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“甘辛ミックス”がモードの鍵。バレエシューズの最新アレンジ術。【ファッションプロの週間コーデ予報/濱本愛弓編】

今季、ミュウミュウ(MIUMIU)などのランウェイにも登場していたことから、注目を集めそうなバレエシューズ。愛らしいデザインが故、ついついほっこりしがちなアイテムだけれど、実はアレンジ次第でモードにも変身できる優れ物。今回からご登場いただくスタイリストの濱本愛弓さんに、その着こなし術とアイテム選びのコツをお伺いしました。
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編集O 今週からスタイリストの濱本愛弓さんにご登場いただきます。濱本さんのモードな着こなしのファンの方も多いと思うので、これからいろいろお話を聞けるのが楽しみです!

濱本 ありがとうございます! こちらこそ宜しくお願いします。

ミュウミュウ(MIU MIU)2022年秋冬コレクションより。Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

編集O 初回のテーマはバレエシューズにしました。普遍的なアイテムではありますが、今シーズンはミュウミュウ(MIU MIU)を始め、ランウェイにも登場していたので改めて履きたいなと思っている人も多いのではないかと。濱本さんはどうですか?

濱本 少し前までは圧倒的にヒール派だったのですが、年齢を重ねていくうちに足もとに抜け感をつくるバランスもいいなと思うようになってきたんですよ。なのでまさにフラットシューズへの興味が高まっていたところです。自分らしいスタイルで楽しむなら、甘すぎないエッジの効いたデザインが欲しいですね。

編集O 私はいわゆる定番のバレエシューズと言われるタイプのものを持っているのですが、取り入れ方で悩んでしまっていて。デニムに合わせるぐらいしかバリエーションがなかったので、今日はスタイリングについても、ぜひアドバイスをいだければと思います。

濱本 宜しくお願いします。

ブラックベースのスタイリングでバレエシューズを大人っぽく。

Photo: Claudio Lavenia / Getty Images

編集O まずは濱本さんがオススメのバレエシューズスタイルから教えてください。

濱本 自分でもしてみたいなと思うのは、ブラックベースの辛口なスタイリングをバレエシューズでハズしたスタイル。バレエシューズ自体がかわいいイメージなので、洋服はエッジの効いた感じだったり、強めのアイテムを持ってきた方がバランスが取りやすいのかなと思います。このスナップの方のように、レザーやスタッズが付いたアイテムを合わせるのは自分でもやってみたいですね。バレエシューズ自体もシャープなイメージで私の好み。

編集O ブラックベースのスタイリングは、今シーズン多いのですぐ実践できそう! もしバレエシューズがベーシックなデザインでも成立しますか?

濱本 もちろんです。ベーシックなバレエシューズも素敵ですよね。

Photo: Christian Vierig / Getty Images

例えばなのですが、このスナップの方みたいに全身黒のスタイルで、足もとにだけ色を持ってきてポイントにするのってちょっと新鮮でいいなと。

編集O まさに私が持っているといった王道系のバレエシューズが赤なんですよ。今すぐトライしてみます(笑)!

Photo: Edward Berthelot / Getty Images

濱本 あとは王道系のデザインに限らずですが、バレエシューズをこの方のようにジャケットだったりドレッシーなアイテムに合わせるのも鉄板ですよね。彼女の場合はシューズに光沢感があって捻りが効いているところもポイントなのかなと思いますが、さらりとして見えるムードは参考になるかなと。

編集O 膝丈スカートとバレエシューズのバランスって難しいと思っていたのですが、アリなのかもしれないですね。

濱本 膝丈スカートはトレンドなので、むしろ積極的に楽しんでいただきたいです。脚の形などにもよるのですが、きれいに見せたい人はバレエシューズでもちょっとヒールがあるものやソールが厚めのものを選ぶと安心です。

秋シーズンに楽しみたいジャケットとのスタイリング術。

Photo: Edward Berthelot / Getty Images

編集O より今季らしい着こなしを楽しむなら、どのようなスタイルがオススメですか?

