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“メットガラ・マンデー”が復活!METの特別展、歴代テーマを総ざらい。

約2年ぶりに“メットガラ・マンデー”こと5月の第一月曜日に開催されるメットガラ(MET GALA)。昨年秋に続き、特別展のテーマは「In America」だ。第2章となる5月は「In America: An Anthology of Fashion(イン・アメリカ:ファッションのアンソロジー)」という名のもと、アメリカのファッションとデザイナーを振り返る展示に。開催前に、2014年から現在までの歴代テーマをキュレーターであるアンドリュー・ボルトンの言葉とともにおさらいしよう。

2014年「鏡越しに見る中国」展のリアーナ。

2022年のメットガラ(MET GALA)と特別展のテーマが、「In America: An Anthology of Fashion(イン・アメリカ:ファッションのアンソロジー)」に決定した。昨年秋に開催した「In America: A Lexicon of Fashion(イン・アメリカ:ファッションの辞書)」に引き続きアメリカをテーマにしつつ、第一弾とはまた違った視点で展開する予定だ。

この発表は、ドレスコードやパーティーの装飾に影響を与えるだけでなく、メトロポリタン美術館がメットガラを開催する目的そのものに深く関わってくる。世界中のVIPが集結するチャリティイベントだが、その影響力と意義は、募金額やソーシャルメディアの反響以上に大きい。ファッションとしてのアート、そしてアートとしてのファッション── この2つがいかに文化全体に影響を与えているかがわかる展示およびイベントなのだ。

どんなストーリーを物語るのか? どんな歴史を教えるのか? 毎年のテーマは、そうした疑問を己に問いかけ、あらゆる側面からの意見を交えて選び抜かれる。2018年は「カトリック」を一大テーマに掲げ、バチカンが保持する何百もの神聖な作品が展示された。また2014年は「中国」というテーマのもと、西洋と東洋のデザインに与えた中国の影響力を考察。そして2019年はインパクトに溢れる作品が集結し、「キャンプ」というテーマが掘り下げられた。

しかし、「時間」をテーマに掲げた2020年のメットガラは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止に。「イン・アメリカ」の第1章が披露された2021年もパンデミックのため、開催が9月上旬に延期された。そして2022年、メットガラが2年ぶりに「メットガラマンデー」こと、5月の最初の月曜日に戻ってくる。開催前に、2014年までの歴代のテーマをおさらいしよう。

2022年 イン・アメリカ:ファッションのアンソロジー。

メトロポリタン美術館は2021年、史上初の2部制の展示を発表した。「In America(イン・アメリカ)」というテーマのもと、第1章「In America: A Lexicon of Fashion(イン・アメリカ:ファッションの辞書)」が2021年9月に開幕。若手のアメリカ人デザイナーが主軸となった2021年に比べ、2022年の第2章「In America: An Anthology of Fashion(イン・アメリカ:ファッションのアンソロジー)」は、ファッションとデザイナーを歴史的に回顧するものを予定している。

コスチューム・インスティチュートのキュレーター、アンドリュー・ボルトンはこのように話す。「チャールズ・ジェームズ、ホルストン(HALSTON)、オスカー・デ・ラ・レンタ(OSCAR DE LA RENTA)などといった大御所たちはもちろん、歴史的に忘れ去られていたり見過ごされていたり、あるいはファッション史の中に含まれていない人物たちにも焦点を当てています」

2021年 イン・アメリカ:ファッションの辞書。

「2021年の展示は『誰がアメリカ人になれるのか?』という壮大な質問のもと、さまざまな視点を模索した」とアンドリュー・ボルトンは説明する。このフレーズは、プラバル・グルンPRABAL GURUNG)の10周年の記念ショーで披露されたトリコロールのドレスに描かれたスローガンだ。「アメリカのデザイナーは、多様性、包括性、サステナビリティ、ジェンダーフルイド、ボディ・ポジティブなど、さまざまな議論の最前線にいます。この展示会は、そうした課題を熟考し、深く関わっている若手デザイナーに焦点を当てました」。大御所のマーク ジェイコブスMARC JACOBS)からアップカミングなラ・レユニオン(LA REUNION)まで、100以上ものアメリカンデザイナーの作品を展示した。また、ティモシー・シャラメビリー・アイリッシュアマンダ・ゴーマンが共同ホストであったことも話題に。

