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大の“日本アニメ好き”を公言するセレブ6人。一体、どの作品とキャラが好き?

日本が誇るアニメを見て育った人たちは世界中にいるが、エンタメ界を牽引するセレブにもファンは多い。彼らはどんな作品やキャラクターに魅了されたのだろうか? アリアナ・グランデBTSなど、アニメ好きを公言する彼らのインタビューやSNS投稿などから、その理由を探る。
Ariana Grande attends Billboard's 13th Annual Women in Music Event at Pier 36 on December 06 2018 in New York City.
Photo: Dia Dipasupil/FilmMagic

アリアナ・グランデ 「千尋が有能な人間に成長していくことが、『千と千尋の神隠し』の核なの」

Photo: Kevin Mazur/Getty Images

親日家としても有名なアリアナ・グランデは、スタジオジブリのアニメが大好き。宮崎駿監督のような巨匠だけではなく、名作に欠かせない優秀なスタッフにも注目する筋金入りのジブリ・ファンで、2016年にジブリ作品で色彩設計を担当していた保田道世さんが亡くなったときに「そのキャラクターたちは、私の人生にもたくさんの色をもたらしてくれました」とインスタグラムで追悼したほどだ。

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その時に使用した画像は『千と千尋の神隠し』(2001)の一場面だったが、アリアナは2018年8月に同作の主人公・千尋のタトゥーを前腕部に入れた。彼女が選んだデザインはポスターなどでお馴染みの、たすき掛けをして背筋を伸ばした千尋の姿。インスタグラムのストーリーでアリアナは、長文で千尋についてこう説明している。

「千尋が有能な人間に成長していくことが、『千と千尋の神隠し』の物語を動かす核となる要素です。異界で冒険しながら、怖がりで年相応に子どもっぽかった彼女は勤勉さと責任感があり、大切な人たちのために恐怖心を捨てることを学んだ勇敢な少女に成長していきます。友達を守り、家畜に変えられてしまった両親を救うため、これまでの自分の性格を捨てて環境に順応し、勇敢で頭の回転の速い、頼もしい女の子になるのです」

マイケル・B・ジョーダン 「『NARUTO−ナルト−疾風伝』の最後はかなり悲しくて、涙が出た」

パンデミック直前の昨年3月には『NARUTO』とアベイシングエイプ(A BATHING APE)のコラボTシャツ姿でNBA観戦していた。Photo: Kevork S. Djansezian/Getty Images

『ブラックパンサー』(2018)のエリック・キルモンガー役で知られるマイケル・B・ジョーダンには、インタビューなどでもしばしば話題にするほど大好きな作品がある。「好きなアニメは『NARUTO-ナルト- 疾風伝』。12~13歳の頃からのファンで、文字通り、サスケとナルトの成長を見て育った。だから、最後はかなり悲しかった。涙が出た」という。

そんなマイケルは2019年、アンバサダーを務めるコーチ(COACH)で、同作にインスパイアされたカプセルコレクションを発表。マイケルのNARUTO愛を原動力に、キャラクターTシャツやシリーズのトレードマークである「目」のモチーフとコーチのロゴを組み合わせデザインのシューズやバッグが発売された。キャンペーン映像も、マイケルの出世作『フルートベール駅で』(2013)や『ブラックパンサー』の撮影監督、レイチェル・モリソンに依頼する力の入れようだった。

また2018年に『VOGUE』の73の質問インタビューで、行ってみたい場所を聞かれると瞬時に世界地図で日本列島を指差し、「東京に行ってみたい。アニメが最高だから」と答えていたマイケル。『ブリーチ』や『ドラゴンボール』もお気に入りで、出演映画の役作りにもアニメを絡めて語ったことも。

「『クリード2』のトレーニングの場面で、地面に倒れてから立ち上がるシーンがあった。それは、あの伝説の悟空や悟飯が起き上がるような感じだった」と『ドラゴンボールZ』を引用。さらに「悟飯がセルとの戦いで腕を失ったときのように」とアニメ視聴者相手でなければ伝わらない例え話をしながら、「あれは間違いなく、アニメがきっかけになっている」と力説していた。

ジョン・ボイエガ 「『進撃の巨人』くらい不気味なアニメ、ほかにある?」

Photo: Frazer Harrison/Getty Images

スター・ウォーズ』続3部作でフィンを演じ、昨年はブラック・ライヴズ・マター運動に参加して、ロンドンで心からの叫びのようなスピーチで感動を呼んだジョン・ボイエガ。そんな彼も日本のアニメを愛する俳優の一人だ。2018年に『パシフィック・リム:アップライジング』のジャパン・プレミアで来日すると、ツイッターでおすすめスポット情報を募り、オフの時間は秋葉原やお台場に行って、実物代ユニコーンガンダム立像を見学したり、ガンプラを買っていた。

もう1つのお気に入りが『進撃の巨人』。アニメシリーズを熱心にチェックしていて、1シーズン見終わってしまった後に「『進撃の巨人』くらい不気味なアニメが、ほかにあるだろうか? 次のシーズンまでに代わりに見る作品が必要だ」とツイートしたこともあるほどハマっている。調査兵団のエンブレム模様のマグカップを愛用し、新型コロナウイルスのパンデミックによるロックダウン期間中の昨年5月にシーズン4の予告編が公開された時は、ツイッターに「OMGGGG!!!」と大喜びで炎の絵文字を付けて反応した。

