FASHION / Trend&Story

未来へと続く時の贈り物。

12月1日~10日まで表参道ヒルズ本館B3階スペース オーで開催されるKIMONO ROBOTO展。貴重な着物を革新的にみせるこの展覧会を祝し、日本を代表するイットモデル、チハルと江原美希が纏う伝統的な大島紬と久留米絣をピーター・リンドバーグが幻想的な世界に切り取る。PHOTOGRAPHED BY PETER LINDBERGHSTYLED BY HANNES HETTA

絣が魅せる美の息吹。
独特の気品が漂う大島紬。江原が着る久留米絣は繊細な蚊(か)絣(がすり)を手織りした藍染めの着物。鹿児島の奄美大島と福岡で受け継がれた精緻な職人技が生む伝統の絣には、華美に対峙する日本特有の「わび」「さび」の美しさが潜んでいる。
〈左〉着物「蚊絣 68 立」
〈右〉着物「純泥染 龍郷柄 振袖」

絣が魅せる美の息吹。
独特の気品が漂う大島紬。江原が着る久留米絣は繊細な蚊(か)絣(がすり)を手織りした藍染めの着物。鹿児島の奄美大島と福岡で受け継がれた精緻な職人技が生む伝統の絣には、華美に対峙する日本特有の「わび」「さび」の美しさが潜んでいる。
〈左〉着物「蚊絣 68 立」
〈右〉着物「純泥染 龍郷柄 振袖」

伝統が紡ぐ神秘の情景。
月に照らされた一匹の金のハブの背模様とその一瞬の動きを図案化した「龍郷柄」の振袖は、大島紬本来の織り方である一元(ひともと)絣(かすり)で織られた前田紬工芸の作品。天然木灰と日本酒による発酵の藍染めで深みのある絣模様を表現した久留米絣の着物は、人間国宝に指定される森山虎雄によるもの。二つの貴重な着物が神秘の情景をつくり出す。
〈中央左〉「蚊絣 68 立」
〈中央右〉「純泥染 龍郷柄 振袖」

たおやかに強く。
テーチギと呼ばれる植物の染料を使い泥田に浸し染め上げる大島紬の黒褐色の光沢。藍と白の木綿絣が描く久留米絣の奥行きのある表情。異なる素材と魅力を放つ絣織物が、女たちに凛とした強さとたおやかさを纏わせる。
〈左〉「蚊絣 68 立」
〈右〉「純泥染龍郷柄 振袖」

新たな着物の世界を切り拓くKIMONO ROBOTO展。
日本の伝統美として世界を魅了し続ける着物。その新たな魅力を未来へと伝えるべく世界的なクリエイターが集結し、これまでにないテクノロジーを掛け合わせた斬新なエキシビションが開催される。展覧会に出品されるのは、人間国宝や宮内庁御用達の職人が手がける貴重な着物コレクション。中には100年以上も再現されることがなかった職人技術を復古させた着物や、歴史ある友禅染の技法を使い数年がかりで制作された振袖も展示。会場には先端にカメラを備えたロボットアームが設置され、着物そのものだけでなく職人の手仕事にも焦点を当てディスプレイを通し間近に見ることができる。また展覧会のサウンドデザインをビョークが手がけるほか、写真家のピーター・リンドバーグや土井浩一郎などの世界的に活躍するクリエイターが捉えた着物の作品も展示され、会場全体を楽しむ仕掛けに。多角的に感覚を刺激する幻想的な空間で、新たな着物の世界に触れることができる。

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