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手持ちの一枚をアップデート!2021年版、長く愛せるベーシックコートの選び方。【ファッションプロの週間コーデ予報/木津明子編】

コートの季節が到来!極上の素材で作られたラグジュアリーブランドのチェスターコートから、ゴアテックスで軽量、かつ雨や雪の日でもOKな一枚まで、スタイリストの木津さんと徹底検証。最新ブランドリストやセレブたちの着こなしをお手本に、今年買うべき一枚を見つけて。
手持ちの一枚をアップデート!2021年版、長く愛せるベーシックコートの選び方。【ファッションプロの週間コーデ予報/木津明子編】

Photo: Rex / AFLO

編集O そろそろ秋冬シーズンの本命アイテム、アウターを投入したい時期ですよね。長く着ることを考えるとあまり重すぎないものがいいのかなと。引き続きシンプルな気分ということもあり、そんなイメージにマッチするコートのお話ができればと思っています。

木津 ナタリア・ヴォディアノヴァように今の着こなしの上に、ぱっと羽織ってサマになるようなイメージですよね。きちんとして見えるのでこれからの時期、絶対一枚あると便利だと思います。

編集O シンプルなコートって、いいものを着ていると必ず褒められませんか? だから素材にも仕立ての良さにも気が抜けないと思うと、自然とハードルが上がってしまって……(笑)。

木津 すごくわかります。でも自分も周りの人のコートが素敵だったら「すごくいいね、どこの?」ってつい声かけちゃうタイプかもしれないです(笑)。

コート  ¥682,000/LORO PIANA FEATURING HIROSHI FUJIWARA( ロロ・ピアーナ ジャパン 03-5579-5182 )

編集O コートって脱いでかけておいたり、預けたりするアイテムでもあるので自然と人目につきやすいですよね。先日ロロ・ピアーナLORO PIANA)と藤原ヒロシさんのコラボコレクションを拝見してきたのですが、このメンズのコートはカシミアを得意とするロロ・ピアーナならではの肌触りのよさに加え、脱いだ時に見える裏地にまでこだわって作られていてとても素敵でした。

木津 色鮮やかなブルーの裏地が新鮮ですね。ブランドと素材名が大きくが描かれているのもユニーク。ユニセックスなムードも今っぽさのカギなのではないでしょうか。

狙い目はオーバーサイズのロング&ニュアンスカラー。

オーラリー(AURALEE)2021-22秋冬プレタポルテコレクションより。Photo: Courtesy of Auralee

編集O シンプルなコートといえば今シーズンのオーラリーAURALEE)もすごく印象的でした。

木津 これはどんなタイプの人でも取り入れやすい、まさに理想系ですね。程よくリラックスした感じやストンとしたシルエット、長めの丈など今のポイントがしっかりと押さえられていていいと思います。

編集O 最近はフィットするようなコンパクトなものより、気負いなく羽織れるような緩さがあるものが気分ですよね。中に着込めるようなもの、かつ軽くて疲れにくいものが理想的。

木津 やはり自然と手が伸びるのは軽いアウターですよね。最近はリアルプライスのコートでもかなり品質が良いものが増えているので、軽くて上質で暖かいものの需要がより高まっている気がします。

ミュウミュウ(MIU MIU)2022春夏プレタポルテコレクションより。Photo: Filippo Fior / Gorunway.com

編集O 少し早いですが、ニュー・ベーシックなスタイルが印象的だったミュウミュウMIUMIU)の2022春夏でもシンプルなチェスターコートが登場していました。ちなみにカラーはどんなものがおすすめですか?

木津 ビギナーでも取り入れやすいのはベージュでしょうか。いろんな種類があるから必ず自分に似合うものが見つかるし、重く見えないのでバランスが取りやすいと思います。

編集O 定番となるとついブラックやネイビーにいきがちですが、ニュアンスカラーもいいですよね。

Photo: Raimonda Kulikauskiene / Getty Images

木津 個人的には白もかわいいと思います。突飛かと思いきや、合わせやすいし着るだけで垢抜けた印象に見えますよ。ファニー・エクストランドがまさにいいお手本!

