多角的な視点をもたらすNFTに注目。
Profile
マグハン・マクダウェル/『VOGUE BUSINESS』 シニア・イノベーション・エディター
2019 年1月より現職。『WWD』の初代テクノロジー・レポーターを務め、『W』『Marie Claire』『San Francisco Chronicle』『Business of Fashion』にも寄稿している。コラージュアーティストとしても活動中。
──今、注目している女性アーティストの作品は?
個人的に美的感覚に訴える作品と、私たちに違った考え方をもたらしてくれる作品の両方に興味があります。例えば、ヴァルヴァラ・アレイが手がける「Flower Girls」、サラ・シャキールのグリッターやクリスタルを使った作品、アウロボロスのデジタルクチュールなどの美学が特に好きですね。
──NFT/DAO/Web3.0を利用した女性やLGBTQ+に関するトピックで、今一番気になるムーブメントは?
Institute of Digital Fashion(IoDF)とDaz3Dのプロジェクトで、IoDFの共同創設者であるキャティ・テイをモデルにしたノンバイナリーのアバター制作は素敵でした。共同設立者のリアン・エリオット・ヤング曰く、ダイバーシティな作品に関して、最も重要なことは「キャラクター設定から表現へ」転換すること。また、Non-Fungible People by Daz 3DのNFTコレクションも、女性やノンバイナリーの人々を生き生きと描いていて、見る側をポジティブな気持ちにさせてくれます。
──今、注目しているデジタルのファッション&ビューティーブランドは?
バーバリーやグッチもデジタル専用のアイテムを作っていて、面白い試みだと思っています。また、RTFKT、DressX、Cult & Rainにも注目していますし、ロレアルが手がけるZoomで使えるメイクアップ(日本展開なし)の今後の展開が楽しみ。
──実際に試して面白かったガジェットがあれば教えてください。
Metaとレイバンのコラボによる、スマートグラス「Ray-Ban Stories」で遊ぶのがとても楽しかったです。ハンズフリーでコンテンツを記録して共有できるなんて、本当にクールなアイデアです。
──パンデミックの影響で、よりスピーディにWeb3.0が進化していますが、ラグジュアリーファッション業界との繋がりはどのように変化していると思いますか?
ファッション業界でNFTを目にするようになったのは、ここ1年くらい。この短期間で数々のトレンドが誕生しました。現在は、各ブランドがNFTを導入するかどうかだけでなく、Web3.0の戦略をどのようにすべきか?ということが要点になっています。多くのブランドが暗号資産を受け入れ、仮想空間に存在感を示してヴァーチャルグッズを生み出しています。これは、テクノロジーに疎いと言われ続けてきた業界にとって驚くべき成長でしょう。また、現在では各ブランドがNFTとリンクしたデジタルツインの製作にも力を入れています。
オープンマインドであることが大切。
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──メタバースやWeb3.0では、組織ではなく個の活躍が重要になってくると思いますが、これから参入しようとしている人が鍛えるべきスキルや最低限の知識などはありますか?
興味深い質問ですね。私は、オープンマインドであることが最も役立つと感じています。実はこの分野には、まだ“専門家”というものが存在しません。なぜなら、誰にとってもまったく新しいものだから。好奇心や創造性を持つことが大切ですね。
Text: Kurumi Fukutsu Editors: Mayumi Numao, Saori Asaka, Masayo Ugawa