ケーキやアイスクリームといったお菓子類だけでなく、普段の食事にも含まれている砂糖。そんな砂糖抜きの食生活を想像するのはなかなか難しい。しかし、どのくらいが“摂りすぎ”になるのだろうか? 米国心臓協会ではその目安摂取量を、女性は1日に小さじ6杯まで、男性は9杯までとしており、これは1日25~36グラム(約100~150キロカロリー以下)に値する。また世界保健機関(WHO)は、1日最大50グラム、できれば25グラム以下にすることを推奨している。
この数字を多い、あるいは少ないと思うだろうか? 身近な例を挙げれば、350mlのコーラ1缶に入っている砂糖の量は約39グラム。また、グラノーラバーには約8グラム、ブルーベリー入りギリシャヨーグルトには約14グラムというように、身体にいいとされる食品にも意外と多くが含まれているため、実は摂りすぎていた、ということも大いにあり得るだろう。
まずは隠された砂糖を知ること
砂糖はさまざまな名称で製品成分表に記載されていることが多く、実際の含有量を把握するのは至難の業。以下のリストで、食品に含まれる砂糖の一般的な名称を確認してみよう。
以上のようにまとめると、「〜糖」で終わるもの、またシロップや甘味料は明らかに砂糖に分類されることがわかる。
砂糖の摂りすぎを示す5つのサイン
このように名前を変えて隠されているため、摂取量を把握するのはそう簡単ではない。そこで、皮膚科、循環器内科、肛門科、栄養医学の専門家であるレラ・アーレマン博士に砂糖の摂りすぎを示すサインと身体に与える影響を聞いた。
1. 絶え間ない空腹による体重増加
砂糖のカロリーが高いことは周知の事実だが、急速な体重増加が起こる背景にはまた別の理由がある。「砂糖を摂りすぎると、身体は常に空腹状態になります。砂糖によって一時的に血糖値が上昇しますが、食物繊維が少ないため満腹感は持続しません。この空腹感により食べ続けてしまうため、結果的に体重増加につながります」
2. ニキビ・吹き出物
「糖分を摂ると、インスリン値が上昇するだけでなく、インスリン様成長因子1(IGF-1)と呼ばれる血中ホルモンも上昇します」とアーレマン。「インスリンと一緒にこのIGF-1が皮脂腺を刺激し、皮脂腺付近の過剰な角化を促す結果、皮脂腺が詰まってニキビや炎症ができやすくなります」
3. 食欲増加と気分の落ち込み
「血中のグルコース濃度が上昇するとインスリンが分泌されますが、この分泌が非常に強いと血糖値が急激に低下し、正常値を超えて“基準値”を下回ることがあります。そのため相対的な低血糖状態が引き起こされ、強い空腹感につながります。人によっては、気分の落ち込みや不機嫌といった影響が現れることもあります」
4. 免疫力の低下と体内の炎症促進
「通常、糖分は小腸から体内に吸収されます。しかし、摂取したブドウ糖や果糖などの単糖の量が小腸の容量を超えると、大腸に到達します」とアーレマン。栄養学の専門家でもある彼女によれば、これらの糖は大腸に存在するバクテリアの餌となる。「砂糖を摂りすぎる食生活はこの種のバクテリアを増殖させます。ここでの問題は、この細菌は表面に内毒素を持っていて、いわゆるリポ多糖に変化すること。この内毒素が腸を出て血流に入ると、静かな炎症を引き起こし、身体の老化を加速させて免疫システムを弱めてしまうのです」
5. 肌の老化を加速させる
「糖分の多量摂取は、いわゆるAGE(Advanced Glycation End Products:終末糖化産物)の生成につながることが科学的に証明されています」というアーレマンは、抗糖化でできるコゲをキャラメル化現象に例えて説明する。「コラーゲンの繊維は平行に走っているのが理想ですが、組織が糖化されると、コラーゲン分子同士がつながる架橋が生じます。これによって、硬くてもろい、変質したコラーゲンが増え、身体の修復能力も低下します。そして結果的にコラーゲンの質も低下してしまうのです」
Text: Philipp Wehsack Translation: Moe Ideishi
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