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東京でのショーは約9年ぶり! ホワイトマウンテニアリングが魅せた新境地。

約9年ぶりに東京でショーを開催したホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)が会場に選んだのは、緑豊かな新宿御苑。無観客のショーがライブストリーミングで配信された。全30ルックをウィメンズモデルに着用させた背景とは? 盟友、サルバム(SULVAM)とのコラボもチェックして。 ※すべてのルックを見る>>>

ショーは無観客にて開催されたが、遊歩道にはシートを配して演出。

8月30日、楽天グループ株式会社によるプロジェクト「by R」にてホワイトマウンテニアリング(WHITE MOUNTAINEERING)のショーがライブストリーミングで配信された。映像の冒頭は新宿駅の喧騒からスタート。繁華街からタクシーですぐの緑豊かな会場、新宿御苑がブランド名の由来である「都市(=ホワイト)と山(=マウンテニアリング)の融合」を体現していることを伝えているかのようだ。残暑厳しい中、ランウェイは木陰に設けられていた。

ショーが始まり、トップを飾ったのは大胆に脚を見せて歩く女性モデル。メンズの印象が強いブランドだけに意表を突かれていると、次から次に女性が登場してくる。最初から最後まで、30体全てがウィメンズだったのだ。

ショーの後、デザイナーの相澤陽介に話を聞くと、約9年ぶりとなる東京での発表に際し、「2022年春夏は6月にパリコレクションのスケジュールで既に発表しているし、せっかくの機会なので新しいことをやってファッションの可能性を追求したい」と思い、ウィメンズにトライしてみることになったという。

ホワイトマウンテニアリングは2017年春夏からウィメンズも展開していて、2022年春夏もすでにルックブックを発表している。

「これまでは先に作ったメンズのディテールやシルエットを女性用に落とし込む、というやり方だったのですが、今回は女性の服をどういう風に作り上げるか、ということが一番にあって、ショーのためにメンズのアイテムをリデザインしたり、リサイズしたりしました。フルスロットルでウィメンズをやってみた、という感じでしょうか(笑)」

確かに、今回のショーは黒、グレー、カーキといったシックな色味をメインとし、大胆に肌見せをしていたりして、ルックブックの女性像とは全く異なる。「女性が僕の服を着た時に、どういうバランスになったら一番かっこいいのか、というのをイメージした」のだという。

今秋発売される「ユニクロ アンド ホワイトマウンテニアリング」をはじめ、これまで数々のコラボレーションを行い話題を呼んでいるが、このショーでも驚きのルックがあった。サルバム(SULVAM)のデザイナー、藤田哲平と作り上げたというのだ。

サルバム(SULVAM)とコラボしたルックはフィナーレに登場した。

「藤田くんとはよく飲みにいく仲で、自然と“今度一緒にやるか”みたいな話になりました。僕はデザイン画をちゃんと描くタイプなんですけど、彼はそうではない。だから“こういう素材があるんだけどこういうことをやらないか”と、会話だけで進めていきました。これまでとはまた全然違うやり方。コラボの仕方もいろいろ模索していますね」

過去の全シーズンタイトルをあしらったTシャツ。

フィナーレでモデルたちが着用していたTシャツのバックには過去の全シーズンタイトルがプリントされていたが、今年はブランド設立15周年。メンズをメインにこれだけやってきたからウィメンズに踏み込めたということもある。そして、ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS)でキャリアをスタートさせた相澤は、ウィメンズに強い思い入れをもっている。

「ウィメンズをしっかりやりたいという気持ちはつねにあったのですが、僕はトレンドを追うことが難しいタイプなのでメンズが合っていると思ってきました。でも、今は“女性らしさ”や“男性らしさ”が問われている時代だし、ウィメンズにメンズの要素がたくさん入ってきている。そんなタイミングだったこともあり今回やってみたのですが、とても楽しかった。自分たちの服を女性が着たらこうなる、ということを表現できました。女性のトレンドを意識した女性向けのデザインではなくても、ファッションは成立するのではないかと思えたんです。今後もこうした可能性を探っていけたら」

スカートでもパンツでも、肌を覆っていても大胆に見せていても、今回見た女性たちは皆堂々としていて魅力的だった。私たちが今纏いたいのは、何かに合わせようとする服ではなく、自由な発想で生み出されたエネルギー溢れる服ではないだろうか。ホワイトマウンテニアリングのウィメンズの新たな展開に注目したい。

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ショー動画はこちらから。
https://brandavenue.rakuten.co.jp/contents/byr

Photos: Courtesy of Brand Text: Itoi Kuriyama