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色で遊ぶなら、パンツから! 失敗しない方法を徹底伝授。【ファッションプロの週間コーデ予報/管沼詩乃編】

着こなしがシンプルになりがちな春夏。いつものスタイリングでも、明るい色を投入するだけでガラリと印象が変わるというもの。簡単なようでつい及び腰になりがちなヴィヴィッドカラーのアイテムは、まずボトムから取り入れるべし! ということで、その心得をスタイリストの管沼詩乃さんに教えてもらいました。
色で遊ぶなら、パンツから! 失敗しない方法を徹底伝授。【ファッションプロの週間コーデ予報/管沼詩乃編】

ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)の2021年リゾートコレクションより。Photo: Courtesy of BOTTEGA VENETA

編集N 今シーズンのランウェイを見ていて個人的にすごく気になったのが、カラーパンツ。最近ワードローブがマンネリしてきたのと、どんよりした日もつづくので、このタイミングで投入して変化を楽しみたいなと。 

管沼 私は先日、ボッテガ・ヴェネタBOTTEGA VENETA)のリゾートコレクションで一目惚れしたイエローパンツを買いました。後ほどご紹介しますね。

編集N ありがとうございます。管沼さんは普段専らパンツ派ということですが、どんなときに色を取り入れるのでしょうか?

管沼 ベーシックなものも一通り持っているのですが、ときどきスパイスとして色を取り入れています。コツコツ集めているので、いろんなカラーや素材を持っていますよ。

カイダン・エディションズ(KWAIDAN EDITIONS)の2021年春夏コレクションより。Photo: Courtesy of Kwaidan Editions

編集N 私はマスタードカラーのスリット入りパンツを持っているのですが、トップ選びに悩むことが多くて。無難であるはずの黒や白を合わせても、コントラストがキツくて浮いて見える気がするんです。

管沼 たとえばNさんが好きな柄シャツを合わせてみるなど、ちょっと思考を変えて楽しんでみては?  カイダン・エディションズ(KWAIDAN EDITIONS)のルックみたいな感じをイメージしてみてください。

編集N あえて派手なもの同士を合わせて馴染ませるというですね! 確かにこれくらい攻めても、こなれて見えますね。

定番のシャツと合わせるなら、メンズライクな形が◎。

エルメス(HERMÈS)の2021年春夏コレクションより。Photo: Gorunway.com

編集N 管沼さんが今他に注目しているパンツはどんなものでしょうか?

管沼 可愛いなと思ったのはエルメスHERMÈS)。赤いパンツってなかなか難しいアイテムだと思うのですが、このルックを見てトライしてみたいなと思いました。ライトな素材感もこれからの季節にぴったりですし。

編集N セットアップ風に着るスタイリングは、入りやすそうですね。

管沼 ワントーンのスタイリングはスーツスタイルの延長線で楽しめるので、ビギナーでも失敗しにくいと思います。

フェンディ(FENDI)の2021年春夏コレクションより。Photo: Courtesy of FENDI

管沼 あとこちらも赤いパンツなのですが、フェンディFENDI)も◎。

編集N 少しメンズライクな雰囲気ですね。

Photo: The Image Direct/AFLO

編集N どちらもシャツと組み合わせていますが、着こなしによってはコンサバに見えてしまう可能性もありますよね。このカーリー・クロスみたいになると、個人的にはちょっとモード感が足りないかなと感じてしまいます……。

管沼 カーリーの場合はパンツのシルエットの影響が大きいのかも。センタープレス入りで細身のクロップド丈はオフィスライクに寄りがちですよね。

編集N ローウエストもマイナスポイントですか?

管沼 少し前まではハイウエスト至上主義みたいな風潮がありましたが、最近は少しずつローウエストも戻ってきているので、個人的にはアリかと。ただ股上がピタッとしていると、トップは限定されてしまいますよね。

Photo:The Image Direct/AFLO

編集N まさに先ほどお話した、私がタンスの肥やしにしてしまっているイエローのパンツも股上がピタッとしたデザインなんです。

管沼 なるほど。でもシャツをアウトして着るなど、工夫すれば問題なく取り入れられると思います。でももしこれから買うのであれば、少し股上にゆとりのあるものを選んだ方が◎。トップをインできますし、より取り入れやすいとは思いますね。

旬のトラックパンツはモード系ブランドをチェック。

ミュウミュウ(MIU MIU)の2021年春夏コレクションより。Photo: Courtesy of MIU MIU

編集N その他に管沼さんが気になっているアイテムはありますか?

