『FLEE フリー』
今年のアカデミー賞で注目された『FLEE』は、あまりにも悲惨な描写ゆえに、実写ではなくアニメーションとして製作された異色のドキュメンタリーだ。アフガニスタンからロシアを経て、北欧へ渡るまでの壮絶な亡命の旅、同性愛への偏見に対する恐れなど、デンマークで研究者として生きる青年アミンが、恋人の男性にも打ち明けられなかった、20年以上胸に秘めた過酷な半生を語る。監督は自身も迫害から逃れるためロシアを離れたユダヤ系デンマーク人ヨナス・ポヘール・ラスムセン。
『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』
『さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』は、『飛ぶ教室』などで知られるエーリヒ・ケストナーの小説の映画化。1931年のベルリンを舞台に、混迷する時代の中で自らの生き方を模索する青年の姿を描く。主演は『ある画家の数奇な運命』のトム・シリング。
『エリザベス 女王陛下の微笑み』
『エリザベス 女王陛下の微笑み』は、在位70周年を迎えた英国のエリザベス2世を描いた初の本格的な長編ドキュメンタリー。監督は『ノッティングヒルの恋人』や『ゴヤの名画と優しい泥棒』などで知られる英国のロジャー・ミッシェル。従来のドキュメンタリー作法にとらわれず、アーカイブ映像を多用し、英国ロックをちりばめながら斬新で唯一無二の“ポートレイト”を完成させた。王室ファンならずとも必見!
Text: Atsuko Tatsuta Editor: Yaka Matsumoto