BEAUTY / Wellness

【ヴォーグなお悩み外来】エレガント&モードなニオイ対策。

誰もが抱えるものから人には聞けないものまで、あらゆるヘルス&ビューティの悩みにその道のエキスパートが回答。第27回は、 湿気の高い季節が近づくと特に気になるニオイ問題! とはいってもただ“臭いものに蓋”するのではなく、エイジングなどによって起こり得るニオイの変化を良い香りで調和させるなど、エレガントに乗り切る方法をアドバイス。この夏にトライしたい、旬のフレグランスとともにお伝えします。

40代以上ならばエイジング・ノート発生の可能性あり!

Photo: Stephen Orsillo/123RF

じめっと暑い夏の訪れと共に、いつも以上に気になるいろいろな匂い。年齢を重ねると汗臭さに加えて加齢臭も気になってくるという人、いるのでは? 加齢臭は、ノネナールという物質の生成が原因で発生することが明らかになっている。

資生堂アドバンストリサーチセンターによると、ノネナールはもともとは皮膚上で皮脂が酸化されて発生する体臭として発見されたが、最近の研究で、体内から皮膚を通して放出されるガスにも含まれていることがわかってきた。従って、皮脂量の多い身体の体幹部を中心に、体全体から発生。日本人では男女の区別なくおおよそ40代以上から認められるそうだ。

「エイジング・ノートをわかりやすく例えるならば、古本屋のような少しカビ臭いニオイです」と教えてくれたのは、フレグランス・アドバイザーのMAHOさん。“カビ臭い人”と周りから思われるなんて、大ショック! 何か緩和する方法はあるのだろうか?

「ニオイを完全になくすのは難しいですが、他の香りを使ってうまくハーモナイズさせることはできます。特におすすめなのがミントやローズマリー、パチュリ、ユーカリなど葉っぱから作られるグリーン系の香りです。女性ならば、そこにローズ系の香りが加わったフレグランスもいいですね」

<左>何層にも重なるローズの香りがエレガント。ムスクの温かみのあるセクシーさに、パチュリとほのかなウッディのアンバーノートも際立つ。フォーハー フルール ムスク オードパルファム 50ml ¥12,100 100ml ¥15,400(ナルシソ ロドリゲス パルファム お客様窓口 0120-110-664)

<右>アマゾンの雨を思わせるノートに、ペルガモットやキューカンバー、モイストホワイトフラワーをブレンド。贅沢に使われたパチョリがフレグランスをより深みのあるものにし、熱帯雨林の神秘的な霧を演出 。クリーン リザーブ レイン オード パルファム 100mL ¥14,800(ブルーベルル・ジャパン 香水・化粧品事業本部 0120-005-130)

ニオイは消すのではなく、ハーモナイズで立ち向かう。

Photo: konstanttin/123RF

「年齢を重ねるにつれて若い時とは違う体臭になるのは、ある意味自然なことです。加えて、ノネナールが原因のいわゆる加齢臭だけではなく、その時の体の健康状態とか環境、行動も反映されて、人間のニオイは発生します。あまり加齢臭にばかりこだわる必要はないと思いますね」と、MAHOさん。

今まで多くの人の香りの相談に乗ってきたが、日本人はニオイに敏感になり過ぎる面がある、とも続ける。

「多少のニオイならその人の個性ですし、存在がある限りニオイを消すのは不可能。エイジング・ノートにはグリーン系の香水を調和させると例に挙げたように、ひたすら消臭するのではなく上手に共存してみよう、と発想を切り替えてみて。それに、悪臭にこそ魅力が潜むとも言えます。例えばジャスミンには排泄物のニオイと同じ成分が含まれていて、だからこそ官能的で人を惹きつけるのかもしれません」

ただし、もちろんわざわざ強い悪臭を放つ必要もない。偏った食生活により炭水化物やたんぱく質が不足し、代謝が低下して酸っぱいような”ダイエット臭”。あるいは、アリナミン注射を過剰に打つことによる“ニンニク臭”などを発している女性もいるというから、要注意!

One Point Advice

汗腺がたくさんあるパーツの中でも、夏、帽子をかぶる時や湿度の高い日に、特に蒸れやすいのが頭皮。皮脂が酸化しやすく蓄積臭が起きやすい。そんな時に活躍するのが、ドライシャンプーだ。MAHOさんが愛用しているのがこちら。

SONOBADE ドライシャンプー 30ml ¥1,300(リベルタ 0120-718-456)

年齢ごとに変えたい、香りの選び方やマナー。

Photo: Bowie15/123RF

「40代の女性に、『新入社員が自分と同じ香水をつけていてショックだった』と相談されたことがありました。40代以上の女性が自分のスタイルとしてミニスカートを着こなすように、もちろん個性としてキャッチーなフレグランスを楽しむのは問題ないと思います。ただ、何となく20代からずっと同じフレグランスを使い続けているという人は、年を重ねるとともに香りを変えていくというのもぜひ楽しんでほしいですね」(MAHOさん)

10代、20代ならばトレンド最優先で憧れのブランドの香水を選んだり、「こういう女性像になりたい」と少し背伸びした香りを纏ってみたり、のような“頑張っている”感じが愛らしい、とMAHOさん。しかし、30歳を越えたらトレンド優先ではなく自分らしい香りを探してほしい、とアドバイスする。

