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「スポーツ・イラストレイテッド」の表紙を飾ったリアルサイズモデル、ユミ・ヌーのボディポジティブ論。【セレブ美容探偵】

米「スポーツ・イラストレイテッド」誌のカバーガールに、初の日系リアルサイズモデルが抜擢。日本人の血を引くユミ・ヌーが語った現在のリアルサイズモデルブームの裏側を、セレブウォッチャー・さかいもゆるが考察。

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イット・モデルの登竜門としても知られる、米スポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」の恒例、スイムウェア特集のカバーガール。今年は同誌史上初となるアジア系アメリカ人のリアルサイズモデル、ユミ・ヌーが起用されて話題に。そんなユミが、リアルサイズモデル人気の現実について、米Webメディア「Insider」で赤裸々に語っている。

「スポーツ・イラストレイテッド」でのお披露目で公の場に登場したユミ。 Photo: Dimitrios Kambouris/Getty Images for Sports Illustrated Swimsuit

「VOGUE JAPAN」4月号のカバーを務めたユミは、現在25歳。日本人の母親とオランダ人の父親を持つダブルだ。母親もモデルで、デヴォン青木とスティーブ青木の姪っ子というサラブレッドでもある。2歳でデビューを果たした彼女だけど、自分の容姿には長年コンプレックスを抱えていたという。「私は白人であることが最もクールだとされる環境で育ってきた。

私たちの価値観がメディアやカルチャーや社会に振り回されないようにと願うけれど、実際には影響される。若いときは特に」。そのため、ユミは自分の中のアジア人の部分は見ないようにして、白人らしく見えるように振る舞ってきたそう。それは周りと違うということを恥だと思い、学校で人気のある生徒と分断されてしまうことだと感じたから。同じことを、自分が比較的大柄な体型だということにも感じていた。

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「私の周りには、“ありのままの私”でいいと勇気をあたえてくてる相手が、誰もいなかった」と語るユミ。周囲のアジア系アメリカ人たちは皆、生きのびるために自分たちを白人らしく見せるようにしていたのだ。何とも壮絶な話だ。そんな劣等感を抱え、一時はモデルを辞めようとも思い詰めていた彼女。けれど2016年にハワイを訪れていたとき、彼女は自分を嫌うことに疲れ、「特定の人種や特定の体型でなければ完璧ではない」という思い込みから抜け出すことができたという。その後、昨今のリアルサイズモデルのブームが到来し、仕事が増えていった。それでも、ときにはリアルサイズモデルとしては小さすぎると言われたことも。また、アメリカではアジア人は細身だという認識があるため、最近までアジア系のカーヴィボディのモデルはおらず、ユミのモデルとしての立ち位置の捉え方に困っていると感じていたそう。

「キャンペーンで私を見た人々が、『ユミが着ているなら私にも着られるわ!』と思ってそのブランドのオンラインストアを訪れても、そこにはXLまでのサイズしかなかったりする」というリアルな問題点も指摘。撮影時に衣装があったとしても、それはサイズ調整のために塗ったりする必要も生じているという。

カーヴィなボディラインを見事に生かした、クールなドレスアップ姿。 Photo: Alexander Tamargo/Getty Images for Sports Illustrated Swimsuit

ボディ・ポジティブというスローガンを掲げながら、現実にはそれらを単なるムーブメントとして捉え、リアルに変革的ていない業界の実態に愕然とさせられているとも語る。それでも、リアルサイズモデルが人々の前に存在することに意義がある、とユミは訴えかけている。アジア人であること、リアルサイズモデルであること。周りと違うことへの恐れを乗り越え、ありのままの自分を表現することで人々を勇気づけようとしているユミ。その力強い信念が、美しい。

Text: Moyuru Sakai Edit: Toru Mitani