世界中から愛された世界最高齢のスタイル・アイコン
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2024年3月1日(現地時間)アイリス・アプフェルが、フロリダ州パームビーチの自宅で亡くなった。102歳だった。
自身の誕生日をワインで乾杯!
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2023年8月29日、102歳の誕生日を迎えたアイリス・アプフェルは、自身のInstagramにワイングラスを持ち活き活きとした表情のポートレート画像を投稿。「赤ワインで乾杯、102歳までの最後の夜!」というコメントからは、彼女らしいポジティブな雰囲気が伝わってくる。
新たなコラボも発表し、デザイナー業に大忙し
アイリスはいつどんな時もパワフルだ。2023年にオーストラリア・メルボルン発のアクセサリーブランド、アーストワイルダー(ERSTWILDER)とのコラボを発表した際は次のように語っている。
「私はアクセサリーが大好き。そして、スタイルに遊び心と好奇心が不可欠と信じているブランドとコラボするのが大好きなのは、みんなもご存知よね!アーストワイルダーとの新しいコレクションを発表できることにとても興奮しています。カラフルで大胆な樹脂のレイヤーとハンドペイントのディテールで、私のお気に入りの宝物をデザインしたの。可愛らしい動物が描かれていることは言ったかしら? きっと楽しんでいただけるはず」
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ここからは、アイリスの格言集をお届け。若くいることよりも、好奇心と冒険心を大切にした彼女のポジティブなメッセージは、性別や年齢、国籍にかかわらず、自分のありたい姿で生きるためのヒントを与えてくれる。
「おしゃれについては勉強できる。おしゃれになることも可能。でもスタイルは······手に入れたか、手に入れられなかったかのどちらかよ」
そもそも、アイリス・アプフェルはいつから“世界最高齢のスタイルアイコン”となったのだろうか? 1950年に夫とテキスタイル会社を立ち上げ、ホワイトハウスでも仕事をするほどインテリアデザインの世界では第一線で活躍していたが、モード界から注目を集めることになったきっかけは、2005年秋にNYのメトロポリタン美術館(MET)コスチューム・インスティテュートで開催された『Rara Avis: Selections from the Iris Barrel Apfel』だった。当初予定されていた展覧会が直前でキャンセルとなり、キュレーターのハロルド・コーダからアイリスのコスチュームジュエリーのコレクションを展示させてほしいと依頼されたのだ。アイリスが自らの私服とともにスタイリングした展覧会は口コミで瞬く間に注目を浴びる。さらにビル・カニンガムがニューヨークタイムズの連載『On the Street』で紹介したこともあって、大成功を収めた。2014年にはドキュメンタリー映画『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』も公開。
「興味を持たなくちゃ、面白くならない」
「私は注目を集めるために服を着ているのではありません。自分のために着ています。他の人と同じような服を着なければ、他の人と同じように考えなくていいから」
大きな丸眼鏡に大ぶりのコスチュームジュエリー、鮮やかな色使いのファッション、というのが誰もが思い浮かべるアイリスのスタイルだろう。おしゃれな母親の影響で幼い頃からファッションに関心が高く、12歳からは自分で服を買うようになった“ショッピング道の黒帯”だ。自分のスタイルを持つためにどうすればよいのかとアドバイスを求められると、自分自身を知り、自分のためにおしゃれすることを説く。
「自分のスタイルを見つける前に、自分自身を知らなくちゃ」
「自分が何者であるか、取り組んでみなければわからない」
「ただ心の中で感じたことをやってみるの。挑戦しなければ、失敗するだけです」
「若いままでいたいのなら、考え方も若くなくては」
御歳102歳となったアイリスだが、自分の年齢を考えたことはないという。「ただの数字よ」という言葉に彼女ほど説得力を持たせられる人はいないだろう。実年齢より若く見られようとするのはバカげているとバッサリ斬るような言い回しだが、90歳を超えてもアクティブでいるための秘訣はユーモアと好奇心だと言う。
「年をとってから何歳も若く見せようなんてばかげているし、誰も騙せない。75歳でフェイスリフトをしたって、誰も30歳だとは思わないでしょ」
「不思議なことに驚くこと、ユーモア、好奇心。これらが私を元気にしてくれる」
「幸せで、愛を知って、周りにいい人たちがいて、好きなことをして、人に恩返しできている**──**そう思えたなら、それが成功よ」
プライベートでは、公私共にパートナーのカールとおしどり夫婦として知られ、彼が亡くなるまで結婚生活は68年続いた。仲良く長続きするための秘訣として「ユーモアをもつこと、互いにリスペクトすること、それぞれのスペースを持つこと、常に同意できないことを受け入れること、自分らしさを犠牲にしないこと」といったことを挙げている。
【参考文献】
『IRIS APFEL:ACCIDENTAL ICON』 / Iris Apfel/Harper Design(2018年)
Text: Yoko Era Editor: Mayumi Numao
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