オールドハリウッドにインスパイアされたオスカー・デ・ラ・レンタ(OSCAR DE LA RENTA)のドレスに合わせ、ヘア&メイクにもレトログラマーなムードを取り入れていたビリー・アイリッシュ。優雅に跳ね上げたキャットアイは、まぶた中央から目尻の先にかけて太くなるラインで、下まぶたのスモーキー&メタリックなグラデーションとともに、彼女の華やかな美しさを目覚めさせていた。リップもマットなヌーディピンクでスイートに。一方、眉はワイルドな毛流れで存在感を出し、エッジを忍ばせたのにもビリーらしさを感じさせる。
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このルックの完成度を一層高くしていたのが、ブロンドをふわりとカールさせたモンロー風ヘア。ふっくらとした柔らかなフォルムがフェミニニティを象徴し、古き良きアメリカの華麗なる女優像を鮮やかに蘇らせて。
日本とハイチのエッセンスをミックスしたというルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)のガウンに、どこか歌舞伎を思わせるようなヘア&メイクで話題をさらった大坂なおみ。特に、複雑に結い上げ羽を広げたようなフォルムと赤いビジューの装飾を施したヘアスタイルは印象的。目もとや頬、こめかみまで大胆に広げたアイ&チークの赤の使い方も歌舞伎の隈取りを彷彿させ、世界的テニスプレーヤーである彼女にしか成し得ない強烈なインパクトを放っていた。
インパクト重視のルックが多い中で、ひと際洗練されたオーラで話題をさらったのがジジ・ハディッド。レトロながらもミニマリズムを感じさせるプラダ(PRADA)のラジミールガウンに、黒のウィングアイ、目頭の先からまぶた全体にあしらったアイスブルーのシャドウが知的な眼差しを演出。エレガントに描いた太めアーチ眉やベージュリップの抜け感も絶妙で、目元のインパクトを一層際立てていた。
さらに視線を奪ったのが、この春イメチェンしたジンジャーヘアに、さらに赤みを足して染め直したレッドヘア。この燃えるような赤毛をボリュームたっぷりのハイポニーにすることで、ドラマティックなスタイルの主役的な存在に。結び目の中央につけたプラダのバレッタも、60sムードを決定づけて。
純白のボディアーマーに家父長制の廃止を訴えた赤字メッセージを載せ、いつもながら挑戦的なMETスタイルを示したカーラ・デルヴィーニュ。メイクもそのラディカルな主張に沿うかのように、バーガンディーレッドで描いたウィングアイでタフな目元を演出した。その燃えるような発色にベストマッチだったのが、みずみずしい質感のピンクリップ。そして、まるでシャワー後のような濡れ髪風ヘアは、7:3分けのワンサイドダウンでシャープさを強調。フロントを少し立ち上げてマニッシュな雰囲気を出し、ジェンダーフルイドなさじ加減を見せたのはさすがカーラならでは。
シャネル(CHANEL)のハイエンドなパンツルックに50s風ハイポニーを合わせ、現代のピンナップガールになりきったのはクリステン・スチュワート。バレルカールできれいな筒状にした前髪と、無造作感のあるハイポニーのコントラストが楽しいこの髪型は、クリステンのクールな魅力があるからこそモダンにきまるといえる。シルバーグリッターが輝くパープルシャドウとたっぷりのアイラッシュで、目もとはグラマラスを極めて。淡いピンクリップのニュアンスが、すべてを上品にまとめ上げ、エレガンスに昇華した。
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ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)のドレスにウエスタンハットを合わせ、「In America」というテーマを一番アイコニックに表現していたジェニファー・ロペス。その迫力あるドレスアップを一層印象的にしていたのが、上品なツヤを放つベースメイクだ。ヘルシーグロウな艶を放つ肌に加え、こめかみから小鼻の横にかけてCライン状にあしらったピンクチークが、日焼けしたようなヘルシー感。目元はあえて黒ラインは引かず、メタリックなダスティパープルの発色を生かしてシアーさを残したのも、マチュアな美しさへと繋がって。
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バレンシアガ(BALENCIAGA)の大ぶりのガウンにニット帽という黒づくめの衣装を、プラムカラーのリップで一層ミステリアスに味付けしていたのはリアーナ。ピンク×シャンパンゴールドのシャドウに束感のあるデザインのロングアイラッシュをつけた目もとも、魅惑的な唇との相乗効果を発揮していた。
ヘアはといえばウェッティなツヤをつけたウェービーで、顔まわりに華やぎを注入。ビジューのヘッドピースがのぞくビーニーとのバランスもよく、アメリカンカジュアルをデフォルメしたかのような衣装に、さらにモードなアクセントを呼び込んで。
恋人のショーン・メンデスとともにレッドカーペットに登場したカミラ・カベロは、初めてのMETガラ参戦をグラマラスなパープルアイズでエンジョイ。まぶた全体を繊細なシルバーラメが輝くパープルカラーで大胆に彩り、ドレスとワントーンで纏めた。ふわふわとした羽のようなアイラッシュで目を象って、眼差しはどことなくクラシカル。ピンクチークを丸くぼかしたソフトマットなベースメイク、潤い感のあるベビーピンクリップがドール感も演出して。センターパートでゆるっとウェーブをつけたダウンヘアがロマンティックさを加速させた。
初参加のK-POP女性アーティストとしてBLACKPINK・ロゼとともに注目を集めた元2NE1のCLは、アレキサンダー ワン(ALEXANDERWANG)のセクシーなデニムガウンで個性をアピール。クラシカルなアジアンヘアを彷彿させるヘアアレンジで東洋的美意識を取り入れて、METガラという大舞台で自身のアイデンティティを主張させていた。ぱつんと毛先を切りそろえた姫風バングスや、コーミングで出したシルキーな光沢も、ジュエリーに負けない存在感。目もとは黒のウィングアイでエッジを効かせつつ、アーチ眉でソフトに中和させたのも計算づくのコントラストだ。
毎回セクシーなルックで楽しませてくれるエミリー・ラタコウスキーだが、今回も官能的なピンクメイクで期待を裏切らない美しさを見せてくれた。シルバーとピンクブラウンのシャドウで立体感を出した目もと、日焼け風にのせたコーラルピンクのチーク、マットなピンクベージュリップの組み合わせが、美しいトーンオントーンを描きだして。これに、シグニチャーであるビーチウェーブヘアが抜け感を生み出し、ゴージャスなのにエフォートレスという彼女特有の唯一無二なスタイルが完成している。
Text: Rie Maesaka Editor: Rieko Kosai