2015年、カンヌ国際映画祭で行われた『キャロル』(2015)のプレミアで、フラットシューズを履いていた女性陣が追い返されたことが報じられ、この映画祭の古めかしいドレスコードに目が向けられるようになった。映画祭ディレクターのティエリー・フレモーは当時、レッドカーペットにハイヒールは必須ではないと主張したが、このイベントでは暗黙の(そして性差別的な)ルールとして広く認知されていた。
その翌年の2016年、ジュリア・ロバーツが裸足で登場したことは有名だが、「Conversations with Friends(原題)」のサーシャ・レインもフォトコールでそれに続いた。これについて彼女は、「レッドカーペットは私たちの作品のためにあるもの」とし、「私はとてもエレガントなガウンを着ていましたし、会場には階段がたくさんあって、一日中歩き回るから……裸足になるほかなかったのです」と2年後のインタビューで説明。「なぜ批判されるのかわからない。私はちゃんと、きちんとした装いに身を包んでいた」と揺るぎない姿勢を示した。
2018年、クリステン・スチュワートはクリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)のハイヒールを履いて現れたものの、後にそれを脱ぎ捨ててカメラマンの前に立った。それ以前にも彼女は、『ハリウッド・リポーター』誌に「ヒールを履かないと、騒ぎ立てられるんですよ」と語っており、「もう女性にヒールを強要してはいけないと思うし、男性にヒールとドレスの着用を求めないのだから、私にもそんなことを求めないでほしい」と反骨心を顕にしていた。
そして今年もこの掟を破り、力強いメッセージを発信する女優たちの姿があった。ケイト・ブランシェットは週末、ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)のジャンプスーツとピンクのコートを纏い、イランとフランスのスター、ザーラ・アミール・エブラヒミに「ブレークスルー・アーティスト」賞を贈るステージに登壇。トロフィーを手渡す前に、彼女は「イランの女性たちに敬意を表して」とヒールを脱ぎ、「これは女性の権利を邪魔するすべての人々にあてたものです」と言い放った。
一方、『Bread And Roses(原題)』のプレミアでハリウッドのプリンセスになりきったジェニファー・ローレンスは、ディオール(DIOR)の赤いガウンの裾を持ち上げ、その下にビーチサンダルとも見えるフラットシューズをのぞかせていた。そしてファッション界の反逆者とも呼ばれるイザベル・ユペールもまた、バレンシアガ(BALENCIAGA)による裸足のようなデザインのヒールを履いて登場した。
カンヌ国際映画祭の公式ハンドブックには、女性はハイヒールを履かなければならないというルールはもはや記されていないかもしれないし、主催者もその条件から距離を置いているかもしれない。しかし、このように女性セレブたちがフラットシューズで、あるいは裸足でレッドカーペットを歩く行為は、女性に課せられる制約に対して反抗的なアティチュードを示すものでもある。そしてそれは時に、最も印象的なルックとして歴史に刻まれることになるのだ。
Text: Alice Cary Adaptation: Motoko Fujita
From VOGUE.COM
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