美容のために必要な規則正しい睡眠サイクル
人間の体には一日の中で体温やホルモンの分泌量が変化するように、生体リズムであるサーカディアンリズムという体内時計が備わっている。「生体リズムが乱れると、睡眠サイクルに障害が出て、疲労だけではなく鬱、過食による肥満などのリスクも高まってくるといわれています」とは、美容皮膚科クリニック、松倉クリニック代官山の院長を務める貴子先生。老化が進行している人もこのサーカディアンリズムに問題があるそうで、「できるだけ規則正しい睡眠サイクルをキープすることが健康をはじめ、生き生きとした肌を保つ秘訣といえます」
貴子先生が夜の時間を味方つけるために、大事にしている“美肌ルール”は3つある。
- 就寝前に保湿を徹底する
- その日の状況に応じたスペシャルケアを取り入れる
- 睡眠の質を上げるインナーケアを行う
ルール①:就寝前に必要なのは徹底した保湿
睡眠不足が続くと、肌が荒れたり、化粧のノリが悪くなったりと、肌に悪影響を及ぼすことが多い。「睡眠が十分でないと、肌のターンオーバーの力が低下。角質層の水分保持能力も衰えて、肌が乾燥し、くすみや肌荒れなど肌トラブルを引き起こすことに。良質な睡眠は肌の修復にとって重要です。そして睡眠前の夜のスキンケアでは、さまざまな肌トラブルの原因ともいえる乾燥対策にもなる保湿ケアが外せません」
TIPS 1 保湿力+αの高機能化粧水で潤いを補給
肌の再生修復活動が最も活発になる就寝中の時間帯を見据え、夜のスキンケアに取り入れたいのは保湿を重点においたケア。「ヒアルロン酸やセラミドなど水分を補う成分だけではなく、夜間の肌再生を活性化させる美容成分が配合されている製品を選ぶとより効果的です」
TIPS 2 保湿力&保護力の高いクリームで蓋をする
寝ている間に潤いを逃さないよう、肌に美容成分をしっかり浸透させ、長時間保護するクリームを夜のスキンケアに投入したい。さらっとした使用感のクリームも多いが、「こっくりとしたテクスチャーでも、スキンケアの最後に使用するので上から何も重ねる必要がなく、就寝前のケアに取り入れやすいです」
TIPS 3 オイルの特性で潤いに満ちた柔肌に近づける
保湿力や保護力の高さを考えるとクリームの方が効果的だが、肌のゴワつきを実感している人には、肌をしなやかに整えるオイル状美容液が狙い目。肌に溶け込むようになじむ使用感も心地よく、就寝前にリラックスしながらスキンケアを実践できる点も魅力。
ルール②:その日の状況に応じたスペシャルケアを
ベーシックな保湿ケアとは別にもう一歩進んだスペシャルケアを導入するなら、その日一日の肌状態に対応するケアが必要。「例えば、空調の効いた室内に長時間いて肌のカサつきが気になるなら、スリーピングマスクやシートマスクを追加する。排卵日の付近で肌荒れしそうなら角質ケアをするなど、状況に合わせたスキンケアを実践することです」
TIPS 1 翌朝の保水力の差を実感できる夜のマスクケア
寝ている間に肌に潤いを与え、翌朝までしっとり感を保つのに長けている洗い流し不要のスリーピングマスク。配合されている成分によっては乾燥ケア以外の効果も発揮する。「夜のスキンケアの最後に塗って寝るだけでOKのスリーピングマスクはお手入れが楽なので、取り入れやすいかもしれません」
シートマスクもスリーピングマスクと同様に、日中の肌を労わるケアとして夜に使用するのがおすすめ。使うときは使用できる頻度をきちんと確認し、保湿以外に自分の肌が何を欲しているのか入っている成分もしっかり把握すべき。「乾燥がひどい人は、週に数回のスペシャルケアとして、シートマスクを使った後にスリーピングマスクを塗る、ダブルケアを取り入れてみるもの手」
- お手軽で保湿効果絶大のスリーピングマスク
- 化粧水以上の水分補給ができるシートマスク
TIPS 2 ナイトケア向きの成分と効果のあるものを選択
夜のスキンケアは、日中肌に受けたダメージを修復して補うことが目的。夜を意識して取り入れるなら、朝のスキンケアで使えないレチノール成分入りや、肌を外的刺激から無防備にする角質ケアアイテムだそう。「35歳以上になると肌の新陳代謝も落ちるので、くすみや肌荒れの原因でもある角質のケアは大切。ただし、やみくもに角質を除去すると肌が乾燥しやすくなるので、刺激を与え過ぎないマイルドにケアできるものをセレクトして」
ルール③:睡眠の質を上げるインナーケアを行う
「良質な睡眠には、寝る数時間前から交感神経を抑え、副交感神経を優位にさせる必要があります」と貴子先生。体を温めたり、アロマを嗅いだり、電気を落としたりと、リラックスする環境に身を置くことで自律神経のバランスが整い、入眠しやすくなるそうだ。とはいっても、日常生活でストレスが多く、夜間も交感神経優位になりがち。そんなときは、サプリメントなどインナーケアを取りれるのがいいと話す。
「成分としては、ストレスホルモンであるコルチゾールを抑えるCBDや、脳が活性化すると減少するが睡眠の質を安定化させるビタミンBなどがおすすめ。取り入れているという安心感も手伝って神経を落ち着かせることができ、睡眠にも良い作用をもたらします」。そのほかに、睡眠の質を上げると謳っている機能性表示食品も増えてきている。入眠のルーティンのひとつにしてみよう。
- CBDは睡眠前のリラックスタイムに摂取
- 快眠のために頼りたい機能性表示食品
話を聞いたのは……
貴子
皮膚科医、形成外科医。松倉クリニック代官山院長。日本形成外科学会認定専門医として、充実した内容と幅広い選択肢で、他のエステ併設のクリニックとは一線を画した施術を提案。オリジナル化粧品や医療用サプリメント「タカコスタイル(TAKAKO STYLE)」の開発にも携わる。
Editor: Manami Ren, Rieko Kosai

