バズ・ラーマン監督の最新作『エルヴィス』は、“キング・オブ・ロック”ことエルヴィス・プレスリーの人生を、複雑な生い立ちから42歳の早すぎる死まで、圧巻のライブパフォーマンスとともに描いている。エルヴィスを世界的スターへと押し上げたマネージャー、トム・パーカー大佐、そして妻プリシラとの関係に焦点を当てた本作が成功するかどうかは、キャスティングにかかっていたと言えるだろう。この伝説的ミュージシャンと、そのレガシーに最大級の賛辞を贈る映画の出演者たちを実在の人物と比較してみよう。
オースティン・バトラー(エルビス・プレスリー役)
オースティン・バトラーは激しい競争を勝ち抜き、主演の座を獲得した。ほぼ全編に渡って吹き替えなしでエルヴィスになりきったオースティンは、バズ・ラーマン監督に「エルヴィスそのもの」と称賛されている。
オリヴィア・デヨング(プリシラ・プレスリー役)
オリヴィア・デヨングは、 プリシラ・プレスリー役に大抜擢されたオーストラリア人俳優だ。彼女は、エルヴィスとの出会いから、情熱的なロマンスと結婚、そして処方薬依存になった夫との別れまでを熱演した。
トム・ハンクス(トム・パーカー役)
エルヴィスを世界的スターに押し上げた敏腕マネージャー、トム・パーカーを演じるのはトム・ハンクス。1929年にオランダからアメリカに移住したパーカーは、最初はカーニバルの労働者だったが、やがてミュージシャンのマネージメントに従事する。1955年、エルヴィスのために有利な新契約を獲得してからは、彼の人生のあらゆる面を“支配”するようになるのだ。“大佐”と呼ばれたパーカーはエルヴィスの飛躍的な成長と、その後のキャリアの低迷、両方の責任を負った。
リチャード・ロクスバーグ(ヴァーノン・プレスリー役)
『ムーラン・ルージュ』(2001)にデューク役で出演したオーストラリア人俳優のリチャード・ロクスバーグは、ラーマン監督の映画ではおなじみの存在。エルヴィスの父ヴァーノン・プレスリーは、息子のキャリアに深く関わり、1977年のエルヴィスの死後は彼の遺言執行人を務めた。
ケルヴィン・ハリソン・Jr(B.B.キング役)
新星のケルヴィン・ハリソン・Jrは、若き日のエルヴィスと定期的に交流していたブルースのキング、B.B.キングを演じる。バリー・ジェンキンス監督による実写版『ライオン・キング』の続編で若きスカーの声優、また18世紀の音楽家シュヴァリエ・ド・サンジョルジュと、現代アーティストのバスキアの伝記映画では主演を務める予定だ。
コディ・スミット=マクフィー(ジミー・ロジャーズ・スノウ役)
ジェーン・カンピオン監督の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、高い評価を受けたコディ・スミット=マクフィー。彼が演じるジミー・ロジャーズ・スノウはエルヴィスの親友で、トム・パーカーがマネージメントしていたカントリーミュージシャン、ハンク・スノウの息子だ。ジミー・ロジャーズ・スノウは、1950年代にエルヴィスと定期的にツアーを行った。
デヴィッド・ウェンハム(ハンク・スノウ役)
ハンク・スノウを演じるのは、ピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング』3部作や『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどでおなじみのオーストラリア人俳優、デヴィッド・ウェンハムだ。トム・パーカーは、伝統的なカントリーサウンドを追求していたハンクのマネージメントをしていたとき、オープニングアクトを務めたエルヴィスの才能を見出した。
ヨラ(シスター・ロゼッタ・サープ役)
ヨラの愛称で知られるヨランダ・クオーティは、カントリー、ソウル、ポップをブレンドした独特の音楽でグラミー賞に6回ノミネートされたイギリスのシンガーソングライターだ。彼女は「ロックのゴッドマザー」と呼ばれたゴスペルシンガー兼ギタリスト、シスター・ロゼッタ・サープに扮している。
アルトン・メイソン(リトル・リチャード役)
アルトン・メイソンはモデルとして輝かしいキャリアを築いてきた。24歳の彼は最初ダンサーとして活躍し、ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)、トム フォード(TOM FORD)、フェンディ(FENDI)のキャンペーンに登場。2018年にはシャネル(CHANEL)のランウェイを歩いた初の黒人男性モデルとなった。その傍ら、ミュージシャンとしてもキャリアを積んでいた彼は、ロックンロールのパイオニアとして知られるリトル・リチャード役を手にした。