキッドスカートはデイリー向けにもスタイリング可能という点で、ネイキッドドレスなどの肌見せファッションとは一線を画す。
ネイキッドスカートは単に肌の露出を増やすために取り入れるものではない。クラシックなルックに深みを与え、多彩な表情を引き出す風合いのレイヤリングアイテムだ。そのほとんどが膝上か膝下丈で、素材はオーガンザやチュールといったロマンティックなものが多い。ランウェイではグレーのニット、テーラードコート、ベルト付きジャケット、バレエシューズ、ローファーなど、ワンランク上のベーシックアイテムと見事に融合していた。
「完全にシースルーなルックは積極的に迎え入れてはいないですが、シアーコーデやシアーアイテムを使ったレイヤリングに積極的にトライするお客様が徐々に増えてきました」とマッチズファッションのウィメンズウェア・バイイング責任者のリアン・ウィギンズは言う。「個人的には良いシアースカートに投資して、イブニングにもデイリーにも着られるルックを作るのが好きです。プラダの過去シーズンのものなどは、ウエスト部分が透けない素材の巧みなパネリングデザインで、上品なスタイリングが叶います」
クワイエット ラグジュアリーを連想させるカラーパレットを用いているからか、春夏コレクションで披露されたネイキッドスカートはスパンコールやメッシュ、レースといった派手目な素材のものよりもエレガント。プラダのショーではリッチなワインレッドの一枚が目を引き、カルヴェン、アルチュザラ(ALTUZARRA)とアクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)はダヴからスレートまで、さまざまなグレートーンで攻めた肌見せデザインを和らげた。そして16アーリントンは大ぶりなスパンコールが煌めくスカートを、ボタンアップシャツやオーバーサイズのクルーネックセーターと合わせ、リラックス感漂うスタイリングでセンシュアルなムードとカジュアルさを両立。素材や色遊びで、バランスのとれたルックの数々をランウェイに送り出した。
プラダとカルヴェンのショーでも、大胆さと実用性のコントラストが光るスタイリングが見られ、「シフォンかオーガンザ製の長めでよりフェミニンなシースルースカートを、オーバーサイズのカシミアニットやブレザーとマッチしているあたりがとても好きです」とウィギンズにも好評だ。
ネイキッドスカートにはアクセサリーが欠かせない。下着が透けて見えるからこそ、プラットフォームヒールやスティレットなどといった主張の激しいシューズは避け、光沢のあるブーツやサテンのバレリーナパンプス、洗練されたローファーなどを合わせるのがしなやかに着こなすコツだ。プラダをお手本にするなら、足もとはメリージェーンローファーとブラックのアンクルソックス。全体的にバランスをとりたい場合は、ジバンシィのように黒いシアーソックスを。ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)に倣って、特徴的なプリントのソックスでスカートのインパクトを分散すれば、まとまりのあるルックが完成する。また、アクネ ストゥディオズ、16アーリントン、アルチュザラなどのショーに登場した大容量のクラッチバッグを持てばコーデが一層カジュアルダウンし、ナイトアウト以外の場面でもウェアラブルなコーデになる。そして肝心な下着は、シンプルな黒いショーツが合わせやすい。
徐々にだが、着実に存在感を示し始めているネイキッドスカート。ネイキッドドレスほどのインパクトをファッション界に残すことはできるのだろうか。
Text: Emma Spedding Adaptation: Anzu Kawano
From VOGUE.CO.UK
