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フィービー・ウォーラー=ブリッジを徹底解剖──「フリーバッグ」から『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』までの軌跡

ハリソン・フォード演じるインディ・ジョーンズにとって、最後の冒険となる最新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が公開される。今作にヒロインとして出演しているのが、フィービー・ウォーラー=ブリッジだ。類まれな才能でエンタメ界を夢中にさせている彼女の正体は? その才能に迫る。
フィービー・ウォーラー=ブリッジ、アカデミー賞Phoebe WallerBridge at the 95th Annual Academy Awards held at Ovation Hollywood on March 12 2023...
Photo: Gilbert Flores/Getty Images

フィービー・ウォーラー=ブリッジは、1985年のロンドン生まれ。良家の出でプライベートスクールで教育を受け、2006年に英国王立演劇学校を卒業する。UK版『GQ』によると、8歳のころに舞台『ダウンタウン物語』を観て俳優を志し、当時から「やるならコメディが一番楽しいのではないか」と思っていたという。

舞台俳優と脚本業からキャリアをスタートし、2010年にシーズン3まで製作された英国の人気シットコムTV「How Not To Live Your Life(原題)」で、俳優として本格デビュー(出演は1話のみ)。しかし、撮影自体は楽しかったものの、セクシーな下着を着用したり、裸で口ひげをつけて男性を叩くといった役は、「自分で書いた作品だったらともかく(面白さなどのさじ加減など考慮し)、常にこういう役を演じるのはイヤ」と感じたそうだ。その思いが後に彼女が主演、脚本、プロデューサーを務めるダークコメディドラマ「Fleabag フリーバッグ」につながっていく。

「Fleabag フリーバッグ」が賞レースを席巻

「Fleabag フリーバッグ」はAmazonプライムビデオにて配信中。

Photo: Amazon/Everett Collection/amanaimages

「Fleabag フリーバッグ」は、ロンドンでモルモットをテーマにしたカフェを経営する、皮肉屋で怒りと自己嫌悪に駆られがちな性欲強めの“フリーバッグ(みじめな人)”と呼ばれる30代の女性を主人公にした型破りなドラマだ。ところがダークコメディながら、女性ならではのあるあるをユーモアを交えて見事なまでに散りばめ、「よくぞ言ってくれた!」と多くの人たちの共感を得て、英国を中心に大人気を集めることに。

Photo: Frazer Harrison/Getty Images

今作は2013年に開催された「エジンバラ・フェスバル・フリンジ」で初演された65分のひとり芝居が元になっており、『Time Out』のレビューなど多方面からの高評価を得て、TVドラマ化されるに至った。ブラックジョークやセックスをネタにした笑いやリアリティはそのままに(実際には舞台の方が下ネタは強烈のようだが)、TV用にキャストや描写などを肉付けし、奥行きを出して大成功。セックス好きの辛辣な女性が主人公ということで、なかなか「あの作品の大ファン」とは言いづらい作品ではあったが、2019年の第71回エミー賞最優秀主演女優賞、最優秀脚本賞、最優秀コメディシリーズ作品賞の3冠に輝いたことで、多くの人たちが一気にファンを公言するようになった。

「キリング・イヴ/Killing Eve」で世界に名を知らしめる

Photo: BBC AMERICA/Everett Collection/amanaimages

英国以外の国では「Fleabag フリーバッグ」の人気は、2018年にスタートしたドラマ「キリング・イヴ/Killing Eve」の大ヒットの後追いだった。美しき暗殺者(ジョディ・カマー)と、彼女を追いかける英国諜報機関の女性捜査官(サンドラ・オー)とのスリリングな攻防を描いたドラマは、スタイリッシュで緊迫感たっぷり。秀逸なキャラクターの心理描写などを含め、テンポよく展開するところも魅力だ。

フィービー・ウォーラー=ブリッジは今作のプロデューサーを務め、シーズン1では脚本とショーランナーも担当。2019年の第71回エミー賞では9部門、2020年の第72回エミー賞では8部門にノミネートされるほどの人気に。以来、今のエンタメ界で特に女性キャラクターを誰よりも魅力的に描く人物として、多方面からラブコールが鳴り続けている。ちなみに私生活では、ドキュメンタリー映画監督のコナー・ウッドマンとの離婚を経て、『スリー・ビルボード』(2017)や『イニシェリン島の精霊』(2022)を手がけた監督・脚本家のマーティン・マクドナーと2018年から交際をしている。

『スター・ウォーズ』を知らずにオーディションに臨む

Photo: © Lucasfilm/ © Walt Disney Studios Motion Pictures/Everett Collection/amanaimages

2018年に公開された『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフ作品『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』に俳優として出演しているフィービーだが、実は人生で『スター・ウォーズ』を一度も観たことがないまま今作のオーディションに臨んだという。2018年のTVトーク番組「グラハム・ノートン・ショー」に出演した彼女は、人生で一度も『スター・ウォーズ』シリーズを観たことがなかったため、ドロイドと書かれた役柄の意味がわからなかったそうだ。

「オーディションを受ける場合、たいてい演じる役柄は人間なので人間として演じたら、『すごくよかったけど、今度はもっとドロイド風に演じてもらえないかな?』と監督からリクエストされて。その監督の腕がロボット風の動きをしていたので、『ロボットだ!』とピンと来た」と自ら爆笑。今作は無事出演が決まったが、TVドラマ「ダウントン・アビー」のオーディションでは、シリーズには面白すぎるキャラとして、落とされてしまったという。

ジェームズ・ポンドも夢中に!

Photo: Jeff Spicer/Getty Images

ダニエル・クレイグが演じる最後のジェームズ・ボンド映画となった『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)では、脚本にも参加。「オブザーバー」によると、当時「Fleabag フリーバッグ」と「キリング・イヴ/Killing Eve」を観て大ファンになったダニエル・クレイグ自らが、同作品の4人目の脚本家としてフィービー・ウォーラー=ブリッジを猛プッシュしたという。

2021年のTVトーク番組「グラハム・ノートン・ショー」でもクレイグは、「フィービーは超、超多忙なので、一緒に過ごす時間が足りませんでした。でも、彼女は脚本に大きな影響を与えてくれた。今、最も優れた脚本家の一人ですから」と絶賛している。「デイリー・メール」によると、映画『007』シリーズの次作でフィービーは共同脚本のみならず、監督候補のトップだという噂もあがっているようだ。

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』に続く、今後のプロジェクトは?

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』は6月30日から全世界同時公開。

©2023 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

俳優としての最新作は『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』となるが、それ以降のプロジェクトも始動している。つい先日、ドナルド・クローバーの相手役として出演予定だったリブート版ドラマシリーズ「Mr.&Mrs.スミス」からの降板が発表されたばかりだが、一方でクラウディア・ラックス著『Sign Here』のTVドラマ化をアマゾンとともに行う予定だと「ハリウッド・レポーター」は報じている。地獄で働く男が主人公のダークユーモアあふれる物語で、著者のラックスが脚本を手がけ、フィービーは脚本以外の部分でプロデュースを行うようだ。

©2023 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

また、2024年公開予定のジョン・クラシンスキー監督&脚本の映画『Imaginary Friends(原題)』にもライアン・レイノルズマット・デイモンオークワフィナなどとともに出演予定。「デッドライン」によると、今作はクラシンスキーによるオリジナル脚本で、幼い頃の創造力を再発見する様子を描いたコメディだそうだ。豪華キャストの中でフィービーがどのような存在感を放つのかにも注目したい。

Text: Rieko Shibazaki