「クロップドトップが着たい」という願望に、いざ応える
こんなことになるなら、ダイエットに励んでおけばよかった……この春にランウェイに登場する数々のクロップドトップを見たときに、そう思った女性は多いのではないだろうか。思えばここ数年は、コロナ禍の反動かファッションはリラクシーなムードにあふれていた。タイトなシルエットは鳴りを潜め、心地よくヘルシーなファッションがモードとなっていた……昨シーズンまでは。だが、2024年になって、ハイブランドもボディにフィットしたりウエストを強調するルックを提案するようになってきている。韓国アイドルたちのアグレッシブなウエスト見せを無意識的に眺め続け、「見せたい!」という欲が出ている大人も多いのではないだろうか?
で、そんな時代に、腸活の第一人者として知られる医師・小林暁子先生は改めて腸活の重要性を教えてくれた。「腸の中には100兆個を超える菌が棲んでいます。理想は善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7なのですが、このバランスはちょっとしたことで崩れてしまうんですね。例えば睡眠不足や寝る直前の食事などは、悪玉菌の増殖につながります。日和見菌は優勢なほうの味方をするので、善玉菌と悪玉菌の比率が1:1になると、腸内は一気に悪玉菌優勢になってしまうんですよ」
腸内環境を整えた上で、「四つん這いエクササイズ」を実践!?
こうなってしまうと、腸内環境は悪化の一途をたどる。メタンなどの有毒ガスは発生するし、腸内のガスが増えてお腹はパンパンに。顔や手足が細いのにお腹がぽっこりしている人は、腸内環境が悪い可能性が高いのだとか。特に最近は、精製された食品が多いせいか菌の多様性が損なわれているケースが多いというから要注意だ。
「腸の中には、なるべくさまざまな菌がいるべきなんです。仕事の場を想像してもらうとわかりやすいのですが、違うタイプの人がいるとそれぞれの強みが発揮されるから、効率よく業務が行えますよね。腸内も同じで、いろいろな種類の菌が揃っているほうがいい。腸内細菌が多様性に富んでいればぽっこりお腹にはなりませんし、便秘や肌トラブルも起きにくくなります。見た目が整うのはもちろんですが、多くの生活習慣病や認知症、うつ病といったメンタルのトラブルも、腸内環境がよいほうが改善しやすいんですよ」
面白いことに、悪玉菌にもきちんと存在理由がある。“悪”玉菌などと呼ばれるとネガティブなイメージしかないが、食中毒の原因となる菌が入ってきたときに盾になるなど必要となるシーンがあるのだとか。腸内フローラをバリエ豊かに保つためにも、季節ごとの食材を取り入れる、海藻類やきのこ類などで腸内細菌のエサ=食物繊維を摂るといった工夫が必要だ。また、腸活をしているつもりでも、“私にはこのメーカーのヨーグルトが合うから”などと、摂る食品やメーカーを決め込んでしまうのはNGだそう。
「食品のバリエを増やし、添加物を減らした食事を心がけていれば、腸内環境は半年くらいで安定してきます。半年というと長く感じる人もいますが、例えば心臓や脳の状態が半年でよくなるという話は聞かないですよね? 臓器にすぐ劇的な変化が起きるなんて恐ろしい話。たった半年ほどで変わってくれる腸は、とても素直で改善しやすい臓器といえます」
そうやって腸活に励めばぽっこりお腹も解消されるし、幸福ホルモン=セロトニンも多く分泌されるからメンタル向上にも役立ってくれる。その上で、さらなるくびれを狙うならエクササイズも取り入れよう。パーソナルトレーナーの金谷憲明さんが教えてくれた。「四足歩行の動物を思い起こしてみるとわかりやすいのですが、もれなくくびれています。あの体勢は腹横筋を使わざるをえないので、ウエストに効果てきめん。四つん這いの姿勢になって行うプランクや、体をねじる回旋運動を取り入れるとウエストがくびれてきますよ」
自分でプランクを行ってもいいが、おすすめは流れるような動きのヨガ(ヨガフローとも呼ばれる)。自然とさまざまなプランク姿勢をとることになるし、ダウンドッグ(犬が顔を地面につけて伸びをするようなポーズ)やアップドッグ(体を反らせるようなポーズ)などはお腹まわりの筋肉を伸ばすのでくびれを育てるのにぴったり。背骨をしなやかに動かすから体幹部の運動性が高まり、ヨガがうまくなるにつれて、横長だったはずのおへそがきれいな縦長になったという話は枚挙にいとまがないそう。クロップドトップを着るなら、腹筋を縮める運動ではなく、伸ばすエクササイズやストレッチを取り入れること。今どきのファッションを着こなすなら、必要なのはバキバキに割れた腹筋ではなくしなやかなウエストなのだから。
話を聞いたのは……
NORIAKI KANAYA
金谷憲明。パーソナルトレーナー、均整術師。KANAYA BODY LABORATORY主宰。体の歪みをリリースする整体施術とトレーニングを組み合わせた独自のメソッドが人気で、その人らしい美が育つと俳優やモデルからの指名も多数。
AKIKO KOBAYASHI
小林暁子。小林メディカルクリニック東京院長。まだ腸活という言葉もなかった時代からその研究に取り組み、便秘外来や女性専門外来を有するクリニックを創設。現代人の自律神経トラブルにも詳しく、多くの著書で正しい知識を発信中。
Text: Satoko Takamizawa Editor: Toru Mitani
※『VOGUE JAPAN』2024年8月号「サマールックに似合う、ヘルシーボディ」転載記事。
