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髙橋海人が語るダンサー、アイドルとしての矜持

ダンスを軸にグローバルに活躍する2人によるスペシャルなセッションが反響を呼んでいる「TOYOTA HIACE DANCE SESSION」。第3弾でKAITAとタッグを組んだKing & Princeの髙橋海人が、ダンスに懸ける思い、アイドルであることの矜持を語った。

トヨタとSTARBASEが、車を遊び心満載にカスタムしたり、これまでになかったフィールドで新たな一面をみせるカルチャープロジェクト『Drive Your Teenage Dreams.』。その取り組みである「HIACE DANCE SESSION」の中心にあるのは、トヨタを代表する車のハイエースだ。これまでNOPPO(s**t kingz)とRIEHATAK(&TEAM)とRIEHATAが登場し、続く第3弾は、髙橋海人(King & Prince)とKAITAの2人。ダンスを通じた幼馴染であり、KAITAがKing & Princeの楽曲の振り付けを手がけるなど、公私ともに深い交流がある。

「ダンスのおかげで表現することが好きになった」

──「HIACE DANCE SESSION」の第1弾は髙橋さんがKing & Princeを結成する前から交流のあるs**t kingzのNOPPOさんとRIEHATAさん、第2弾は&TEAMのKさんとRIEHATAさんです。動画はご覧になっていましたか?

もちろん第一弾から見ていました。ダンスが大きなプロジェクトを背負えるくらいの存在になってきてるんだなと思いましたし、その道を切り拓いたNOPPOさんとRIEさんのセッションがとにかくかっこいい。そう思っていたら第二弾でRIEさんとKくんがセッションしていて、僕と同世代のKくんがトライしている姿がとても輝いて見えました。今回オファーをいただけて、とてもうれしかったです。しかも相棒が私生活で誰よりも一緒にいて、心から信頼しているKAITAくんだったので「絶対にやりたい」と思いました。

KAITAくんには、自分の得意なことも不得意なことも好き嫌いも全部言えるので、グループから離れてソロでダンスで戦う企画にKAITAくんがいてくれるのはとても心強いんです。すぐにKAITAくんと連絡を取り合いました。小さい頃から僕たちのことを大事にしてくれているお互いの親に対しても、孝行ができたんじゃないかなと思います(笑)。僕の人生にとって、すごく大切な思い出になりました。

──KAITAさんの振り付けの印象は、いかがでしたか?

Matt Cabさんの楽曲がかなり大人っぽくて色気があり、その雰囲気にぴったり合う振り付けだと思いました。KAITAくんが振りを作っているところを隣で見ながら、「かっこいいな」とずっと思っていました。KAITAくんからは「モテにいこうぜ!」って言われたんです(笑)。僕は今までそういう言葉を発することがなかったんですが、今回の楽曲と振り付けだからこそ引かれた自分のトリガーがあって、このセッションを見た人たちが、性別関係なく自分たちに惚れてくれたらうれしいですね。

──新しいダンスの表現に踏み込んだ感覚があったんですね。

普段ガツガツ攻めて踊る曲は、本番で100%を出せるように練習は120%の力で頑張っているんですが、今回は大人の色気と余裕が感じられるダンスなので、100%のうち40%ぐらいは余裕が出るような意識で向き合いました。ただ踊りの技術を見せるのではなく、表現を見せるということを意識しました。「ある程度踊れる人なんだな」と思ってもらうのではなく、仕草や表情、空間の使い方といった表現に惹かれてもらいたいと思ったんです。単に踊ってるだけでは、人はなかなか惚れてくれないですよね(笑)。

感情と密接したダンスは「親友」のような存在

──ハイエースとの撮影はいかがでしたか?

白い空間が広がるスタジオで何かひとつを背景に踊るというシチュエーションだとしたら、ハイエースが一番いいんじゃないかと思うほど、華もどっしりとした存在感もある車だと思いました。自分たちを支えてくれるような世界観もありますし、とてもコンセプチュアルに見えると思いました。

──KAITAさんのコレオグラファー/ダンサーとしての魅力をどう捉えていますか?

とても自由ですね。「ダンスはこうだよね」という枠がなくて、かっこいいものをとことん追求している。KAITAくんのダンスにはKAITAくんらしさが詰まっているので、細かいニュアンスを見ているとすごく楽しいです。真似しちゃうこともあります(笑)。

──KAITAさんからご自身のダンスに対して、何か言ってもらったことはありますか?

会話の中で「海人はもう自分のダンスのスタイルがあるよね」と言ってくれたことがあって、うれしくてその言葉は頭の中にしっかりメモされています(笑)。

──ご自身のダンスの強みをどう捉えていますか?

