『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』
ティム・バートン監督とジョニー・デップがタッグを組み、強烈な世界観で人々を夢中にさせた『チャーリーとチョコレート工場』。その始まりの物語となっている本作では、ティモシー・シャラメが若き日のウォンカを演じる。世界一のチョコレート店を作ることを夢見るウォンカは、“チョコレートカルテル3人組”に妨害されながら願いを叶えることができるのか。『パディントン』のポール・キング監督が細部まで作り込んだ温かみのある世界のなかで、ウォンカの奮闘を描き出す。ティモシーはクラシカルな衣装を纏い、歌声とダンスも披露! ヒュー・グラントが“小さな紳士”ウンパルンパを演じ、マジカルな世界へと招き入れてくれる。
『デューン 砂の惑星PART2』
未来が見える青年ポールが過酷な砂の惑星、デューンへと向かい、宇宙のために立ち上がる――。かつてデヴィッド・リンチによって映画化されたフランク・ハーバートのSF小説に『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が挑み、観る者を砂の世界へと引き込んだ『DUNE/デューン 砂の惑星』。待望の続編では、一族を滅ぼされたポールが、宿敵との戦いを繰り広げていく。壮大なスケールの映像はもちろんのこと、ティモシー・シャラメ演じるポールと、ゼンデイヤ演じるデューンの民フレメンの戦士、チャニとの美しいロマンスも見どころだ。ポールがサンドワーム(砂虫)を乗りこなすシーンにも胸が高鳴る。
『きっと、それは愛じゃない』
運命の人との出会いを信じながらも、失敗を重ねているドキュメンタリー監督のゾーイは、見合い結婚を決意した幼なじみ、カズの婚活の軌跡を撮影することに。カズが婚約をしたと聞いたゾーイは、心の奥底にあった自分の気持ちに気づいてしまう。『ブリジット・ジョーンズの日記』の製作陣が手がけた、選択肢が多い時代のなかで本物の愛を探す男女のロマンティックコメディ。『エリザベス』で知られるパキスタン出身の監督シェカール・カプールが、家族や宗教と切り離すことはできない幸せの形を表現。リリー・ジェームズが共感度の高い主人公をナチュラルに演じ、ロンドンの景色やエキゾチックなウエディングシーンが物語を鮮やかに彩る。
『ペイン・ハスラーズ』
職を失い、病気を抱えた娘を育てることもままならない労働者階級のシングルマザー、ライザ。経営難の製薬スタートアップ企業に就職した彼女は営業成績を向上させるが、そのことによって危険な不法行為へと足を踏み入れていく。『ハリー・ポッター』シリーズのデヴィッド・イェーツ監督が、アメリカで実際に起きた鎮痛剤オピオイドをめぐる問題をNetflix映画として実写化。陰謀に巻き込まれ、自身の倫理観と向き合うライザを、華と実力を兼ね備えたエミリー・ブラントが演じている。キャストに名を連ねるのは、クリス・エヴァンス、アンディ・ガルシア。欲望に絡め取られた人間たちの行く末と選択を、高揚感あふれる映像で描き出す。
『哀れなるものたち』
19世紀後半。自ら命を絶ったベラは、天才外科医の手によって胎児の脳を移植されて蘇生する。世界を自分の目で見たいという欲望に突き動かされた彼女は、放蕩者の弁護士に乗せられて大陸横断の旅へ。セックスを重ねながら快楽を知る冒険のなかで、ベラはやがて自分の意見を持ち、男たちの支配から解き放たれていく。監督はグロテスクなのに奇妙な美しさを持つ世界観や、気まずいユーモアでファンを増やしてきた鬼才ヨルゴス・ランティモス。『女王陛下のお気に入り』のエマ・ストーンと再タッグを組んだ本作で、ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞。怒涛の展開から目が離せない、賞レースの本命とも言える見逃し厳禁の一本だ。
『マエストロ:その音楽と愛と』
『ウエスト・サイド物語』などで知られる指揮者、作曲家のレナード・バーンスタイン。彼とともに歩んだ俳優でピアニストのフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタインの人生を回顧する伝記映画。『アリー/スター誕生』でも確かな手腕を発揮したブラッドリー・クーパーが再び監督、脚本、主演を務め、フェリシアをキャリー・マリガンが演じる。ヴェネツィア国際映画祭でのお披露目の際にはバーンスタインの子どもたちが出席し、指揮者のような動きを見せて盛り上がる一幕も。クーパーはモノクロとカラーの映像を織り交ぜながら長い時の流れを描き、芸術家としての生き方と夫婦としての複雑なパートナーシップを見つめる。
『コンクリート・ユートピア』
韓国からはイ・ビョンホンとパク・ソジュン、パク・ボヨン共演のエンタメ超大作が到着。舞台となるのは、大災害によって廃墟と化したソウル。唯一無事だったマンションに生存者たちが集まり、住民たちとの間でさまざまなドラマを巻き起こす。『隠された時間』のオム・テファ監督がウェブトゥーンをもとに大作に挑み、人気俳優たちが共演。ビョンホンはマンションを守るために立ち上がり、コミュニティの代表として権力を手にした男の変化を体現、ソジュンとボヨンは新婚夫婦を演じる。エンディングに待っているのは、光か闇か。パニックスリラーであり、極限状態であらわになる人間の本性や善意、階級闘争を描き出す人間ドラマ。
『終わらない週末』
子どもたちと一緒に休暇を過ごそうと、豪奢な別荘を借りたアマンダとクレイ。しかしその夜、見知らぬ男と娘が現れてヴァカンスは一変。男は「何かが起きる」と語り、全国各地でサイバー攻撃が発生。迫り来る災難によって世界が崩壊しつつあるなか、家族は恐怖と向き合うが……。ルマーン・アラムの同名小説の映画化に、ジュリア・ロバーツ、イーサン・ホーク、マハーシャラ・アリらスターが集結。ドラマシリーズ「MR. ROBOT /ミスター・ロボット」のサム・エスメイル監督が不穏な空気に満ちた映像で、観る者を“終わらない週末”へと引きずり込む。オバマ夫妻設立のハイヤー・グラウンド・プロダクションズが製作を担当。
Text: Mika Hosoya Editor: Rieko Shibazaki, Yaka Matsumoto
