
たくさんの愛に包まれて。ヴィヴィアン・ウエストウッドの追悼式にケイト・モス、ヴィクトリア・ベッカムらが出席
昨年12月にこの世を去ったパンクの女王、ヴィヴィアン・ウエストウッドの追悼式が2月16日(現地時間)、ロンドンのサザーク大聖堂で開かれた。デザイナーと親交のあったヘレナ・ボナム=カーター、ケイト・モス、マーク・ジェイコブス、ヴィクトリア・ベッカムなど多くのゲストが出席し、哀悼の意を捧げた。
イギリスを代表するデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドの人生とレガシーを、たった一言で言い表すなんて到底不可能だ。孫娘のコーラ・コーレは、サザーク大聖堂で行われた追悼式の最後の挨拶で、次のように述べている。「私たちは、祖母であり、母であり、姉妹、友人、師、アーティスト、そしてデザイナーだった、ヴィヴィアン・ウエストウッドという偉大な存在の断片にしか触れることができません」
昨年12月に他界したウエストウッドを偲ぶ90分の中で、家族やファッション、パンク、プロテストまで、語られるべきことは多岐に渡った。一方で、そのすべてを心に刻み込むように美しいパフォーマンスも挟まれた。ニック・ケイヴは「イントゥ・マイ・アームズ」をエモーショナルに、クリッシー・ハインドはギタリストとともにバディ・ホリーの「レイニング・イン・マイ・ハート」をピュアに歌い上げた。
この日集った参列者たちは、彼女の豊かで多様な人生の歩みを映し出していた。ポール・スミス、ケイト・モス、トレーシー・エミン、エル・ファニング、ヴィクトリア・ベッカム、マーク・ジェイコブス、リリー・コール、リバティ・ロス、ビアンカ・ジャガー、ジョージア・メイ・ジャガー、ボブ・ゲルドフ、サディ・フロスト、ジェイド・パーフィット、ジャイルズ・ディーコン、ベス・ディットー、ザンドラ・ローズ、エレン・フォン・アンワース、アーデム・モラリオグル、マティ・ボヴァン、ストームジー、アレクサ・チャンなど、実にさまざまな顔ぶれだ。『VOGUE』からはヘイミッシュ・ボウルズ、エドワード・エニンフル、アナ・ウィンターの姿もあった。
アンドレアス・クロンターラーが明かす、亡き妻とのエピソード
ウエストウッドの夫であるアンドレアス・クロンターラーは、彼女との思い出を2つ語ってくれた。ひとつは1988年、ウィーンでファッションを学んでいた彼が、講師だった彼女と付き合い始めて間もない頃のエピソード。歴史的名画を見に行ったデートでの彼女の装いを振り返り、「彼女はセンセーションそのものでした」と回想する。「チョコレートブラウンのベルベットキャットスーツに身を包んでいて、腰にはスカーフを巻いていた。それから足もとにはロッキンホース。ピンクのヒョウ柄のフェイクファー。それからカールしたオレンジの髪」。その日、彼女にベラスケスとルーベンスの作品を見せたと話す彼のネクタイには、ルーベンスの絵が描かれていた。「この絵を見つめる彼女を目の前にした瞬間、私はこの人が運命の相手だと、ずっと一緒にいるのだと思いました」と、そのとき抱いた想いを述べた。
2つめのエピソードは、ウエストウッドの晩年。彼女はタオイズムに没頭し、お気に入りの漢詩の本を何度も読み返していたそうだ。ボロボロになってしまった本を修復する約束だったが、いくら探してもページの一部が欠けていることに気づいたという。そしてそれらのページは、彼女が亡くなってからようやく見つかった。クロンターラーは最後にこう締めくくった。「ヴィヴィアンは今日、私たちをこの場に集めてくれました。彼女が何よりも望んだことは、私たち一人ひとりが世界をより良い場所にするために、全力を尽くすことでした」