公開が近づいた11月には、あるファンが制作会社MAPPAに「1つやるべき仕事が……」と黒人キャラクター、オニャンコポンの画像をツイートすると、ジョンは引用ツイート。「1つ」と重ねて強調して、黒人キャラクターの登場を熱望した。ちなみにシーズン4にオニャンコポンは登場、ジョンも喜んでいることだろう。

メーガン・ジー・スタリオン 「『僕のヒーローアカデミア』の緑谷出久の成長は、私の人生にも当てはまる」

Photo: Bennett Raglin/Getty Images

女性のエンパワーメントのロールモデルとしても注目されているラッパーのメーガン・ジー・スタリオンは、「僕のヒーローアカデミア」に夢中だ。髪を白と赤の2色に染め分け、コンタクトレンズでオッドアイも再現して、ヒーロー轟焦凍のコスプレで『Paper』誌に登場したこともある。女性キャラクターのミルコに似ているとネット上で評判になったこともあるが、メーガン自身が共感するのは“無個性”から最高のヒーローを目指す主人公・緑谷出久。

Photo: FUNimation/Everett Collection/amanaimages

出久には欠点もあるが、彼は決して諦めることなく、ヒーローになるという夢を追い続け、目標に向かって努力し続ける。そんなキャラクターの魅力をメーガンは、「Apple Music」のインタビューでこう評している。「『僕のヒーローアカデミア 』では、 “ダメダメ”と言われ続けていた緑谷出久が、 イケてる男の子に成長するまでが描かれている。これは私の人生にも当てはまること。“ダメダメ”という声は聞かなきゃいけないこともある。それが最高の自分になるために頑張らせてくれるから」

昨年には、日本のアニメやドラマなどのコンテンツを配信するアメリカの「Crunchyroll」とコラボして、ユニセックスのカプセルコレクションをローンチ。彼女の楽曲「Savage」をモチーフに「野蛮」という漢字がデザインされたTシャツなどを発表した。ハロウィーン・シーズンには「賭ケグルイ」の蛇喰夢子のコスプレをして「夢子・ジー・スタリオン」と名乗ってオマージュを捧げるなど、お気に入り作品やキャラもどんどん増えている様子だ。

ウェス・アンダーソン 「『新世紀エヴァンゲリオン』全24話を1週間しないうちに全部見た」

Photo: Gabriel Maseda/NurPhoto via Getty Images

2009年、グウィネス・パルトロウのサイト「goop」でお気に入りのDVDとして、イングマール・ベルイマンやマーティン・スコセッシといった名匠の作品と並び、『新世紀エヴァンゲリオン』を挙げたのはウェス・アンダーソン。彼による短評は「この日本のアニメは説明するのが非常に難しく、私がトライしても、素晴らしさが伝わらないかもしれません。全24話ありますが、私たちは1週間しないうちに全部見ました。これがリアルだと信じたくなってくるからです」というもの。

Photo: Gainax/Everett Collection/amanaimages

その後、『Time Out』誌がアニメ作品ベスト100を募ったアンケートでも、10本挙げた中に『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』を紹介している。そんなアンダーソンは2018年に日本を舞台にしたストップモーション・アニメ『犬ヶ島』を発表したが、大ファンであるスタジオ・ジブリ作品や大友克洋監督の『AKIRA』などの影響と合わせて、主人公の12歳の少年アタリが犬たちを救うために奮闘する姿は、『エヴァンゲリオン』の碇シンジと重なる部分がある。

BTSRM 「『ポケットモンスター』のカイリューがお気に入り!」

第63回グラミー賞で惜しくも受賞は逃したものの、アジア人アーティストとして初めて最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス部門にノミネートされるなど、K-POPを世界規模のブームに押し上げたBTS。彼らが見て育った日本のアニメやキャラクターたちは、メディアやファンとの交流で盛り上がる話題の一つだ。

2018年に『VICE』が行なった3択クイズのインタビュー「Noisey Questionnaire of Life」では、『ワンピース』『ドラゴンボールZ』『NARUTO』の3作を選択肢に提示されると、みんな口々にタイトルを連呼。票が割れるカオス状態だったが、JINは「『ドラゴンボールZ』は名作」と断言し、かめはめ波(韓国語でエネルギー波)も披露している。

そんなアニメ好きのメンバーたちがもっとも声を張り上げた質問は、『ポケモン』『デジモン』『遊戯王』の3択。リーダーのRMは、お気に入りだというカイリューの英語名がわからず「レーザービームを出す」と身ぶり手ぶりを交えて説明し、「黄色の恐竜で韓国語でマンナニョン」と熱っぽく語った。

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『ポケモン GO』にもハマっていたRMは、カイリューへの愛がよほど特別なのか、JIMINの誕生日には手書きのイラストまで描いてお祝いのメッセージを寄せていた。

Text: Yuki Tominaga