他者とのつながりは、まなざしから
内に秘めた思いを他者に伝える時、言葉以上にまなざしで気持ちが伝わることがある。本音なのか嘘なのか、もしくは、色濃く考えているか適当か……など、マインドの濃縮度を図る指標になることもあるだろう。メイクアップ・アーティストのルチア・ピカは「目というのは、私たちがコミュニケーションをとり、関わりを持ち、つながりを生み出すために多く使っているものだと思います」と語る。
その目、瞳を際立たせる時に重要となるもののひとつとして“色”があげられる。「人々は色に魅了されます。色そのものが重要なのではなく、それが目にあたえる影響や、それが呼び起こす感覚に魅了される。物事を際立たせ、人に気づかせ、人々の目を記憶させるのです。意図を持って相手を見つめ、つながりが生まれたとき、記憶に残る。それが、私の好きなところです」。つまり、メイクを施さずピュアなままのまなざし以上に、色を重ねることで思いがけない力が宿るということ。例えば、彼女が手がけるバイレードの最新パレット「アイシャドウ セルフ イリュージョン 」。さまざまな色を自由に纏い、ブレンディングすることで叶うことがある。「チャコールグレイで奥行き、目頭と目尻に深みを出し、丸くぼかして、スモーキーアイズを演出できます。ブラウンとゴールドを組み合わせてあたたかなトーンで揃えても、同じく自然な奥行きに。アイライナーをまぶたの内側に使い、まつ毛の生え際を埋めてから、ブラウンとゴールドを上にのせてなじませるのもおすすめです」
まっとうな美しさの中に、2割の刺激を
絶対に自分に似合うグレイやブラウンなどの定番カラーを見つけたら、パールやラメなどが入ったきらめくアイシャドウ、まつ毛にアクセントを効かせるカラーマスカラを少し加えてみる。まっとうで上品なアイメイクをしている人がいたとすれば、マンネリ打破!という意味でも、これらのアイテムで刺激を加えてみるのも手だ。「例えば、このグリーンとブルーの中間色の温かみのあるグレイのマスカラ。遊び心がありながらも洗練された、少しミステリアスな眼差しを作り出すことができます」(ルチア)。ヴィヴィッドなカラーでなじく、洗練された安心感、繊細なニュアンスを表現するカラーマスカラは自然に目もとを印象づけることができそうだ。
今年、2023年のベストを選ぶ「VOGUE BEAUTY AWARDS」でも静かに目力を底上げするアイシャドウパレットに注目が集まった。いずれも大人がまぶたに重ねても悪目立ちせず、“しっくり”と馴染む優秀品。ルブタンやサンローラン、ディオールなどから自然なあたたかみを演出しながらもブラウンやグレイで奥行きを出すカラーが高い評価を得たのだ。ごく自然に他者を惹きつけて止まないアイメイクを叶えたいならば、このアワードの結果発表からプロダクトをピックアップしてみてもいいかもしれない。
※「VOGUE BEAUTY AWARDS 2023」の結果はこちらでチェック。
Editor: Toru Mitani