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誰もやりたがらなかった? 『ブロークバック・マウンテン』の舞台裏。【キャスティング秘話vol.2】

2016年の『ムーンライト』に代表されるように、今や同性愛を題材にした映画は当たり前のようにアカデミー賞に受け入れられているが、たった10年前はまったく様子が違っていた。映画のキャスティング秘話を綴るシリーズ第2弾では、『ブロークバック・マウンテン』(2005)の舞台裏エピソードを紹介する。

Photo: Everett Collection/AFLO

アン・リー監督の『ブロークバック・マウンテン』(2005)は、季節労働者としてアメリカ中西部の農牧場で働き始めた二人の男性イニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ギレンホール)が恋に落ちるラブストーリーだが、この名作もキャスティングが非常に困難だったという。

ジェイク・ギレンホールはそれまで自分が読んだ中で一番美しい脚本だったと語っている。Photo: M. Caulfield/WireImage for Turner

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)や『ミルク』(2008)で知られるガス・ヴァン・サント監督が、昨年、アメリカのエンタメサイト「インディワイヤー」に語ったところによると当初、本作は彼とペドロ・アルモドバル監督にオファーがあったという。ヴァン・サント監督自身も動き出したものの、「(当時は)誰もやりたがらなかったんだよ。僕は有名で演じられる役者が必要だと思って、いつも名前のあがる面々に声をかけたんだ。レオナルド・ディカプリオブラッド・ピットマット・デイモン、ライアン・フィリップ。全員答えはノーだった」。ちなみに、一時期マーク・ウォルバーグとホアキン・フェニックスというコンビもキャスティングされたが、ともに降板したという噂も。

マーク・ウォルバーグとホアキン・フェニックス。Photo: KMazur/WireImage

本作の脚本とプロデュースを手がけたダイアナ・オサナが、「シリウスXM」ラジオに語ったところによると、製作チームはヒース・レジャーを希望していたが、スタジオ側から「彼はマッチョじゃないから」と意味不明の理由で却下していたという。しかし、ほかに打診していた俳優たちがみな降板したことから、ヒースのエージェントにコンタクトすることを許されたそうだ。

Text: Rieko Shibazaki