──ロクさんはオファーを受けて、どのように感じましたか?
ロク H&Mのコラボはファッション業界最大のステイトメント。これまでも多数の素晴らしいタッグが誕生しているため、次期コラボレーターになれるとわかってとてもうれしく思いました。自身のヴィジョンを世界に届ける良い機会となるし、ファッションを愛する世界中の人々が手に取りやすい形で展開される点も素晴らしいと思います。
──双方のチームはどのようにコレクションを組み立てていったのでしょうか?
ロク まず2つのブランドがともに作業を行う際に、どこでコレクションを構築していくかについて話しました。H&Mチームがロクのデザインスタジオに来ることもできましたが、実際に私たちがH&Mのスタジオに足を運び、チームの皆がそこでしか出来ない体験を通して制作にあたることに意味を感じたため、スウェーデンを3度訪れました。実際に全ての生地やボタンに触れたり、モデルの体に着せ込んだり。そういった過程を経て、私たちがとても大切にしているパーソナルで人間味のあるタッチを生み出せたと思っています。
ロクのアイコニックなデザインを散りばめて
アン=ソフィー ロクと同じ想いですが、最も美しいコレクションを作り上げたいという熱意のもと、彼やH&Mを含めチーム全員がとても熱心だったのが印象的ですね。また、ロクには非常にしっかりしたヴィジョンがあったので、実際私たちはブリーフを彼らに渡したわけではなく、ロクのデザインの好きなところを数スライドに載せて伝えたくらいなんです。ロクのチームはとても寛大で、今回のコレクションにもシグニチャーデザインやアイコニックな要素などが盛り込まれることになりました。
ひねりを効かせたディテールが光るメンズアイテム
──今回、メンズアイテムも展開していますね。最もこだわった点をお聞かせください。
ロク 実は2024年春夏のメンズウェアの準備期間に、H&Mとのメンズウェアの制作も同時に始まっており、コラボのアイテムにも興味深いディテールが施されています。メンズのテイラリングには暗黙のルールのようなものが存在しますが、私のデザインでは肩にひねりを加えたり、バックシームを前に用いたりと、クラシックなフォームを保ちながら違和感のあるルールを打ち破るというデザインを施し、それらがブランドの美学になっています。
──デザインする上で一番苦労したことはなんですか?
ロク デザインやコレクション製作の過程という部分では、ロクのコレクションを手がけるのと変わりはありません。私はこのコラボレーションに100%を注ぎたいと思いましたし、ロクのシグニチャーでもある美しくて時代を超越したものをたくさんの人に届けたいと思ったからです。価格に関わらず、デザインとアイデアを通して価値あるものを手にしてもらえるという点においても、今回のコラボのアプローチは非常に美しいものを感じました。
必ずゲットしたい日韓限定アイテム
──日韓限定アイテムの中でおすすめはありますか?
アン=ソフィー ウィメンズで3型、メンズで1型を展開します。中でも、クロムフリーレザーを使ったショート丈のトレンチは柔らかな質感と着心地を追求した自信作です。
──最後に、パリコレに参加し始めて5年が経ち、世界で130店舗に販売するなど、クリエーションもビジネスも順調に進んでいるように見受けられます。今後、5年、10年先のビジョンを聞かせてください。
ロク 好きなことをやり続けることに焦点を置いています。美しい服を構築していくことや時代を超越したものを手がけると同時に、今のようにビジネスが拡大しようと、私は自分のアトリエやスタジオで服のカッティングをしたりと、アプローチや服づくりがこれまでと変わらないことを望んでいます。そういった意味で私のヴィジョンは、クリエイターとして残り続けることだと思っています。
ROKH H&M コレクション
発売日/2024年4月18日(木)より限定店舗とオンラインストアにて展開。
商品型数/ウィメンズ29型、メンズ14型、アクセサリー17型(全4型の日本&韓国限定アイテムあり)
商品価格帯/¥1,299〜¥69,999(税込み価格)
問い合わせ先/H&M カスタマーサービス 0120-866-201
https://www2.hm.com/ja_jp/life.html
Photos: Akihito Igarashi(SIGNO), Courtesy of H&M(Lookbook) Editor: Mayumi Numao