コペルニ(COPERNI)を指揮するセバスチャン・マイヤーとアルノー・ヴァイヤンのデザイナーデュオは、昨シーズンにベラ・ハディッドが纏ったスプレードレスによって、ブランドの認知度を飛躍的に高めることに成功した。3月3日(現地時間)、二人は2023-24年秋冬コレクションの発表前にバックステージでこの瞬間を振り返り、ヴァイヤンはこう述べた。「昨季は魔法のような、一生に一度の経験でした。しかし今、私たちは冷静になろうとしています」
それでも、近未来的なコンセプトを中心にショーを構成する二人のやり方は変わらずだ。今シーズンではボストン・ダイナミクス社による5匹のロボット犬を起用し、イソップ童話のフランス版、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの『狼と仔羊』の再話に挑んだ。この背景について、ヴァイヤンはこう説明している。「これは異なる集団間のパワーバランスについて語られた美しい物語です。私たちは狼と仔羊の代わりに、人間とロボットという形で再解釈しました」
現代版『狼と仔羊』
ラ・フォンテーヌの原作は、権力と自己正当化の関係をかなり残酷に示したものであることはさておき、この文学的な要素は全体に奥行きをもたらしていた。また、シャルル・ペローの寓話集『マ・メール・ロワ』の『赤ずきん』を下敷きにしたデザインも散見された。
寓話の挿絵を手がけたギュスターヴ・ドレの作品をアレンジしたプリントでは、狼の代わりにロボット犬がフィーチャーされ、レザーパンツは波打つようにカットされたスカートパネルがひねりを効かせる。一方で、絵文字のモチーフも随所に取り入れられ、メッセージのやり取りをイメージしたハンドバッグや、ハート形やOKのハンドジェスチャーをアクセントにしたチョーカーやギャザードレスなども目を引いた。
ロボット犬とのパフォーマンス
ショーの途中、前述した5匹のロボット犬の登場に目を奪われた。全員がスポットという名前で、1980年代のソニーのウォークマン・スポーツを想起させる鮮やかなイエローだ。この演出は、マイヤーとヴァイヤンによる最新テクノロジー主導のクーデターとでも呼ぶべきだろうか。すると、ブランケットに身を包んだモデルのリアン・ヴァン・ロンパエイが、“スポット”と不可解なインタラクションを交わす。そしてロボットアームがブランケットを剥ぎ取ったかと思ったら、彼女はまたそれを受け取り、歩き去っていった。
このパフォーマンスを挟んだ後、ショーはより技術的なものへと重点を移し、軽やかなリサイクルナイロンを使ったシャギーコート(コレクションの70%にリサイクル素材が使用されている)や、AIが生成した『狼と仔羊』のイメージを人間が再描画したイラストなどが登場。また、すでにインスタグラムで話題になっていたメテオライトの「Swipe」バッグも披露された。
テクノロジー×ラグジュアリーファッションの新しい概念
皮肉なことに、このショーでの真の狼は、大盛況を収めた昨シーズンを超えるものを作らなければならないという強迫観念だったのかもしれない。そして、後回しにしていた仔羊が、このコレクションとして展開されたようにも映った。
しかし、マイヤーとヴァイヤンは、テクノロジー主導の社会におけるラグジュアリーファッションの新しい概念を表現するために、どこまでその境界線を押し広げるべきかを見極めているところだ。それ故に彼らは今、自分たちの寓話を書いている最中だとも言えるだろう。
ちなみに、私が二人にこのレビューを人工知能チャットボットの「ChatGPT」に書いてもらおうと提案したとき、彼らはそのアイデアに大賛成だった。しかし残念ながらその結果は──少なくとも今のところは──あまりにも酷すぎるものだ。
Text: Luke Leitch Adaptation: Motoko Fujita
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