「30代はファッションも仕事も人間関係も自分らしさを探求する時。どんな人やモノと付き合うとより輝けるのか、など自己の見直しをするべきタイミングです。それは香りに関しても同じで、そのためにもメゾン系フレグランスまで候補を広げていろいろな香りを知り自分の軸で選んで欲しいと思います」

そして40代以上は、特に後半以降になるとホルモンバランスの乱れが起きる時期なので、女性らしさを補う香りを意識するのもおすすめだとも。

「オリエンタル系やシプレ系の香りをぜひ候補にいれてみてください。シプレ系は日本ではあまりポピュラーではありませんが、奥深さや捉えどころのなさからか、フランスでは大変人気の高いタイプです」

ここからはMAHOさんが今、VOGUE読者におすすめしたいフレグランスを具体的に、3つのシーン別に挙げていく。

じめじめした夏の救世主。

Photo: Daigo Nagao(FUEGIA 1833)

夏を爽やかに過ごすためには、ゲランの「アクア アレゴリア テアズーラ」とフエギア 1833の「カクタスアズール パフュームオイル」がグッド。

「二つとも地中海のブルーや爽やかさを感じられるような香りで、日本の湿度の高い夏を快適に過ごせると思います。グリーン感の調和性でエイジング・ノートが気になる方にもぴったりです」(MAHOさん)

<左>空色を映した湖のほとりで、グリーンティを楽しむひと時を思わせる。ペルガモットとジャスミンのふたつの陽気な明るさのある香り。アクア アレゴリア テアズーラ 75ml ¥8,200(ゲランお客様窓口 0120-140-677)

<右>グリーンのなかにわずかな花の生命感も感じられる爽やかなフレグランスオイル。カクタスアズール パフュームオイル 15ml ¥11,600(フエギア 1833 東京本店 03-3402-1833)

ワーキングウーマンのためのエレガントな香り。

忙しい日々に気分を落ち着かせる、オフィスにぴったりの香りも聞いた。「アイリスを使っていて、清潔感とおしろいをはたいたような優しい香りが、心を落ち着かせると思います。上質感のあるものを選び、できる自分を演出して。

先に挙げた“雨の日”フレグランスのカクタスアズールもそうだが、オイルタイプを選んだのには理由がある。「オイル状だと香りは穏やかで比較的持続します。香りが強くぷんぷんと主張するのではなく、パーソナスルペースに入った時に何となくいい香りがする、というのが可能です。まさに“肌がいい香り”の女になれるのです」(MAHOさん)

<上>指先でなぞりたくなるような黄金の液体にうっとり。ムスクがアイリスを引き立て、しなやかさをもたらしてくれる。エルメッセンス コレクションムスク パリダ 20ml ¥46,800(エルメスジャポン 03-3569-3300)

<下>アイリスとパチョリを組み合わせた、意外性のあるウッディーなフレグランス。 オラージュ オー ドゥ パルファン 100ml ¥30,000(ルイ・ヴィトンクライアントサービス 0120-00-1854)

デートで大人の色気を演出するには?

大人のデートシーンにおすすめなのは、クリスチャン ルブタンの「パフュームオイル ビキニケスタセラ」とミラー ハリスの「スケルツォ オーデパルファム」。

「ふたつとも、グラマーな官能性ではなく、知性とかデリケートの要素をふまえた大人な色気を感じさせることができると思います」(MAHOさん)

クリスチャン ルブタンのようなオイルタイプは、ウエストラインなど体のサイドをなぞる感じでつけると女性としての意識が高まり、自然な色気が出る効果もあるそう!

またMAHOさんが香りのトレンドとして注目しているのは、ウッディ系のフレグランス。「特にパチョリとか、少ししエキゾティクで湿った感じの香りが気になりますね。代表的なのは、シャネルの『ココマドモアゼル オードゥパルファム アンタンス』やグッチの『ギルティ アブソリュート』など。トレンドを牽引するファッションブランドのフレグランスからも、お香に通じるようなクラシックな香りが登場しており、逆に新しいと感じています」

<右>従来の「パルファン」に比べ、高濃度でフレグランスオイルを配合した格別の秘薬のよう。ジャスミンとチュベローズの芳香が、この上なく官能的。パフュームオイル ビキニケスタセラ 30ml ¥44,000(クリスチャン ルブタン(化粧品) 0120-449-360)

<左>愛を思わせる深いダークローズが香り高いパチョリ、バニラ、ウード・ウッドと交じり合い、甘い香りが際立って。ミラー ハリス スケルツォ オーデパルファム 50ml ¥16,500(インターモード川辺 フレグランス本部 0120-000-599)

話を聞いたのは……

資生堂アドバンストリサーチセンター 合津 陽子 マネージャー、勝山 雅子 研究員、土師 信一郎 研究員

MAHO
フレグランス・アドバイザー。日本フレグランス協会講師。外資系香水メーカーや関連会社勤務を経て独立し、クロスブランドでのパーソナルコーディネートを専門に行うサロン「プライベート トワレ」を運営。香りが心に届ける嗅覚感性や香水の魅力、日本人が実践しやすい使い方を提案している。
http://private-toilette.com

Text:Kyoko Takahashi Editor: Rieko Kosai