管沼 今シーズン、ランウェイで見かけたトラックパンツも気になっていますミュウミュウMIU MIU)が可愛かったですよね。これはロングパンツの下にニット素材のホットパンツを重ねています。パンツ・オン・パンツの組み合わせはかなり上級者向けですが、ものすごくおしゃれ。

編集N リモートワーク化も進んでいるので、こういう遊びのある着こなしに挑戦するチャンスでもあるのかもしれないですね。

管沼 シャツやブラウスを着ていれば、ちゃんとして見えますからね。デザイン自体に新鮮さがあるので、こんな風にパンツの色味がシックなものを選んでもいいと思います。

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編集N そういえば以前本誌の企画でもストックホルム サーフボード クラブ (STOCKHOLM SURFBOARD CLUB)のトラックパンツをご紹介いただいていましたが、すごく印象的でした!

管沼 トラックパンツ入門者の場合、スポーツブランドで取り入れるのはなかなか難しいので、ファッションブランドのきれいめなものを選ぶと失敗しにくいと思います。

Photo: MEGA / Getty Images

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編集N カラーの取り入れ方にこだわりはありますか? パキッとした強いカラーとニュアンス系はどちらの方が取り入れやすいなどあれば、知りたいです。

管沼 私はどちらも持っているのですが春夏は薄めの色、秋冬は濃い色を取り入れることが多いかも。あまりルールは作っていなくて、ワントーンで着ることもあれば、あえて補色を組み合わせることもありますよ。

編集N カラーアイテムの場合これは自分に似合う、似合わないと先入観を持ってしまうところがあるのですが、ボトムだと顔写りを気にしなくていいので、選択肢が広がりそうですよね。

管沼 そうそう! 着たい色を楽しんだ方がいいですよ。形と素材感がしっかりしたものを選ぶのがポイントです。

カラーパンツを楽しむコツ&おすすめブランド。

フィービー・ファイロが手掛けたセリーヌ(CELINE)の2016年春夏コレクションより。Photo: Courtesy of CELINE

編集N 管沼さんが、その他にカラーパンツで譲れないポイントはありますか?

管沼 カラーだけではなくパンツ全般に言えることなのですが、自分に似合うシルエットやデザインのものを見つけることです。私はフィービー・ファイロがクリエイティブ・ディレクターだった時代のセリーヌCELINE)のパンツがお気に入りだったので、それに似たものを見つけると試してみたくなります。ハイウエストでほどよくゆとりがありつつ、エレガントさもあるものが好きですね。

編集N 確かに。自分に似合うという確信が持てるデザインだと、カラーにも挑戦しやすいですよね。

カイダン・エディションズ(KWAIDAN EDITIONS)の2021年春夏コレクションより。Photo: Courtesy of Kwaidan Editions

編集N となると、私は脚長効果があるパンツが好きなのでフレアシルエットのもので探してみようかな、と思いました。

管沼 いいですね! 最初にもご紹介しましたが、今シーズンはカイダン・エディションズ(KWAIDAN EDITIONS)がすごく可愛かったです。Nさん、好きそうですよね。

編集N このブルーのパンツがとても気になります!

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管沼 あとはメゾンスペシャル (MAISON SPECIAL)のパンツもすごくおすすめ。シルエットもきれいだし、リアルプライスなんですよ。

編集N 早速今検索してみたのですが、フレアのイージーパンツがすごく気になりました。耳寄りな情報をありがとうございます!

管沼 まずは自分に似合うものを見極めてから投資する方が、安心感がありますよね。カラーパンツだからといって構えずに、デニムを着るときと同じようなテンションでいいと思います。

編集N さらっと着る方がおしゃれに見えるということですよね。

管沼 そうです。もし合わせ方に悩んだら、まずは単色のシャツを。慣れてきたら柄ものを、と段階を踏んでいってもいいですしね。しっかりめの素材のものを選べば秋冬シーズンも使えるので、使用頻度は高くなくても、元が取れるアイテムなのかなと思います。

編集N そう言われるとすぐ買ってしまいそうです(笑)。ありがとうございました!

管沼さんのカラーパンツスタイルをご紹介。

今シーズン久々に一目惚れして購入したお気に入りのボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)のイエローパンツを取り入れたコーディネート。ジーヴィージーヴィー(G.V.G.V.)のパープルのシャツを合わせてシンプルだけど捻りのあるスタイルに。ジア(GIA)のサンダルで抜け感をプラスしたのも重く見せないポイントです。

今季はボッテガ・ヴェネタのルックでもそうでしたが、意外性のある色の掛け合わせを楽しみたい気分。着こなしがシンプルになる夏だからこそ、色で遊び心をプラスしていきたいです。

このパンツは結構しっかりとした生地なので、秋冬になったらシンプルにニットやタートルを合わせて引き続き着ると思います。 もっと本格的に暑くなってきたらリネン素材や軽い素材のパンツも取り入れていきたいですね。

カラーアイテムは身につけるだけで元気が出てくるので、今年は是非上手に取り入れてみてください!

Profile
管沼詩乃
スタイリスト。『VOGUE JAPAN』をはじめさまざまなモード誌や広告、著名人やアーティストのスタイリングなどで幅広く活躍。カルチャーを感じさせるキャッチーなスタイリングに定評がある。

Text: Asa Takeuchi Editor: Airi Nakano