コリーナ ストラーダ(COLLINA STRADA)のデザイナー、ヒラリー・テイモアは「経済」、そして「迫り来る不況を投影したファッションのバランス 」について考えを巡らせていた。彼女は自身をスモールビジネスの経営者として考え、実際の服をデザインするときにもそれを意識していたそうだ。「私が作った服がちゃんと長持ちして、ワードローブの一部となり、お金をかけすぎているように感じさせないためにはどうしたらいいか?」。「遊び心を維持しながらも、“トーンダウンしたコリーナ ストラーダ”とはどのようなものなのか?」。こういった問いが、2023-24年秋冬コレクションのスタート地点となったという。
動物に扮したモデルたちが登場
この“トーンダウンしたコリーナ ストラーダ”のショーには、特殊メイクによって動物へと姿を変えたモデルたちが登場した。イルカやイヌに変身したモデルもいれば、耳やしっぽをつけたモデルも。しかし、ランウェイ上で繰り広げられるスペクタクルを超えて見えてくるのは、テイモアのユニークなクリエイティブ・ヴィジョンを通じて再解釈されたクラシックなデザインの数々だ。
ブラウンとブルーのチェック柄のコットンフランネルと、セージグリーンのサステナブルなサテン生地で仕立てられた2種類のスーツの裾には、可憐なフローラルアップリケが。コレクションのテーマに合わせて、シャツには犬の耳の形をした襟をあしらうなど、自然や動物とのつながりを遊び心たっぷりに表現した。
また、ジオメトリック柄のジャカードパンツには、ラッフルが揺らめくロングドレスを合わせ、スポーティなタンクとレイヤード。このドレスには、デザイナーのシグネチャーのひとつであるオリーブグリーンのチュール製「スカートベルト」もスタイリングされた。
そのほかにはオーバーサイズのチャンキーニット、スキーウェアにインスパイアされたキルティングジャケット、そして質感豊かなダスターコートなど、長持ちするワードローブのためのベーシックピースもラインナップした。
文字通りの“アニマルプリント”
このコレクションで目立ったのは、文字通りの意味で解釈されたアニマルプリント。インバーテッドプリーツが施された毛皮柄のベアトップドレスや、ワイドレッグのカーゴパンツがその例だ。
生分解性のサテン生地を繊細なレースで縁取ったタンクには、よく見ると爬虫類(正確にはヤモリ)がプリントされている。同じ柄を施したパンツと合わせて美しいグリーンの色合いを引き立てながらも、デッドストック生地で仕立てたチェック柄のウールコートでルックを引き締めた。
デザイナーの愛犬もTシャツにプリントされ、このルックを着たモデルが彼を小脇に抱えてランウェイを歩くという演出も。また、シルクオーガンジーのミニドレスは、ミツバチをフィーチャーしたフローラルパターンで彩られた。
より洗練されたイブニングウェアの開拓
よりフォーマルなドレスはデザイナーにとってやや新しい領域ではあるが、彼女はそれに傾倒しているようだ。「シルクサテンを多く使い、より洗練されたものを目指しています」とテイモア。チョコレートブラウンに染まった生分解性サテン生地のバイアスカットドレスは、取り外し可能なホーンがユニークさを添えていたが、それでもクラシックなムードを放つ。
ラストルックに登場したのは、トランスジェンダー俳優のトミー・ドーフマン。フローラルアップリケをあしらったロングトレーンが印象的な白のストラップドレスを優美に着こなし、ショーをエレガントに締めくくった。
※コリーナ ストラーダの2023-24年秋冬コレクションをすべて見る。
Text: Laia Garcia-Furtado Adaptation: Motoko Fujita
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