濱本 今っぽくて素敵だなと思ったのは、オーバーサイズのジャケット&パンツスタイルにバレエシューズを合わせたスタイル。抜け感があって大人の余裕を感じます。でもある程度身長があった方がカッコよく見える気がするので、もし自分で取り入れるとしたら、この方のように肌見せだったりシルエットのメリハリを意識して、少しでもスタイルアップして見えるようにすると思います。

Photo: Christian Vierig / Getty Images

編集O 確かにこういうバランスちょっと新鮮でいいですね。私もセットアップのスタイルに挑戦してみたいです。バレエシューズはマニッシュなジャケットとも相性がいいんですね。意外でした。

Photo: Edward Berthelot / Getty Images

濱本 このスナップの方のようにクラシックな感じのジャケットとの組み合わせもオススメです。デニムを合わせている感じも、すごくリアルで◎。

編集O ジャケットとセットで考えておくと失敗しにくそう。あとは今までのスナップを見ていると圧倒的にカチッとしたミニバッグを合わせている人も多いので、そこもポイントなのかなと思いました。

濱本 バランスは重要ですよね。特にバレエシューズは単体としては、スタイルアップして見えるアイテムでないので、ほかでバランスを取ることがコツなのかなと思います。そういう意味でいくと、トレンドのローライズとバレエシューズを合わせるのはあまりオススメではないかも。おしゃれではありますが、かなりハードルが高いですよね。

編集O 私は少しでもスタイルアップして見せたいので、ローライズとバレエシューズはそれぞれ別で楽しみたいなと思いました。バランスについてのお話、もっと詳しくお聞きたいです……!

スタイルアップが叶うオススメのコーデとは。

Photo: Edward Berthelot / Getty Images

編集O 逆にこの組み合わせだったら、誰でもバランスよく見えるというアイテムや着こなしはありますか?

濱本 手っ取り早いのは、ロングスカートの組み合わせではないでしょうか。この彼女のようにトップをコンパクトにしたりロング&リーンなシルエットを意識するとより効果的だと思います。

編集O 確かにロングスカートだったら、背丈に関係なくバランスよく見せられそうですね。

濱本 そしてロングスカートに通じるところなのですが、くるぶしが見えるというのはひとつのポイントかなと思っていて、王道ですがクロップド丈のスキニーパンツもオススメ。

Photo: Christian Vierig / Getty Images

ともすればコンサバなイメージとも思われそうですが、私は大人っぽさがあっていいと思います。やっぱりバランスがキマっていると、バレエシューズの良さが引き立って見えますよね。

編集O 確かにワイドパンツより、黒のクロップドスキニーの方が誰でも手軽にスタイルアップできそう。逆に先ほどのローライズのように避けた方がいいアイテムなどはありますか?

Photo: Edward Berthelot / Getty Images

濱本 もしスタイルアップという観点でお話するのであれば、スカートとソックス合わせは慎重にした方がいいと思います。中途半端な丈だったり、ミスマッチだったりコントラストを強調してしまうカラーソックスだと脚がきれいに見えないので、失敗したくなければ黒の透け感があるタイツがベターかなと。もしくはニーハイソックスを合わせてしまうなと。

編集O いろいろと参考になりました。その他にスナップを見ていて気になったアイテムなどがあれば教えてください。

Photo: Melodie Jeng / Getty Images

濱本 個人的にはパンチの効いたバレエシューズが欲しいので、上のマリアカルラが履いているスタッズが施されたデザインはすごく気になりました。こんな感じのものを自分でも探してみたいと思います!

濱本さんのオススメのバレエシューズスタイルをご紹介。

最初のスナップということで、自分らしさを意識してみました。パワーショルダーのジャケットなど強めのアイテムを取り入れたブラックのスタイリングに、ミュウミュウ(MIU MIU)のバレエシューズでハズしを加えたスタイリングです。ソールが薄いタイプなのでバランスよく見せるために、ミニスカート を合わせたのもポイント。薄めの黒タイツ合わせでもいいのですが、ちょっとモードに遊んでみたくでカットアウトされたソックスを選んでみました。

ジャケットはヴァケラVAQUERA)、トップスはトゥデイフル(TODAYFUL)、スカートはサンローランSAINT LAURENT)、ソックスはチカ キサダCHIKA KISADA)、バッグはヴァレクストラVALEXTRA)、左手のバングルはティファニーTIFFANY & CO.)、右手のバングルはセリーヌCELINE)、ロエベLOEWE)、ヴィンテージです。今回はミニスカートをチョイスしましたが、膝丈スカートなどを取り入れたスタイリングにも、これからチャレンジしてみたいです!

Profile
濱本愛弓
VOGUEをはじめモード誌をベースに活動。スタイリスト業と並行してブランドのディレクション業やコラボレーションでも多忙を極める。生粋のファッションラバーで、自身のモードな着こなしも話題の的。

Text: Asa Takeuchi Editor: Kyoko Osawa