編集O 確かにあえての白、すごく映えますね。ベーシックさに少し変化をつけたい人にぴったり。エレナ・ペルヴィノヴァは、質感の異なる白のコートを上手に着こなしているイメージがあります。

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木津 艶のあるシャープなロングコートは都会的に、温かみのあるほっこりしたウールのコートはカジュアルダウン。素材感の良さを活かしたおしゃれなコーディネイトですね。

コートスタイルの達人、セレブの着こなしをチェック。

マックスマーラ(MAX MARA)2021-22秋冬プレタポルテコレクションより。Photo: Courtesy of Max Mara

木津 マックスマーラMAX MARA)と言えばコート! 上質な素材と美しいシルエットで、昔から定評がありますよね。腕周りにゆとりがある感じも考えられて作られている感じがします。

編集O 確かにこれぐらいのゆったり感があると安心ですよね。そしてスナップを見ていると、改めてセレブたちのコートルックは参考になるなと思いました。

Photo: Rachpoot/MEGA / Getty Images

木津 着こなしもさらっとしていてこなれていますよね。ヘイリー・ビーバーみたいに派手なレギンス上から上質なコートを羽織るバランスもすごく好きです。コート自体はオーバーサイズでちょっと難しいデザインに見えますが、この合わせ方はすごく参考になると思います。

Photo: James Devaney / Getty Images

編集O ケンダル・ジェンナーみたいな感じはどうですか? ジャケットの延長で着られそうなデザインも、定番だし人気ですよね。

木津 やや細身かなという気はしますが、スタイルアップして見せたい人にはよさそう。そしてこの丈感、いいですよね。私みたいに小柄な人は特にそうなのですが、中途半端な丈のコートだとバランスが取りにくいので、このケンダルみたいにふくらはぎぐらいまでの丈がベストだと思います。地面につきそうなぐらいの長さも可愛いですけどね。

編集O 長めの丈だとボトムとのバランスを気にしなくてもよいので、うれしいです。

Photo: Edward Berthelot / Getty Images

木津 そうですね。あとローヒールやスニーカーとも相性が良いですよね。キャロリン・ダウアーのように、厚底のチャンキーなフラットシューズと合わせて、チェスターコートのイメージを一新できるようになれればパーフェクトです!

上級者はカラーor素材で捻りを効かせると◎。

Photo: Christian Vierig / Getty Images

編集O 今季、気になったコートはありますか?

木津 このスナップの彼女みたいなレザー系もいいなと思っています。最近はエコレザーが主流で、軽いし、着るだけでおしゃっぽく見えるのが魅力的。このサンダルを合わせた着こなしは、本格的に寒くなる前の今の時期限定ですが好きですね。

編集O カラーで遊ぶバランスもなんだか新鮮です。木津さんは、カラーコートを着る機会ってありますか?

木津 実はこの秋冬は、カラーコートをオーダーしたんですよ。

編集O 詳しく教えてください!

ウティ(OUTIL)のコート

木津 ウティ(OUTIL)というユニセックスブランドのものなのですが、イエローのロングコートを買いました。メンズならではのオーバーサイズ、カジュアルなのに光沢感のある素材に惹かれました。今から着るのを楽しみにしています!

編集O 素材で遊ぶのもいいなと思ってきました。他にもオススメのブランドはありますか?

Instagram / @journalstandard.jp

木津 バブアー(BARBOUR)とジャーナル スタンダード(JOURNAL STANDARD)のコラボコートもロング丈でかわいかったです。バブアーのコートは時代のムードに流されないブレない格好良さがありますよね。こなれて見えると思います。

編集O 撥水性など機能性も高いので、日常使いにもぴったりですね。

木津さんのコートスタイルをご紹介。

最後に今シーズン気になった、もうひとつのコートをご紹介します。アウトドアブランドのアークテリクス(ARC'TERYX)から生まれたファッションライン、ヴェイランス(VEILANCE)のチェスターコートです。驚くほど軽いのに暖かくて、ゴアテックス素材だから雨の日や雪の日でもOK機能性に加えてミニマルなシルエットもお気に入りです。ドロップショルダーなので中にしっかり着込める子ところも◎。ライトな素材感のおかげでブラックでも重く見えません。ユニクロUNIQLO)のTシャツマルニMARNI)の柄パンツ、ナイキNIKE)のスニーカーというカジュアルなスタイルを引き締めるようなイメージで取り入れてみました。色違いでカーキもあって、そちらも素敵でしたよ。

職業柄一日中外を歩き回ったり、動くことが多いので毎日着るようなコートには実用性と軽さを求めがちです。加えてお手入れが難しくないものだと理想的ですね。もう少し寒くなってきたら薄手のロングダウンも楽しみたいと思っています。

Profile
木津 明子
スタイリスト。『VOGUE JAPAN』をはじめさまざまなモード誌や広告、著名人のスタイリング、ファッションブランドとのコラボレーションなどで幅広く活躍。

Text: Asa Takeuchi Editor: Kyoko Osawa