編集N 今年は例年に比べて桜の開花が早いみたいですね。最近不安なニュースばかり続きますが、気持ちだけでも明るくしていきたいので、今週のお題は春らしいフラワーアイテムに設定してみました。今シーズンも引き続き、レトロなムードがトレンドですよね。
影山 レトロなフラワーアイテムは私自身、トレンドに関係なく好きなもののひとつです。今シーズンはミカ・アルガナラズのような70s風のスタイリングが気分ですよね。
編集N これはプラダ(PRADA)ですね。
編集N アレクサ・チャンもブラウスのタイプを着ていてすごくときめきました。こうやってブラックのアイテムと合わせてシティライクに着るのも素敵!
影山 アレクサは着こなしが本当にリアルで上手ですよね。こういうスモック風のデザインや刺繍系のものは、一歩間違えると子どもっぽくなりがち。なので、リアルなヴィンテージで取り入れるよりは、モードにアップデートされた最新のものを着たほうが失敗しにくいと思いますね。
編集N 確かにフラワーアイテムは、紙一重なアイテムですよね。繊細なプリントだと野暮ったく見えてしまったり、甘すぎるとトゥーマッチになってしまったり。
影山 そういう意味で今シーズンの"レトロ”というキーワードは大人にぴったりだと思います。曖昧なものよりも、キャラがしっかり確立されていてインパクトのあるもののほうが、難しそうに見えて実は着こなしやすいんですよ。
編集N 影山さんの仰るインパクトのあるフラワーアイテムについてもっと詳しく教えてください。ビギナーだとどうしてもハードルが高く感じてしまいますが、おすすめの取り入れ方はありますか?
影山 ジジ・ハディットのように、ボトムで取り入れるのがおすすめです。彼女はトップにも花柄を合わせた上級者な着こなしですが、シンプルなTシャツやシャツを合わせてもキマると思いますよ。
編集N 確かに顔まわりを避けたほうが、パンチの効いたプリントでもインパクトが強くなり過ぎなくていいですね。そして着るだけでおしゃれに見えそう!
影山 そうなんですよ。着た者勝ち的なところはありますね。パンツに限らずスカートでもいいと思います。
影山 そしてもう少し上級を狙うなら、インフルエンサーのカミーユ・シャリエールのようにブーツで取り入れるバランスも粋です。
編集N トレンチとデニムというシンプルなスタイリングも、ブーツのパワーでいっきにモードになりますね。
影山 こうやって見ると、強めのフラワーアイテムの使い勝手の良さが分かりますよね。ロマンティックな方向にはなかなか持っていきにくいのですが、野暮ったさを回避してモードに大人っぽく着たいという人にはおすすめです。
編集N 一点投入で手持ちのワードローブが今っぽく見えるというのもいいですよね。すごくリアルだと思いました。
影山 今シーズンのパコ ラバンヌ(PACO RABANNE)には理想のレトロなフラワーアイテムが沢山登場しているので、是非チェックしてみてください!
編集N 強めのフラワーアイテムも魅力的なのですが、王道のフェミニンな感じもやっぱり欲しいという人はどうすればよいでしょうか。デート服として取り入れるなら、というイメージです。
影山 となるとやはりワンピース系ですよね。さらっと着られるけれども、あまりリゾートっぽくないものを選んでみてはどうでしょうか。カイア・ガーバーのスタイルは、デートに限らず好感度が高そうですよね。
編集N ブランドでいうとルージュ(ROUJE)のようなイメージの、パリジェンヌ風のスタイルですね。憧れます!
影山 足もとをブーツで外しているのもいいですよね。フラットシューズでも可愛いと思います。
編集N エマ・ロバーツはまさにフラットシューズを合わせてますね。これぐらいのミディ丈や長袖は大人でも着やすく、デートスタイルにも応用できそうです。
影山 エマは身長が157cmと海外セレブの中では低めなので、日本人でもお手本にしやすいバランスですよね。フラットだけどポインテッドトゥで辛口に引き締めているのも◎。こういうナチュラルなスタイルだったら万人受けすると思います!
編集N その他におすすめの着こなしはありますか?
影山 70s風のムードならデニムは鉄板ですよね。ミシェル・ウィリアムズの着こなしはすごく理想的です。サボなどの小物使いも上手だし、これぐらい気負ってない感じなら派手なプリントでも嫌味がない。
編集N ブラウス以外のアイテムが甘くないのがポイントなのでしょうか。
編集N ただ、このキアラ・フェラーニのスタイルを見ると、ライダースのようなクールなアイテムとの相性を疑いたくなってしまいます……。
影山 ライダースと花柄の組み合わせは悪くないと思いますよ。ただ彼女の場合は、全体のバランスで失敗してしまっている印象ですね。おそらく60s風のイメージなのだと思うのですが、であれば、ヘアメイク含めてもっと振り切ってしまったほうがよかったのかも。やはり繊細な花柄の場合は、コーディネート力が試されますね。
影山 同じ組み合わせでも、彼女のバランスはおしゃれですよね。
編集N オーバーサイズがモダンですね。花柄のパッチワークも今シーズンよく見かけるので気になっています!
影山 パッチワークのようにデザインが入ると、繊細な花柄でもメリハリ感が出るので、ぐっと着こなしやすくなると思います。
今回はお気に入りの70sヴィンテージのフラワープリントスカートを主役にしたスタイル。まだ寒いのでトーテム(TOTEM)のモヘアニットを合わせたのですが、重たくならないようにセリーヌ(CELINE)のレザーメッシュシューズで軽やかにまとめました。
このようにスカートの土台となるカラーとシューズの色味をリンクさせると、スタイルアップして見えます。さらに私はあまりファンシーにしたくなかったので、捻りのあるディテールでシャープに仕上げました。
ヴィンテージには素敵なフラワープリントアイテムが沢山あるのですが、選びや着こなしが難しいという方には、先ほどもご紹介した今シーズンのパコ ラバンヌ(PACO RABANNE)がおすすめです。一見派手に見えますが、その方が逆に使いやすいことも。こういったパンチの効いたフラワーアイテムをシンプルな着こなしに一点投入して、是非春らしいおしゃれを楽しんでください!
Profile
影山蓉子
eight peace所属のスタイリスト。2009年にキャリアをスタートし、『VOGUE JAPAN』をはじめさまざまなモード誌や広告などにて幅広く活躍。トレンドをモダンに落とし込んだスタイリングに定評がある。
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Text: Asa Takeuchi Editor: Airi Nakano