よくも悪くも感情と密接ですね。あまりよいテンションではないときのダンスを自分で見ると、下手に見えます。そのときのテンションやムード次第で、何にでも豹変できるところがあるかもしれません。小さい頃からダンスを通じていろいろな人に知ってもらえたり、会話が生まれてきました。踊るというより表現という感覚があります。

──髙橋さんにとってダンスはどんな存在ですか?

親友ですかね。芸能界に入って、歌、お芝居、絵を描くこと、いろいろな表現をやらせていただくようになって、どの表現に対しても“大好きな友達”という感覚がありますが、小さい頃にダンスを始めたことで表現する楽しさを知って、「どうやったら伝わる表現ができるか」ということを学んでいきました。ダンスのおかげで表現することが好きになった。「本当にいつもそばにいてくれてありがとう」という気持ちです(笑)。

「絶対にアイドルという肩書きを捨てたくない」

──今回のセッションをはじめ、ソロでダンスのお仕事をする機会が増えています。今年1月に初めてSKY-HIさんが企画するダンス&ボーカルプロジェクト「D.U.N.K. Showcase」に出演し、MCでKing & Princeへの想いを語っていましたよね。

僕が最近よく思っていることが、アイドルという言葉には偶像という意味合いがありますし、キラキラしたイメージが先行しているところがあるのかなって。アイドルのイメージを変えたいわけではなくて、キラキラした面を持ちながらもいろいろなカルチャーをしっかり吸収して表現できる人になりたいんです。そういう人になれたら、ファンの方たちが応援する楽しみが増えると思っていて。アイドルのイメージをもっと強くしたいというか、「アイドルは最強だな」と思ってもらいたい。僕は絶対にアイドルという肩書きを捨てたくないですし、アイドルとしてダンスもお芝居も絵を描くことも、もっともっと挑戦していきたいんです。

いろいろな強みを持った上でアイドルとして魅力を感じてもらえるようになれば、アイドルというものにひとつ恩返しができるんじゃないかと思っています。だからこそ「D.U.N.K.」は人間として戦いにいった感覚があって、MCでも僕の人間性が見えるようなことを話しました。今回の「HIACE DANCE SESSION」も、僕の人間性を感じてもらえるようなものになればいいなという意識はありました。僕は楽しいことに対して、努力することに辛さを感じたことはなくて、努力した先に結果が待っていると本当に夢があることだと思うんです。自分がレベルアップしていると感じられることがすごく楽しい。今回のセッションの練習は、大人の男の魅力を意識しながらダンスと向き合えたことがうれしくて、一歩階段を上れた手応えがありました。最近はそういった活動が増えていて、心がすごく満たされています。

──「D.U.N.K.」が象徴的だと思いますが、昨今ダンスシーンがとても盛り上がっています。どう受け止めていますか?

僕が芸能界に入ったタイミングは、今よりもエンタメのジャンルがはっきり分かれているようなところがあって、ダンスをやってきたことがあまり生かせないことに面食らったんです。でも、ダンスでフィーチャーしていただくことが増えてきて、とてもうれしいです。日髙(光啓/SKY-HI)さんが、先頭を切ってどんどんエンタメシーンを変えていく背中を見て、後輩として吸収できるものがたくさんあります。「D.U.N.K.」もすごく楽しかったですし、僕もエンタメシーンを変えられるような存在になっていきたいです。ダンスに限らず、歌やお芝居を好きな人たちが集まって、熱々なものをお客さんに届ける場が増えていったらいいですよね。

──SKY-HIさんが髙橋さんのソロ曲「POPSTAR in the KINGDOM」を作った意義は大きいですよね。

ボーイズグループもガールズグループもどんどん増えていく中で、アイドルとアーティストの垣根がなくなってきているところがあると思うんです。でも僕は自分がアイドルであることに意義があると思っていて、日髙さんはその意志を受け取って「POPSTAR in the KINGDOM」を作ってくれました。自分の意志が濃く刻まれた曲ですし、日高さんから「マジで頑張れよ!」というエールと愛をもらった感覚があります。自分の体内に深く彫り込まれている曲です。

──髙橋さんにとって、これまでで最高のダンス体験は?

個人的にも楽しかったことはたくさんありますが、King & Princeとしては紅白で「ichiban」を踊っている時間は、ダンスという面では最高の体験でした。決してポジティブな感情だけではなかったと思いますが、いろいろな感情をあれだけダンスにぶつけられることは、おそらくこの先もない気がします。自分は感情とリンクして体が動くタイプですし、ああいうダンスは人生で一度きりかもしれない。本当に特別な時間でした。