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春先まで使えるものも。多方向に広がる“ダウンジャケット”の可能性。【ファッションプロの週間コーデ予報/由田静編】

防寒アイテムのイメージが強い、ダウンジャケット。でも今は、ファッションアイテムとしてもその才能を最大限に発揮し始めているのです。ストリートスナップでも大人気のその魅力について、スタイリストの由田静さんとともに語ります。
春先まで使えるものも。多方向に広がる“ダウンジャケット”の可能性。【ファッションプロの週間コーデ予報/由田静編】

Photo: Christian Vierig / Getty Images

編集N 寒暖差の激しい時期が続いているので、今週はアウターの話をしたいと思います。昨年コートについてはいろいろお伺いしましたが、今回はもっとカジュアルに楽しめるようなダウンジャケットをテーマにできればと。

由田 ダウンジャケットはもはやトレンドではなく定番アイテムですよね。ただここ数年のムードとしてはファッションコンシャスというより、スポーティやカジュアルなものが気分かも。この傾向はまだまだ続きそうな気がします。

編集N ストリートではソニア・ライソンが着ているザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)が人気ですよね。由田さんも過去にハイク(HYKE)とのコラボダウンを愛用しているとおっしゃっていましたがどうですか?

由田 どんなファッションにも合うのですごく活躍します。軽くて暖かいし気づくとつい手が伸びてしまうんですよ。

編集N ずばりコーデしやすいカラーやデザインはありますか?

由田 ソニアがまさにいいお手本だと思います。色はベージュやカーキ、ネイビー、丈はお尻にかかるくらいが使いやすいのではないでしょうか。

編集N 逆にこれはNGというものはありますか?

由田 着やせを狙ってスリムなシルエットを選ぶと古い感じになってしまうのでご注意を。袖もあまりコンパクトじゃない方がベターです。

狙い目はボリューム感のあるシンプルなデザイン。

Photo: Neil Mockford / Getty Images

編集N スナップを見ていて気になったダウンはありましたか?

由田 エラ・エアが着ているようなロングダウンは、リアルに欲しいなと思いました。普段だったら黒は選ばないけれども、これは可愛い。

編集N ポイントはオーバーサイズですか?

由田 そうですね。ウエストなどにシェイプがない、ストンとしたシルエットがポイントかと。昔はダウン=着太りするから細身のものが望ましいという風潮がありましたが、最近はボリュームがあっても洗練されたデザインのものが増えてきていて。むしろそのほうがおしゃれという流れになっていますよね。ロング丈は冬でもインナーは薄着のおしゃれをしたいという人にぴったりです。

Photo: Christian Vierig / Getty Images

編集N ボリュームがあるものでロング丈だとハードルが高いと感じる人も多いかと思います。私はアリッサ・コスカレリやローレン・カルーゾが着ているデザインもいいなと思って見ていました。

由田 あまり短すぎるとコーデするのが難しいので、この2人くらいの長さは実際一番使いやすいと思います。腰回りがカバーできるので実用的ですしね。そしてシンプルなデザインも今どき。スポーティなデザインに抵抗がある人は、着こなしも含めてこの感じをお手本にするといいかもしれないですね。これくらいシックな柄物や中間色だったら着回しもしやすそう。

編集N 小さいバッグを合わせてメリハリを作っている感じも参考になりますね。

由田 小物で都会的なムードをプラスするのは大事です。

Photo: Edward Berthelot / Getty Images

Edward Berthelot

由田 その他に今シーズンらしいものだと、以前のコートの回でも紹介したオーラリー(AURALEE)もそうなのですが、この方みたいなパステルカラーのダウンもおすすめ。中でもイエローはベージュの延長線みたいな感覚で使えるので、イチオシです。

スポーティorスタイリッシュ、タイプ別ダウンジャケットの選び方。

Photo: Christian Vierig / Getty Images

編集N 私はほどよくスポーティで普段のファッションにも合わせやすいものを探しているのですが、おすすめはありますか?

由田 シャルロット・フルーネフェルトの着ているようなダウンがいいのではないでしょうか? スポーティだけれどもパステルカラーで使いやすいと思います。

編集N これはすごくリアルに使えそうですね! そしてダウンといえば襟もとでも個性が分かれるところですが、由田さんはどんなタイプが好きですか?

