LIFESTYLE / TRAVEL

特別なことは何もしない。滞在するだけで心穏やかになる日本の最旬ホテル3軒【ナッシンケーション vol.3】

穏やかな南国ムードに包まれたハワイ雄大な自然と美しい街並みに恵まれた北欧に続く第三弾は、日本。情緒漂う文化財の宿から、完全貸切のモダンな一棟ホテルまで、何もしなくても豊かな時間が過ごせる国内のホテル3軒をピックアップ。

【沼津倶楽部】エレガントな空間にリノベーションされた文化財の宿

別邸の前には富士山の伏流水で満たされた水盤が広がり、四季折々の景色が映り込む。Photo: Ben Richards

雄大な富士山と駿河湾を臨む静岡県沼津・千本松原にほど近い、閑静なエリアにひっそりと佇む沼津倶楽部。築100年の歴史的な建物を受け継ぐ宿が、2023年6月14日、新たなスタートを切った。

登録有形文化財の「松岩亭」は茶亭に、併設の宿泊棟は別邸にリニューアル。2008年に建築家・渡辺明の設計によって建てられた別邸は、わずか8室の客室を持つのみ。シンプルでいて邸宅を思わせる温かみのある空間だ。窓の外には、富士の伏流水が滾々と注ぎ込まれる水盤、その先には美しい松林が広がっている。建物の奥には、内風呂、露天風呂、岩盤浴、サウナを備えたスパがあり、静寂の中で何も考えず、無になって、癒しの時間に浸ることができる。

別邸のデザインは、旧二期倶楽部の本館の設計などで知られる渡辺明が手がけた。Photo: Ben Richards

「茶亭」の前身は、1913年に建てられた数寄屋造りの名建築「松岩亭」。長きにわたり大切に受け継がれてきた貴重な建物は、静岡県出身の齋藤宏文シェフが監修するモダンチャイニーズのダイニングに生まれ変わった。

鎌倉の「イチリン ハナレ」で独自の中国料理を表現し続ける齋藤シェフは、駿河湾や伊豆近海の魚介、豊かな自然が育む地元の食材などを使い、シンプルに素材の良さを味わうことができる料理を提供する。時代を超えて、歴史の息づかいが感じられる特別な空間で過ごす時間は、何ものにも代えがたい。

シグニチャーディッシュのよだれ鶏。餃子とオリジナル麺をたれにつけて、3度楽しめる。

沼津倶楽部
静岡県沼津市千本郷林1907-8
Tel./055-954-6611
料金/1人1泊53,125円~(2食付・2名1室利用)※2023年8月現在
https://numazu-club.com/


【COVA KAKUDA】真珠養殖場の跡に建つスモールラグジュアリーなシーサイドホテル

伊勢志摩の豊かな食材を用い、洗練された料理を提供するダイニング「KAZO」。

伊勢志摩・英虞湾で90年以上の歴史を持つ覚田真珠の養殖場跡に、2023年6月20日、スモールラグジュアリーなリゾートヴィラ、コーバ・カクダ(COVA KAKUDA)がオープンした。施設名は、かつてここで働く人たちが、工場のことをコーバと呼んでいたことにちなむ。

伊勢志摩の玄関口、賢島駅からは、近くの船着場でクルーザーに乗り換えて、そのまま直接チェックインすることもできる。変化に富んだリアス式の海岸線と多島美の英虞湾を横断する約30分のクルージングは、「何もしない旅」のプロローグにふさわしい。

目の前に英虞湾を望む「HAMAAGE」。部屋の名前は貝を浜揚げしていた場所にちなむ。

約4万㎡の敷地に1日4組のみ。天井の⽊製の梁など、⼯場だった頃の躯体をそのまま残し、真珠養殖を思わせる筏(いかだ)、網やかごなどを館内に設えた。客室は自然素材が持つ美しさや荒々しさ、温かみなどを生かした、繊細で静謐な空間になっている。

食事は、里海ビューのダイニング「KAZO」で。地元の名産、伊勢海老や松阪牛のほか、アコヤ貝、ヒオウギ貝など養殖場ならではの貝類も使った、和食ベースのイノベーティブ・フュージョンが楽しめる。あとは、入り江に面した客室にお籠りして、日がな一日、風光明媚な景色を眺めて過ごすだけだ。

真珠の挿核工場を再現した客室「OKI」。全面ガラス張りの浴室から英虞湾を見渡す。

COVA KAKUDA(コーバ・カクダ)
三重県志摩市志摩町片田1397-14
Tel./0599-52-0231
料金/1室1泊242,000円~(2名1室利用)※2023年8月現在
https://cova-iseshima.jp/

【abrAsus hotel Fuji】富士山の絶景を独り占め。機能的でハイセンスな道具も完備した一棟貸しホテル

機能的で洗練されたデザインを特徴とするアブラサスらしい外観。

雄大な富士に抱かれた河口湖のファームエリアにオープンした、一棟貸しのアブラサスホテル 富士河口湖(abrAsus hotel Fuji)は、独創的な構造の“薄い財布”で「2013 グッドデザイン賞」を受賞したアパレル&グッズブランド、アブラサスが仕掛けるホテルだ。

何よりの贅沢は、ガーデン、バスルーム、サウナ、キッチン、ベッドルールなどすべての窓から望む本物の富士山。誰にも会わずにゆったりと過ごせるプライベートガーデン、本場フィンランドから輸入したトレーラーサウナ、20年以上かけて浄化された富士山の地下水が湯船を満たすバスルームなど、インテリアからアメニティまで、すべてが機能的でセンスが光り、ラグジュアリーな雰囲気を放つ。

ガーデン、バスルーム、サウナ、キッチン、ベッドルールなど、すべての窓から富士山を望む。

キッチンの冷蔵庫には、「豚組」とコラボレーションした下準備済みの食材が完備され、プロ仕様でお洒落な調理器具がずらりと並ぶ。ほとんど手を加えずに美味しい料理にありつけるのはうれしい限り。オープンスペースのダイニングでは、誰にも邪魔されることなく優雅なディナータイムを楽しめる。まさにノープランで訪れて、思い思いに過ごすのに最適な空間だ。

客室はシンプルなデザイン。早朝、窓から見える富士山が一日の中で一番美しい。

アブラサスホテル 富士河口湖
山梨県南都留郡鳴沢村字飯塚1708-1
Tel./0555-25-6465
料金/1人1泊29,250円~(1棟2名利用)※2023年8月現在
https://abrasushotel.jp/

Text: Yuk Kumano