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SATCこと「セックス・アンド・ザ・シティ」の続編、「And Just Like That…」が配信されてからもう数カ月経つ。人気キャラクターだったサマンサを演じていたキム・キャトラルが出演続投しなかったことはさまざまな憶測を呼び、未だにキムの復帰を望むファンの声は多い。しかしここに来て、キムが「もう、前に進みましょう」と、SATCとの決別宣言を思わせるコメントをインスタグラムにシェア。65歳にしてデコルテが深く開いたワンピースタイプの水着のセルフィーをあえて投稿したところに、キムの決意の深さが伺える。その真意はどういうものなのだろう。
実はこれ、先日、米『Hollywood Reporter』誌のポッドキャスト番組にサラ・ジェシカ・パーカーが出演し、キムとの不仲報道は彼女の一方的なものだとコメントしたことに対する牽制だと私は考えている。キムのセルフィーへのキャプション、「ここには何も見るものはないよ! 前に進みましょう」は、ファンだけではなく、サラへの「もう私たちの話題について語るのはやめて」というメッセージなのではないだろうか。今までに共演者のサラとシンシア・ニクソン、クリステン・デイヴィスがキムとの続編での共演を望んでいるという今までのコメントに対しても「3人とは友達だったことはない」と発言したり、「サラがもっといい人ならよかったのに」と辛辣なことを言って来たりしたキム。
これに対してサラはポッドキャストで、「キャットファイトと言われるけれど、私は今まで一緒に仕事をした相手にケンカを売るような態度をしたことは一度もない」と、不仲はキムの一方的な思い込みであることを匂わせるような発言をした。
さらに「今でも私たち共演者はサマンサのことを愛している」、とも。これはインタビューでキムとの関係性について聞かれたから答えたものではあるけれど、あたかもキムだけが大人気なく自分のことを怒っているような内容にも取れなくもない。キムのカメラを見る挑戦的な視線は、もしかしたらサラに向けられたものなのかも。キムの引き締まったスムーズなボディに、やっぱり続編では60代になったサマンサが見たかった、と思ってしまう私。だけどキムはスマートな女性。こうやって65歳の今、彼女が水着姿を投稿することがどれくらいインパクトを持つことだか知っているのだ。彼女自身はまだまだ、性に奔放なサマンサを演じられるくらいにセクシーで若々しい。それでももう演じたくなかったのには、それなりのわけがあるのだろう。そう思わせる、説得力がある。
2020年に米『People』誌のインタビューでは「50代になると、オファーされる役はナイーブな女性か一流のレディかバツイチか年下男性を狙うクーガーのどれかしかない。だけど私はそのどれでもないわ」と語っていたキム。「人生の最大のミステリーは、次に何が起きるかわからない、というところ。ひとつのドアが閉まることを受け入れること。それがあなたの実行力やセクシュアリティや、あなたが求められる価値とあなたにとっての世界を大切にし続けることに繋がる」。だから彼女はSATCのサマンサ役を脱ぎ捨て、『Queer as Folk』などの新たなプロジェクトに参加することを選んだ。
皮肉なことに、『And Just Like That…』の最終話も、キャリーのこんなモノローグで終わっている。「愛に関しては何だって起こりうる。未来はまだ白紙よ」。SATC終了から歳を重ね、同じようなことを学んできたはずのふたりが仲良くできないのはファンにとって悲しいことではあるけれど。私たちは、キムの決断をそろそろ潔く受け入れるべきなのかもしれない。
Text: Moyuru Sakai Editor: Toru Mitani