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漫画『NANA』が着想源のアディアムのショーに、ギタリストのMIYAVIが登場!【2023-24年秋冬 NYコレ速報】

パンクロックやグランジなどの音楽がインスピレーションとなった今季のアディアム(ADEAM)。MIYAVIがギターを生演奏し、オーディエンスを圧倒した。

2月12日(現地時間)、ニューヨークでアディアム(ADEAM)が2023-24年コレクションを発表した。今シーズン、デザイナーの前田華子はY2Kの流れを汲み、自己形成期の2000年前後を振り返ったという。その中で彼女が着目したのが、当時夢中になっていた矢沢あいによる日本の漫画『NANA』。パンクバンド、セックス・ピストルズの2代目ベーシストのメンバー、シド・ヴィシャスとその恋人ナンシー・スパンゲンをモデルに、後世に残るパンクロックファッションが描かれた作品だ。

モデルたちはダークなリップと鼻ピアスをまとい、パンキッシュな印象に。コレクションでは、レザー、チェック柄、ゴシックレース、チュール、ベルベットなど、さまざまな質感やパターンをミックスした、"DIY”風のアイテムが展開された。ドラマティックなラッフルやバイアススカートなど愛らしい装飾は健在だが、これまでのロマンティックでファンタジーの要素は少し控えめ。シンプルかつクリーンなセットアップスーツや、装飾を抑えたドレスはむしろ新鮮に映った。

ショーの中盤では、会場が暗転。すると、"サムライギタリスト”の名で海外でも熱い視線を浴びるギタリスト、MIYAVIが登場した。ソロでギターを生演奏し、1、2分ほどの短い時間だったが、圧倒的なパフォーマンスを目の前にした観客から大きな歓声と拍手があがった。その後、会場内を一周し、2018年のパリコレにおけるヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)の初ランウェイで培った見事なウォーキングを披露。MIYAVIとその後に続くモデルだちが着ていたのは、2021年にローンチしたジェンダーニュートラルコレクション「ADEAM ICHI」で、ランウェイでは初の発表となった。

パンクロックにインスパイアされた前半のコレクションに対し、後半はネルシャツ、穴あきセーター、重ね着など、前田のティーンエイジを特徴づけたもうひとつのロックミュージック、グランジのスタイルを意識したものだった。当然、モデルは男女混合で、女性もオーバーサイズの服を着ていたのが印象的だ。軽快なカーゴショーツは日本のワークウェアの生地で作られ、ポンチョは付属のポーチに収納してクロスボディバッグとしても使えるなど、ユニークな工夫が凝らされていた。

昨シーズンでブランド創設10周年を迎えたアディアム。世の中の流れを取り入れながら、時を超越した内省的なクリエイションを貫くことで、これからも着実にコアなファンを増やしていくだろう。

※アディアム 2023-24年秋冬コレクションをすべて見る。

Photos: Gorunway.com Text: Maki Saijo