グッチ(GUCCI)
1970年の初頭より、時計のデザイン、開発、製造を行っているグッチ(GUCCI)。その主要コレクションのひとつとなっているのが「G-タイムレス」だ。クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレは、ランウェイのスタイリングにも時計を登場させるほど、タイムピースへのこだわりが強い。その熱意は「G-タイムレス」にも反映され、ダイヤルがこれまでの数字に代わって、ハートやビー、スターのモチーフになるなど、ファンタジーあふれる世界観がいっぱい詰まった新作となっている。
フランク ミュラー(FRANCK MULLER)
1958年、スイスのラショードフォンに生まれたフランク・ミュラー(FRANCK MULLER)。ジュネーブの時計学校を首席で卒業し、92年、ブランドを設立。代名詞となっている「トノウカーベックス」も、同じ年に発表されている。腕曲するシェイプは、人間工学に基づいたもの。ユニークなビザン数字も意外にも、世代を問わず誰もが見やすい表示をしたいという、機能優先の発想から。拡大した数字を一定の文字盤の中に収め、時間を追う針がその数字を正確に指すようにデザインした結果だという。
ラール・ペルゴ(GIRARD PERREGAUX)
1791年、19歳のジャン=フランソワ・ボットが、スイスのジュネーブに時計工房を設立。彼が製作した非常に薄い懐中時計は反響を呼び、顧客にはヴィクトリア女王もいたという。1906年にコンスタン・ジラールの工房がボットの工房を吸収。今日のブランド名は、彼とその妻マリー・ペルゴの姓を取ってつけられた。ちなみにマリー・ペルゴの弟は1861年に来日し、スイス時計商館を横浜に開いて、日本で初めてスイス時計を正規に輸入販売した人物だ。アイコン時計「ヴィンテージ1945」のオリジナルは1945年に登場し、95年にコレクション化した。
ジャケ ドロー(JAQUET DROZ)
天才時計師と謳われた、ブランドの創始者ピエール‒ジャケ・ドロー。時計の販売促進のために開発したオートマタ(機械仕掛けのからくり人形)は、現在ヌーシャテル美術・歴史博物館に展示されるほどの貴重なもの。その高度なからくり仕掛けは、小鳥がさえずり動くタイムピース「シンギング・バード」にも受け継がれており、エナメルやパイオン装飾などのミニチュアアートとともに、誇るべきヘリテージ。時分表示インダイヤルと秒表示インダイヤルが、8の字を描くように重なり合う「グラン・セコンド」もブランドのシグニチャーだ。
モンブラン(MONTBLANC)
今年生誕110周年を迎えるモンブラン(MONTBLANC)の歴史は、ハンブルクからNYへ向かう船上で、3人の創業者が出会ったところから始まる。滞在先のNYで彼らが目にした最先端の技術がヒントとなり、1909年、世界初の持ち運べる万年筆を開発。アルプス最高峰の山“モンブラン”を掲げたブランド名は、今や万年筆の代名詞となっている。ブランドのパイオニア精神が受け継がれた「ボエム」は、14年に誕生。新作モデルのひとつにはパーペチュアルカレンダーが搭載され、コンプリケーション時計としてのグレードも備わった。
エルメス(HERMÈS)
15年にデビューした「スリムドゥエルメス」新作には薄型ムーブメントを搭載し、ベゼルにダイヤモンドをあしらったレディスモデルが登場。ラグジュアリーな究極のシンプルシティを追求する、メゾンの姿勢をシンボライズしている。クリエイティブ・ディレクターは、高級時計ブランドを歴任したフィリップ・デロタル。文字盤を彩る、アラビア数字の線が途切れるリズミカルなタイポグラフィは、フィリップ・アペロワによるもの。アリゲーターストラップの仕上げには蜜蝋で艶出しするなど、レザーの名門ならではのこだわりも。
ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)
08年、リシュモングループとの共同出資で時計ビジネスに参入以来、そのバリエーションを拡大するラルフローレン(RALPH LAUREN)。マスキュリンな魅力の「RLオートモーティブ」は、カーコレクターであり、自らもブガッティを所有するローレン氏が、クラシックカーの内装に見られる木製ダッシュボードと、ステアリングホイールからインスピレーションを得て開発したタイムピース。直径39mmのケースに使われているのは、高級インテリアに用いられるインド紫檀とガンメタルステンレススチールだ。
オメガ(OMEGA)
2020年東京大会まで全オリンピックのオフィシャルタイムキーパーに決定しているオメガ(OMEGA)だが、オリンピックで初めて公式時計を務めたのは、1932年のロサンゼルス大会。以来、単一ブランドでの計時最多回数を誇る。手巻き式クロノグラフ「スピードマスター」は、1969年にアポロ11号が月面着陸した際、オルドリン飛行士が着用していたモデル。一方、イギリス軍にも供給していた「シーマスター」は、ダイバーズウォッチの代名詞ともなっている。
ブランパン(BLANCPAIN)
現存する最古の時計ブランドとして知られるブランパン(BLANCPAIN)。創業者ジャン・ジャック・ブランパンがベルン州に最初の工房を構えたのは、1735年のことだった。1953年、フランス海軍の依頼により開発されたダイバーズ・ウォッチ「フィフティファゾムス」に続き、1956年、当時の世界最小丸型時計「レディバード」を発表。レディライクなファッションが主流だった当時、ムーブメントの直径わずか11.85mmのモデルは、エレガントウォッチとしてほどなくしてヒット。60年を経た今年は、その記念として世界限定モデルが発売される。
Stylist: Yoko Kageyama Editor: Junko Hirose