小松菜奈の姿はティザー動画や招待状にも
ティザー動画にも、招待状にもメゾンのアンバサダーを務める小松菜奈の姿があった。ブランド創業者、ガブリエル シャネルのお気に入りの花カメリアと共に、1960年代風の黒いアイラインが効いたメイクで撮影されている。写真家デュオのイネス & ヴィノードが手がけたようだ。
会場であるグランパレ エフェメ―ルに入ると、巨大なスクリーンで小松菜奈出演のムービーが上映されていた。先シーズンコレクションの象徴としてクリステン・スチュワートが掲げられていたが、それと同様の存在のようだ。トップメゾンのショーで日本人がここまで大きく取り上げられるとは、本当に驚くべきことだ。
ショーの前に公開されたムービーは、映画監督兼写真家ウィリアム・クラインによる映画『ポリー・マグーお前は誰だ』(1966)が着想源。本作はパリに住む若いアメリカ人モデルが主人公だったが、今回は「パリに住む、軽快で自由な精神を持った日本人女性のイメージ」にしたようだ。終始シュールでミステリアスなムードが漂う。
セリフはなく表情や動きのみなのだが、思わず見入ってしまう表現力があった。テーマとなったカメリアはメゾンを象徴するエレガントな花。それに共鳴する気品や優雅さを感じさせた。
多様性が叫ばれているとはいえ、目鼻立ちがくっきりとしていてスタイルが良い欧米人にコンプレックスを持っているアジアの人々はいまだに多いだろう。そんな中、日本出身の小松菜奈がショーの主役に抜擢され、その個性が改めて美として定義された。彼女の才能や努力ゆえに実現したすばらしい出来事は、小松菜奈の名を世界に轟かせると同時に、アジア人たちが出自をポジティブに捉えるきっかけともなりうるに違いない。
Photos: GoRunway.com Text: Itoi Kuriyama