2020年 アバウト・タイム:ファッションと時間。

2020年のメットガラはパンデミックの影響で無期限延期となったが、展覧会「About Time: Fashion and Duration(アバウト・タイム:ファッションと時間)」は、もう一度振り返る価値がある。メトロポリタン美術館の創設150年を記念した本展覧会は、1世紀半のファッションを振り返るものだった。

インスピレーションは、ヴァージニア・ウルフの同名小説を原作とした映画『オルランド』(1992)。「ウルフが描く時間の連続性の描写に感銘を受けました。始まりやその間、エンディングもない。ただ、始まりと終わりの間が漠然と大きく存在するのです。それはファッションにも通じると思っています。ファッションは、常にこの瞬間のことを指しているのです」

2019年 キャンプ:ファッションについてのノート。

「Camp: Notes on Fashion(キャンプ:ファッションについてのノート)」は、スーザン・ソンタグが1964年に発表したエッセイ「Notes on 'Camp'」が着想源だった。このエッセイでは、キャンプとは大胆なパフォーマンスや過剰さ、そしてある種悪趣味とされるような感性だと説明されている。それは小説家のオスカー・ワイルドのような人物、あるいはアール・ヌーヴォーのような常軌を逸した美的運動に代表される。オフ ホワイト(OFF-WHITE)スキャパレリSCHIAPARELLI)、モスキーノMOSCHINO)、ディオールDIOR)、トム・ブラウン(THOM BROWNE)らの作品が展示され、どれも壮大で華やかなルックばかりだった。

2018年 天国のボディ:ファッションとカトリックのイマジネーション。

2018年は「Heavenly Bodies:Fashion and the Catholic Imagination(天国のボディ:ファッションとカトリックのイマジネーション)」と題し、ファッションと宗教の関係性についてを掘り下げた。バチカンの協力のもと、数百点の神聖な工芸品やオブジェを展示。そのほとんどが、ローマの外には出たことがないものばかりだった。ゲストたちもテーマに沿った煌びやかな装いで登場し、中でもローマ法王をモチーフとしたセットアップを着用したリアーナや、羽付きで天使のような存在感を見せたケイティ・ペリーのスタイルが際立っていた。

2017年 川久保玲/コム デ ギャルソン/間の技。

日本を代表する鬼才、川久保玲にフィーチャーした「Rei Kawakubo/Comme des Garcons Art of the In Between(川久保玲/コム デ ギャルソン/間の技)」。彼女のクリエイションと彼女が「オブジェ」と説明する名作の数々が一挙に展示された。ガラでは、リアーナやキャロライン・ケネディといった面々がコム デ ギャルソンを身に纏い、名デザイナーに敬意を示した。

2016年 手仕事×機械:テクノロジー時代のファッション。

「Manus ×Machina: Fashion in An Age of Technology(手仕事×機械:テクノロジー時代のファッション)」では、最新のテクノロジーとその可能性に着目。クレア・デインズは光ファイバーが施されたドレスを着用し、レッドカーペット上で文字通り光照らした。また、エマ・ワトソンはペットボトルをリサイクルして作られたカルバン クラインCALVIN KLEIN)のセットアップでいち早くサステナビリティを表現。展覧会自体は、ハンドメイドと最新テクノロジーを駆使したファッションの二項対立に焦点を当て、オートクチュールとプレタポルテの作品を100点以上展示した。

2015年 鏡越しに見る中国。

西洋のファッションに影響を与える中国文化を称えた「China: Through the Looking Glass(鏡越しに見る中国)」。本展示は、メトロポリタン美術館のアジア美術部門の責任者とコスチューム・インスティテュートが共同で行い、シャネルCHANEL)、アレキサンダー マックイーンALEXANDER McQUEEN)、ディオール(DIOR)などのオートクチュールのルックを展示した。この年、リアーナは中国出身のクチュリエ、グオ ペイ(GUO PEI)のイエローのルックを着用し、ネット上の話題を独占したとともに、デザイナーをモード界の新星に押し上げた。

2014年 チャールズ・ジェームズ:ファッションを超えて。
ファッション界の主要人物でありながら、一般的にあまり知られていないチャールズ・ジェームスを称えた2014年。「Charles James: Beyond Fashion(チャールズ・ジェームズ:ファッションを超えて)」は、彼の最もアイコニックなデザイン100点を展示。圧倒的なヒストリカルコレクションが集結した。

Photos: Getty Images Text: Elise Taylor Adaptation: Sakurako Suzuki
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