由田 私は帽子をよくかぶるので、フードが取り外せるタイプが好きです。フードを外したときにシャルロットみたいにちょっと襟が立つイメージ。襟が大きく目出つようなタイプもコンサバにならなければポイントになっていいですよね。顔まわりにメリハリ感を作りたい人には特に良さそう。

Photo: Edward Berthelot / Getty Images

編集N 実際に今私が愛用しているダウンも襟が大きいデザインなんですが、確かに顔まわりが気にならなくて使いやすいです。ケイト・ティックもそうですが、バサっと羽織るだけでサマになる感じもよくて。

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由田 シンプルすぎると、おしゃれに見せるのが難しいと感じてしまう人もいますよね。そういう人はぜひ、サカイ(SACAI)のダウンをチェックしてみてほしいです。着るだけでモードかつスタイリッシュに見えます。種類もいろいろあるので、ダウンを普段着ない人でも気になるものが見つかるはず。

編集N コンサバにはなりたくないけれども大人っぽさもほしい、という人にはぴったりですね。 

Photo: Jose Perez/Bauer-Griffin / Getty Images

由田 スポーティなスタイルに抵抗がない人だったら、エミリー・ラタコウスキーのようなパキっとしたカラーもかわいいですよね。カラーダウンは着回しにくいと思われがちですが、普段シンプルなワードローブの人は映えるので逆に使いやすいと思います。 

今から買うなら春先まで使えるキルティングコートが◎。

Photo: Christian Vierig / Getty Images

編集N スナップを見ていて由田さんと一緒に思わずかわいいと唸ってしまったのが、アリッサ・コスカレリが着ているアウター。これはキルティングコートと言ったほうがいいのかもしれませんが、綿入りということで薄手のダウンと同じカテゴリーでお話できればと。

由田 最近は素材がすごく進化していますし、厳密にカテゴライズする必要もないですよね。実際私が今狙っているのもキルティングタイプのアウターなんですよ。アレッサみたいなカーリーなヘアで着るとまたかわいいですね。

編集N 年にもよりますが、日本にいるとすごく寒い時期というのが短いので、こういう薄手のコートが実は一番重宝することも。

由田 まさに。よほど寒い日でない限り、綿入りだったら十分温かいと思いますよ。

Photo: Jeremy Moeller / Getty Images

由田 マリア・バルテチコみたいにショート丈のものも素敵ですね。

編集N レイヤードもしやすそうですね。薄手のタイプを選ぶときのポイントはありますか?

由田 アリッサもマリアもそうですが、ボリューム感を出すことですね。オフショルダーなど腕まわりにボリュームが出やすいものだったり、オーバーサイズを選ぶといいと思います。個人的には、抜け感が出せるように重すぎないカラーを選ぶのもコツかなと。

編集N 確かに二人を見ていると、着こなしに抜け感を感じます。そして由田さんの狙っているアウターの詳細とその着こなしも気になります。

由田 私が狙っているのはショート丈のタイプなのですが、後ほど改めてご紹介しますね!

編集N ありがとうございます。次の冬シーズンまで視野に入れて買うならスポーティなダウン、今から春先まで楽しむならキルティングコートが狙い目ということで、今自分はどちらを購入すべきかまた考えてみたいと思いました。

由田さんのダウンジャケットをご紹介。

先ほどお話した私が今欲しいと思っている綿入りのナイロンコートがこちら。ハイク(HYKE)のものなのですが、お尻の部分にボリュームが出て、着るだけで都会的なシルエットに見えるところがお気に入り。

モードだけど抜け感のあるデザインを生かしたかったので、パンツも同じトーンで合わせて軽く、小物は黒で引き締めてみました。このコートはロングタイプもあってそちらもすごく可愛かったですよ。 

ダウンジャケットを着る時は何を合わせるかよく聞かれるのですが、私はワンピースやスラックスにも合わせるし、カジュアルなスタイルで楽しむことも。フォーマルなシーンでは着ませんが、デイリーだったら基本的にどんな格好にも合わせて楽しみます。

ただ足もとだけにはこだわりがありますね。コートで全体的にボリューム感が出るので、ポインテッドトゥのような華奢なものより、チャンキーな足もとでバランスを取るようにしています。小物などでどこかにカチっとした要素を取り入れるのもポイントです。

Profile
由田静
スタイリスト。『VOGUE JAPAN』をはじめさまざまなモード誌や広告などにて幅広く活躍。トレンドをミックスしたキャッチーなスタイリングに定評がある。

Text: Asa Takeuchi Editor: Airi Nakano